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スタンビード④

戦闘表現あります、ご注意ください

 しばらくしてリツさん達も帰って来た。皆いつでも出れるようにしている。

 交代で仮眠。

 朝が開けきらない内に移動する。

 前衛となる騎士団と冒険者パーティーが出発し、すぐに後方支援が出て展開する。

 私は最後の剣をアーサーに預けた。

 後方支援は退路の確保、負傷者の治療に搬送。取りこぼした魔物の迎撃だ。素早く展開する。

 私達前衛はひたすら魔物を屠るのみ。

 大丈夫、負ける気がしない。

 アルフさんが、追加で魔の森付近に深い穴をあちこち作る。アーサーも手伝い、土魔法使いも参加。

 木製の杭も追加で設置される。

 これで多少は動きを遅くできるはず。

 なんだろう、急に不安に、なってきた。

 魔の森から、一切の気配が、消える。

 ああ、これがスタンビードだ。

「我らは盾である」

 朗々としたフリオル隊長の声が、響く。

「我らは剣である」

 そっと、アルフさんが、手を握ってくれる。

「我らの力はすべて、民のもの。一匹たりとも城門に近づかせるな」

 大丈夫。私は大丈夫。

 だって、アルフさんが、隣にいてくれるし。

「すべては愛すべき者の為にッ」

 フリオル隊長が剣を掲げる。

 騎士達が、冒険者が、武器を掲げて叫ぶ。


 ぞくり。


 魔の森から小さな光が無数に浮かび上がる。

 目だ。

 そう思った瞬間、多種多様な魔物が飛び出してくる。

 ウルフ、ゴブリン、オーク、角ウサギ、リザード、蛇、ムカデ…………………

 黒い波のように押し寄せてくる。

 次々に串刺しになり、穴に落ちていく。

  どうんっ

 一斉に矢が放たれる。サーシャとジェイドさんが立て続けて放っている。

 次々に突き刺さり、体勢を崩していく。中には後ろから来た別の魔物が踏み潰している。

  どうんっどうんっ

「グランドドリルッ」

 アルフさんの魔法が炸裂。騎士団からも冒険者達からも次々に魔法が飛び出して、魔物を凪ぎ払い、切り裂き、焼き尽くしていく。

 すぐ近くのショウも不可視の刃を放つ。

 アーサーはひたすら支援魔法を放っている。

 私は魔力を調整。

「よし、行くよっ、アーサーッ」

「はいッ」

 私とアーサーはアルフさんの前に出る。

 矢と魔法攻撃で先頭にいたウルフ系や蛇系、虫系はほぼ壊滅しているが、後方からわらわらまだまだ出てくる。

 二代目に魔力を流し、一気に衝撃斬刃を放つ。

 レベルアップのおかげか、かなり吹き飛んだ。だが、アーサーのそれのは比ではない。地面まで大きくえぐり、迫ってくる魔物達に多量の土砂を振り撒く。他にも衝撃斬刃が使えるものがいたが、アーサーを越すものはない。

「もう一発ッ」

「はいッ」

 私は左翼、騎士団前方。アーサーは右翼、フレナさん達がいる方の前方。

 魔力を操り、衝撃斬刃。

 あ、いかん、魔力が持っていかれすぎる。

 ぐらついた瞬間、アルフさんが私を後ろに引き寄せ、ジェイドさんに預ける。アーサーに至っては崩れ落ち、飛び出したサーシャが抱えて下がる。

 出された魔力回復ポーションを飲む。

「迎撃ッ」

 フリオル隊長の怒声が飛ぶ。

 アルフさんとバラック、他のタンクがシールド展開する。

 オリハルコンを含んだアルフさんの盾が魔力を纏う。

 地響きを立てながら、黒い波のように魔物が押し寄せてくる。

 サーシャが少し上向きに矢を放ち、放物線を描きながら全矢命中。

「シールドバッシュッ」

 強烈な破裂音が響く。

 アルフさんの新生の盾は、迫って来た魔物達を一気に吹き飛ばす。

 流石っ。

 私達前方の魔物はほとんど吹き飛ばされている。

 バーンが後ろで、ええ~、と言ってる。

「いくぞッ」

 マルコフさんが大剣を構える。

 私は二代目、アルフさんは十文字槍、ジェイドさんは矢筒をサーシャに渡し、ロングソードを抜く。アーサーは支援に回り、サーシャは弓で援護に回る。ショウは空に飛び上がる。

 すぐ近くでマルコフさんが展開する。

 次々に私達はゴブリンやら角ウサギ、後方から出てきたウルフ系や蛇系を切り裂いていく。

 サーシャが後方から縫うように矢を放ち、ジェイドさんが滑り込ませるように刃を突き刺していく。アルフさんの十文字槍がボアの頭を突き刺し、私の二代目が蛇系をスパスパ切り落とす。

 マルコフさん達は相変わらず見事な連結プレーだ。

 騎士団も次々に倒していく。

 アーサーは支援を続け、サーシャはアーサーを守りながら矢を放つ。

 ショウは旋回しながら、迫ってくる空飛ぶ系の虫を打ち落としている。

 冒険者達はそれぞれのチームで展開し、確実に倒している。

 ひたすら、ひたすらに剣を振り回す。

 どれだけ倒したか、息が上がる。

 交代しながら水分を補給する。

 私は一旦下がり、水筒をバーンに渡す。

 バーン達も入れ替わりながら水筒を煽る。

「ルナッ」

「はいッ」

 魔の森から大型の魔物が飛び出してくる。

 トロールや、サイクロプスやら、熊やら、オーガやら。

「ピィィィィィィッ」

 ショウが旋回。

 一気に上昇し、魔力を纏う。

 オークの巣のように、風を纏い、トロールや、サイクロプスに向かって飛び込んでいく。

 硬い皮膚のサイクロプスを切り裂いていく。トロールの太い腕も千切飛ぶ。

 ショウは一旦上昇、風を纏う、急降下を繰り返す。

 相変わらず、凄い攻撃だ。

 私も負けてられない。

 気合いを入れ直す。

 私のすぐ後ろでアーサーとサーシャが合流。

 アーサーはストーンバレットを飛ばし薙刀を振り回す、サーシャはゴブリンに刺さった矢を引き抜き放つ、そしてショートソードを抜く。

 私は二代目を休まず凪ぎ払い、アルフさんは十文字槍が容赦なくオークの体を突き破る。ジェイドさんは見事な剣裁きで、急所を一突きだ。アーサーもサーシャも互いに連携して、次々に倒している。

「ピィィィィィィッ」

 ショウが高い声で鳴く。

 空飛ぶ系の虫を次々に落としていく。いや、真っ二つになっていく。

「ブヒヒヒヒーンッ」

 あら?

 なんか、見たことある馬が、いや、スレイプニルが。

 あ、残念金髪美形が。

 ショウが後退。多分いるだろう、グレイキルスパイダーの糸から逃れる為だろう。

 だけど、グレイキルスパイダーは姿を見せず、切り裂いていき、スレイプニルはあらゆる魔物を吹き飛ばしていく。

 残念金髪美形は魔法を駆使して、トルネードやらサンダーレインやら上位魔法をポンポン使う。

 常識はずれの戦力が加わり、魔物達は一斉に駆逐されている。

 本当にあの人なんなの。

読んでいただきありがとうございます

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