表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
348/386

材料確保①

エルフの騎士

 カラーラから帰ってから数日後。

 新しい装備品が揃う。

 シーサーペントの革でリツさん、アーシャ、ミーシャ、キャリーの籠手にすね当て、ベストが出来上がる。

 そんな中、リツ邸に集まる。

 今後の事だ。

 戦闘訓練の後のお昼御飯。ミートソースとマッシュポテトのグラタンと、ミネストローネ、まだまだ大量にある夏野菜サラダ。マリ先輩のバゲット。

 動いた後は格別に美味しい、あつあつ、じゃがいも、美味しい、あつあつ。

 本日はアルフさんは鍛冶師ギルドで欠席。 

 食後のデザートはアップルパイ。シナモンの香りがいい。

 リツさんは紅茶、マルコフさんはブラックコーヒー、フレナさんはミルク入りコーヒーを傾けながら話している。

「そろそろ、ヒースに行く? ドラゴンの素材が必要になる頃かしら?」

 フレナさんが切り出す。

「それに関しては、アルフさんがドラゴンに挑むなら、まだ、レベルの底上げが必要だと」

「そうだな。あの時に比べてかなりレベルが上がってはいるが。まだ、フレナとイレイサーが新しい武器に慣れてないからな」

 う、と詰まるフレナさんとイレイサー。

「なら、ドラゴンは次回ね」

「そうだな。やはり、ヒースかラ・マースにするか?」

「その事でお願いがあるんです」

 リツさんが申し訳なさそうに切り出す。

「なんだいリツ君」

「実は、コーヒーがなくなって」

「「え?」」

「それが最後なんです」

 そうなの? まあ、私はローズさんのお茶で十分。ずー。

「え? 頂いて良かったのかい?」

「ごめんなさい、いつも飲んでしまって」

「いえ、いいんです。ちょっと予想外に方々に売れてしまっただけで」

 実はコーヒー、鍛冶師ギルドで大好評。それから噂が噂を呼び、職人ギルドや冒険者ギルドにも販売するようになっている。不定期で、アーサー、リーフを加えた錬金術チームがギルドにブースを借り販売。その場で淹れたり、自宅で淹れる人には販売しているが、毎回完売御礼となっている。

 それからクレイハート伯爵だ。

 新しい商機を見つけたのか、前回の帰国の際に、かなり購入していた。で、元々あるクレイハート経営のカフェで試飲を繰り返し、小さな屋台を初めて、徐々に人気が出てきたそうだ。先月処理したコーヒーを送ってた。

 アーサーがコーヒー栽培に挑戦しているが、時間がかかりそうだと。

「なのでフィーラ・クライエにしてもらうとありがたいのですが」

「もちろん構わないさ」

「いいわ。私達、フィーラ・クライエ初めてだわ」

 こうして、コーヒーの為にフィーラ・クライエに行くことになった。

 それから、準備期間やアタック期間が決められる。

「せっかくだし。マダルバカラにも行きません? ショウの馬車なら早く着きますし。復興がどうなっているか心配だし。年内に帰って来る予定で」

 そうか、あれからもうすぐ一年かあ。

 皆さん、お元気かな。

 マルコフさんもフレナさんも異論はなかった。

 準備期間は10日、アタック期間は20~25日。移動期間を含めたら、年末までには帰ってこれる。

 冒険者ギルドや鍛冶師ギルドに報告すみ。

 皆さん快く見送ってくれた。

 バタバタと準備期間が終了し、いざ、出発する。

 地下の転移門を使用し、オーディスに移動。

 初めてのフレナさん達は興奮していた。

 夢の様な花畑を抜ける。

「まあ、ありがとう」

 マリ先輩が蜘蛛からお花もらっている。え? それ、毒持ってません?

 蜘蛛達はあらかじめ、見なかった事にしてもらうように言ってある。

 ショウに馬車を繋ぎ、まず向かうは慰霊碑だ。


 次の日、慰霊碑に到着する。

 リーフの実家? 無視、無視。

「どうぞ、リーフ」

「ありがとうアーサー」

 端正込めて育てた花束を、アーサーから受けとるリーフ。それを見送り、アルフさんも祈りを捧げる。

 皆さんも祈ってくれた。

 しばらくしてもリーフが帰って来ず、マリ先輩が心配しはじめる。また、絡まれているかもしれないから探す。

「あ、いた」

 リーフが背の高い男性と話をしている。

 誰だろ? エルフ? いや、ごつい方だから、違うね。エルフは種族性か華奢な体格なのだ。

 雰囲気からしてリーフを対して穏やかに話をしている。

 ペコリとしてリーフが帰って来る。

「お待たせしました」

「いいのよ、リーフ君、お知り合いの方?」

 マリ先輩が聞く。

「はい、ダグラスさんです」

 聞いたことある名前だな。

「あれが、西の三勇か」

 アルフさんが呟く。

 あ、レベル200越えのエルフの騎士ね。

 向こうが軽く会釈。こちらもペコリ。

 すう、と去っていく。

「なんか、ごつい人だね」

 バーンが素直な感想。

「まあ、そうですね。ダグラスさん、ハーフだから」

「へえ、人族と?」

「ドワーフとエルフのハーフですよ」

 え、珍しい。

 ドワーフとエルフは多少の違いはあるが、長命な一族。そのせいで、他種族との混血児が生まれる可能性は低い。人族や獣人が伴侶を場合、受胎率は半分以下だそうだ。同じ長命な一族なら、更に受胎率は低くなる。つまり、かなり奇跡の存在だ。

「ダグラスさんはエルフには珍しいタンクなんだ。魔法だって凄いし」

 アルフさんみたい。ただ、エルフのタンクは確かに珍しい。

 あのダグラスと言う人は、数少ないリーフの騎士時代の理解者だったと。

 例の赤髪エルフが騎士の見習い免除の反対や無謀に突っ込んだ時に、唯一止めたのが彼。それからリーフが見習い三度に異議を唱えてくれたのも彼。

 だけど、上手くいかず。

 リーフに対して、赤髪を止められなかったことや騎士見習いの事をどうにもしてやれなかったことを気にしていたそうだ。

 西の三勇って呼ばれてるのに、あんまり、発言権がないんだね。

「エルフってさ、選民意識が高いから、ハーフってだけでダグラスさん苦労してるんだ。国ではトップクラスの実力なんだけどね」

 そうなんだ。

 本当、アルフさんみたい。

「本来なら、もっと騎士の地位が高くてもおかしくないんだけど。今でも小隊長なんだ。まあ、ダグラスさん自身、それが楽っていってるけどね。僕にも、よくしてくれたよ」

 リーフが振り返る。

「ちゃんと挨拶しないままだったから、今日あえて良かった」

 そう言って、リーフは安心したような顔を見せた。

読んでいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ