材料確保②
次の日、フィーラ・クライエに到着。
「メエメエ~」
「き、気をつけて行きまたえっ、ポーションだよっ、煙玉だよっ」
「メエメエ~」
相変わらず、魔性の羊だ。
体裁的にはBランクの『ハーベの光』とCランクの『紅の波』にEランクの『ラピスラズリ・リリィ』が補助として着いていく形だ。
どうもどうもと、フィーラ・クライエに。
ワープストーンで15階に。
残念金髪美形なしのフィーラ・クライエは初めてだけど、また、なんとかなる。
戦闘をこなしながら、コーヒー部屋に2日で到着。
目的はコーヒーだし、簡易地図とショウの空飛ぶ馬車でかなり短時間でコーヒー部屋に到着できた。
「儂が開けるが、いいか?」
たぶんレベル100越えのマルコフさんと、アルフさんが相談。アルフさんが開けることに。
中にはドリアノールが30体ほどだ。
いつもあの残念金髪美形が開けていたけど、まざまざと見せつけられる。レベルの差。
アルフさんはバスターソード、私は2代目、アーサーはロングソード、サーシャはショートソード、ジェイドさんはロングソードで斬り込んで行く。ミカエル達は、リツさん達の援護を受けて、なんとか倒していく。
マルコフさん達、フレナさん達はそれぞれ連携して倒していく。
で、問題が。
「メエメエ~」
調子よくファイヤーボールを放つノゾミ。その周りに陣取るのは、50センチほどの色とりどりの蜘蛛達。あのお花畑からついてきていたようで、見つけた時騒然となったが、マリ先輩が大丈夫と。まあ、あの三姉妹の子供か孫よね。下手に手出しできない。後が怖いから。
蜘蛛は合計7匹。基本的にはマリ先輩とノゾミの護衛として、今回のダンジョンアタックの期間のみ、ついてくるそうだ。
あの三姉妹には敵わないが、糸を飛ばし、足止めしてくれるからありがたい。ノゾミのファイヤーボールがすべて命中する。
程なくして、殲滅終了。
小さなコーヒー豆を拾うのに活躍したのな、ミカエル達だ。そして、自動お掃除魔道具だ。いつもはゴミを吸い上げるのに、コーヒー豆だけ、吸い上げる設計になり、上に乗ったガラス瓶に瞬く間にたまって行く。満タンになったらガラス瓶を交換する。かなり効率よくコーヒー豆を回収。
最後に宝箱が出てきた。斥候チームがチェック。エメラルドの指輪だ。買い取りに出され、必要経費を引いた後に、各パーティーに配当となる。
そんなこんなで、数日後。
「飽きた」
「しっ」
ミーシャがポツリ、アーシャが、め、する。
でも、私も大概に飽きた。ドリアノールばっかりだもん。口には出さないけど。
山のように積み上がったコーヒー豆。
あまりの量で、錬金術チームは豆の処理に回っている。セーフティゾーンに、コーヒーの香りが充満。
リーダー達が相談。
後三日間、コーヒー部屋に行ってから、下層に行くことに。
ただし、最下層は最後の脱出まで避けることに。
今回残念金髪美形がいないため、もしもの時に、敵を一掃できないからだ。安全策を取ることに。
せっせとコーヒー部屋を往復する。
他のパーティーに遭遇しないからいいけど、のんきにボス部屋の前で、料理してたら引くわな。
なんでも別に新しいダンジョンが、見つかったことと、生命の雫で質のいい薬草の当たり年らしくて、そちらに冒険者が流れているそうだ。
本日、最後のコーヒー部屋。
出てきた宝箱には、なんとワープストーンが。コーヒー部屋前のセーフティゾーンに繋がっていると。使用回数は5回。脱出にも使われるそうだ。
これは引き取りとなる。
「皆。お疲れ様、御飯出来てるわよー」
リツさんがエプロン姿で、呼んでる。
「「「はーい」」」
いそいそと、集合。
「今日は中華よー」
「「「はーい」」」
カラーラで手に入れた、ネギを使った油淋鶏(使用しているのはウサギ肉)、ゴマの薫りの白菜とカラーラクラブのスープ。餃子に肉シュウマイ、カラーラクラブのチャーハン。いただきます、きりっ
あつ、スープあつ。油淋鶏もソースがさっぱりして美味しい。
「本当にダンジョンアタックしている感じがしないな」
「そうね」
マルコフさんと、フレナさんが首を傾げているが、残らず平らげてる。
順番にシャワーを浴びて、就寝。
次の日は、コーヒー部屋最終日。
ずいぶん戦闘したなあ。
レベルが上がってた。
もうちょいで私もレベル100になりそう。
「ねえ、アーサー」
私はこっそり聞く。
「なんですか?」
アーサーもこっそり返事。
「レベル、どんな感じ?」
「今、92です。ルナさんは?」
「私、95よ、もうちょいだね」
こそこそ。
やっぱりスタンビードの時に、衝撃斬刃でかなりレベルが上がってたようだ。
「聞こえているからな」
三兄妹とジェイドさんがすごい顔だ。
「レベル50になるのに10年かかったんですが…………」
ジェイドさんの呟き、聞こえません。
騎士隊にいたジェイドさん。確かに遠征やダンジョンアタックしたかも知れないだろうけど、私達みたいにピンポイントにボス部屋で戦闘しているわけない。騎士にだっていろいろお仕事あるんだよ、護衛や何かあった時の避難誘導とか、後は事務仕事とかね。
「レベル、どんな感じだ?」
サーシャが、ジェイドさんに聞いている。
「私ですか? 78ですよ」
私達と出会ってから20も上がってる。
まあ、ジェイドさんはグアンのおかげで急所に一撃で倒せているしね。
「サーシャは?」
私が聞くと、70と。耳がぺたり、としてる。
十分、高ランクの冒険者だからね。
だけど、アルフさん曰く。
このメンバーで地竜の咆哮に挑むなら、半数はレベル100越えていないと無理だろうと。
なんでも、最下層にいる皇帝竜に挑んだのは、一度だけ。当時レベル200直前のバーミリアン殿下と騎士ダグラス。ドワーフ、エルフの騎士、当時Sランクの冒険者パーティー2つで挑戦。総勢55人で挑み、戻って来れたのは48人。ただ、その時のダンジョンアタックでバーミリアン殿下と騎士ダグラスはレベルが200を越え、そして同行した者達、レベルが80台後半が全員100を越したそうだ。どんなに戦闘をこなしたか、想像すると、ぞっとする。半年におよぶダンジョンアタックで、最下層まで到着したそうだ。
現在レベル100越えは、アルフさんとマルコフさんだけ。
皇帝竜に挑むなら、今の戦力では全然足りない。
あと、三年だ。
読んでいただきありがとうございます




