次回の為に②
「うえーん、リツさん、マリ先輩ー」
私は情けなく声をあげる。
数日前に、レベル50以下メンバーを見送った。ローズさんだけ、着いていったけどね。
ただ、残りのメンバーはトウラに残ることになった。シェラさんから、いま、高ランクのパーティーが手薄になってしまっていて、『ハーベの光』と『紅の波』、私達『ラピスラズリ・リリィ』が抜けると困るので、数人でもいいので残って欲しいと。ミュートのスタンビードの影響で、トウラの警備が不安と。なので、私達は残ることに。一時的なものだ。ミュート付近が落ち着けば、自由に動けるようになる。
で、ショウの馬車を見送った、次の日。
「魔の森で、ゴブリンが多数見つかった」
と、あり。残ったメンバーで捜索することになった。
場所は前回とは全然違うけど、まさか、スタンビードから逃れたやつじゃないよね?
ただ、数日開けるため、鍛冶師ギルドのお仕事があるアルフさんと畑が大変なことになっているのでアーサーは欠席となる。
メンバーはマルコフさん、イレイサー、バーン。フレナさん、キャリー。私、サーシャ、ジェイドさん。
付け焼き刃のメンバーだが、全く知らないなかじゃないしね。直ぐに見つかるかと思ってら大間違い。
時期は夏。
じめじめ、じめじめ、じめじめ、じめじめ。
いつもなら、ショウの馬車にお風呂やトイレがあるし、テントだって空調管理されているから比較的にすっきりできる時間があるが、今回はない。
じめじめ、じめじめ、じめじめ、じめじめ。
いつもなら、ショウが、ピィッと探して、さくっと終わるのに、地道にせっせとすすむ。
じめじめ、じめじめ、じめじめ、じめじめ。
ジェイドさんがグアンを使って広範囲に探しているがいまいちの様子。
じめじめ、じめじめ、じめじめ、じめじめ。
こんなとき、リツさんがレモネード作ってくれるのに。
じめじめ、じめじめ、じめじめ、じめじめ。
こんなとき、マリ先輩が冷たいジェラート出してくれるのに。
じめじめ、じめじめ、じめじめ、じめじめ。
お風呂、入りたい。シャワーでもいい。
本来の冒険者の探索なんだろうけど、当たり前のようにあったものがなくて、いままで贅沢だったんだなあと実感。
じめじめ、じめじめ、じめじめ、じめじめ。
「うえーん、リツさん、マリ先輩ー」
探索3日目。
初期のテントを広げる。
キャリーとサーシャが魔法で水を出してくれて、交代で体を拭き、着替える。少しはすっきりした。テントの周囲には結界の効果のある鞘で囲む。これでよほどのことが内限り大丈夫だ。
「ずいぶん探したが」
「痕跡らしきのは、あちこちあるけどね」
マルコフさんとフレナさんが話し込む。途中からサーシャとジェイドさんの加わる。
キャリーとイレイサーは周囲の警護、私は食事の準備だ。マジックバッグあってよかった。バーンが手伝ってくれる。
簡易テーブルに鍋を出す。中はウサギ肉と夏野菜のシチューだ。マリ先輩のパン付き。
「皆さん、夕御飯ですよ」
私が呼ぶと、さっと集合する。
「すまないなルナ君、こんな立派な食事まで頂いて」
「本当、ありがとうルナちゃん」
本来は各パーティーが、食事を持たないといけないが。今回は臨時パーティーだし、きっとリツさんなら許してくれる。
今の探索で何が一番かと言うと、この食事だけだが、そろそろ心細い。なんせ、依頼があって直ぐに出発したから。今回食料は私が担当している。
「マルコフさん、そろそろ食料が心細い感じです」
「そうか。探索は後何日許されるかい?」
「帰りを考えたら、2日ですね」
「なら2日過ぎたら一旦帰って仕切り直しだ」
マルコフさんの判断に異論はない。
夜警を交代でして、次の日も探索、収穫なし。
で、最後の日。
「いましたね」
グアンが反応、次にサーシャとジェイドさんの耳がキャッチする。
足音を殺して進む。
う、くさい。
私達も臭うだろうが、くさい。
サーシャとジェイドさんがきつそう。
「さて、全部で200ほどか。奥にジェネラルがいるな」
引く? 全くそんなつもりはありません。
まず、キャリーのフレイムダンス、フレナさんのフレアランスが炸裂。続いて、私とイレイサーのウインドスラッシュで火を巻き上げる。逃れようとするゴブリンには、サーシャとジェイドさんが容赦なく矢を放つ。
魔法の第2弾には私は参加せず、新生2代目に魔力を流し調整。うん、難しいが、出来ないことはない。ただ、油断禁物。
「ルナ君頼むッ」
「はいッ」
私は飛び出し、衝撃残刃を放つ。
う、魔力、やっぱり持っていれた。
おかげでゴブリンはほぼ倒せたが、私は膝を着く。イレイサーとジェイドさんがフォローに入り、私は魔力回復ポーションを飲む。
マルコフさんが先頭に立ち、大剣を振り抜く。ゴブリン、スッパスッパ切れている。バーンも確実にゴブリンを斬り倒していく。フレナさんも斬り込み、サーシャは弓で、キャリーはファイヤーボールで援護。
私が回復すると、イレイサーが素早くマルコフさんのフォローに入る。私はフレナさんの方に向かい、ジェイドさんはマルコフさんの方に。
ジェネラルは、マルコフさんがまさに一刀両断。
残りを片付けるのに、時間はかからなかった。あのゴブリンの巣から、かなりレベルアップしたし、装備品も揃っている。戦力が桁違いに高くなっている。
で、ジェネラルやナイトやルークを私のマジックバッグに入れる。ポーンはサーシャが魔石だけ、取り出した。あまりの臭いに、途中、小さくアーサーの名前読んでた。
ゴブリンの死体は、穴蔵があったので放り込み、せっせと埋めた。アルフさんいたら、あっという間なのに。
「アルフ~」
バーンが情けない声で呼んでいた。
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