材料確保③
短いです
コーヒー豆を十分に確保して、下層に挑む。
せっかくだし、トロピカル部屋、中華部屋、チョコレート部屋を行ったり来たり。
「ドロップ品、本当にいいんですか?」
リツさんがマルコフさんと、フレナさんに聞いている。大量の果物を前にして。
「構わないさ、どのみち俺達には販路がないしな」
「そうね。食べるとしても、リツさん達に預けた方が美味しいし」
「宝箱の配当があれば十分だ」
「マジックバッグももらったし」
そう、トロピカル部屋から出たマジックバッグは、一つずつ渡されている。
「美味しいデザートにしますね」
マリ先輩がパパイアを持ってにっこり。かわいい。さ、美味しいデザートの為に。
「マリ先輩、ボス部屋復活したので、殲滅してきます」
きりっ
その日の夕御飯のデザートは、たっぷりフルーツのクレープだった。
「ねえ、これも屋台に出せないかしら?」
「いいわね。持ち歩けるし。あ、ハムとかツナとか野菜とかのお食事系も出しましょう。男性にもいいわ」
リツさんとマリ先輩が楽しく相談。
試しにお食事系クレープを作ってくれた。ミニサイズだけどね。
ハムとトマト、アボカドとエビ、ツナとレタス。
三角形に、くるっと巻いてくれている。
「これなら食える」
さっきクリームの入ったクレープは、胸焼けすると、ミーシャに押し付けていたサーシャは、ツナとレタスを平らげる。好き嫌いはダメだぞ、パクパク。
7匹の蜘蛛も、モグモグ食べてる。え? クレープ食べてるの?
「ここ、ダンジョンだよね?」
バーンがハムとトマトを食べながら、アルフさんに聞いている。
「そうだが、いつもこんな感じだぞ」
アルフさんはアボカドとエビだ。
「ま、いつも美味しい御飯食べれるからいいかあ。あ、ボス部屋復活したよ。材料いるよね? リーダーどうする?」
「そうだな、食後の運動がてらするか」
「行きましょう」
きりっ
私は2代目を手に立ち上がる。
「ルナちゃん、ほら、着いてるわよ」
リツさんがハンカチで口元、拭いてくれた。
「やっぱり、ミニのクレープの方が、値段を押さえられるわね」
「そうね。たくさんの人に食べてもらいたいもの。出来れば小さな子供のおこずかいで買える額がいいわ」
「そうしますと、生クリームは原価が上がります」
「手間を考えると、ジャムを塗るだけはどうですか?」
錬金術チームとリーフが相談している。
次の屋台の為だ。
パクパク。
「そうね。ジャムだけなら、少し値段を落とせるわ」
「生地にちょっと一手間をかけましょ」
「こちらのお食事系に、少し粉チーズを混ぜた生地はいかがでしょう?」
「試験的に販売出来ないですかね? やっぱり実際買ってくれる人達の意見を聞いた方が」
パクパク、パクパク、パクパク。
「まじでよく入るなお前」
サーシャがすごい顔して私を見る。
「パクパク、そこでやりあうか?」
「いいけど、口拭けよ」
リツさんがさっと来て拭いてくれる。
結局、サーシャとやりあうことなくすんだ。
それから数日間、トロピカル部屋を殲滅を繰り返す。
なかなかレベルが上がらない。
密かに悩んでいると、アーサーも上がらないと。
「レベル90台が何言ってるんだよ。上がりにくいだろ」
サーシャがツッコミ。
「僕なんてまだ、50にも届かないのにっ」
リーフが抗議する。
「じゃあ、次、前に出る?」
「トレント一刀両断出来るのと一緒にしないでよ、あ、マリ様はダメですよ、杖でトレント殴り倒せませんからね」
「ええ~ダメ?」
「「「ダメ」」」
私と、ローズさん、リーフが手で×をつくる。
危ないからね。
更に数日後。
「やっと剣に慣れてきたわ」
「そうだな」
フレナさんとイレイサーがやっとアダマンタイトの剣に慣れたようだ。
そうすると、2人の快進撃が始まる。
フレナさんは、
「ルナちゃんに素で勝ちたい」
と。まあ、パーティーリーダーだし、強くなくてはと、思っているんだろう。
イレイサーは、
「せっかくアルフが地竜の咆哮にギリギリ臨めるって、言ってくれたから、ギリギリを卒業したい」
と。リーダーでもあるマルコフさんと並びたいって願いもあるようだ。
中華部屋では、それは凄まじい勢いで、中華素材のドリアノールを斬り倒して行く。
私の出番が。
「俺だってレベル上げたい」
「私もですよ」
と、サーシャとジェイドさんまで、勢いづく。
「メエメエ~」
ノゾミは景気よくファイヤーボールで倒している。もちろん、蜘蛛達の援護つき。ショウは旋回しながら、不可視の刃を放っている。
「ちょっと、私の出番はっ」
「僕、ドロップ品しか拾ってないっ」
「ちょっとリツさん、マルコフさん、アルフ、あの人達どうにかしてっ」
エレ、バーン、リーフが抗議。
私の出番もないんですが。
「まあまあ、いいじゃない」
「そうだな。いい勢いだし」
「そうだぞ。そのうち出番あるさ」
呑気に答えている。
結局、その日一日、四人+一匹の無双状態。
で、次の日、四人全員が激しい全身筋肉痛で動けなくなった。
「ほらな、出番あったろ」
アルフさんが、痛みに唸る四人を指した。
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