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慰謝料②

調味料。

 ナリミヤ氏が帰ったあと、私は剣を確認。修復された剣はやや銀色が増していた。おそらく魔鉄の影響だろうね。室内だから魔法発動できないが、明らかに凄みがました剣に、呆然とした私の顔が映る。切られたところが全くわからない。

 ナイフは軽い。全体的に薄く輝く銀色。ミスリルの色だろうね。これはサブの武器だ。必要時ローズさんに貸し出しだね。

「私は雷魔法しか使えません。上手く使いこなせるでしょうか?」

「雷は風と相性がいいはずです。心配なら無属性魔法で対応してもいいかも」

「なら、無属性魔法は取得を急ぎます」

「そうですね」

 そして新しい剣を鞘から抜く。

「わぁ、きれいね」

 マリ先輩が感嘆の声を上げる。うっすら黒光りする細身の片刃の剣。細身だか、やはりアダマンタイトのせいか、細身なのに重い。身体強化をすれば問題ないだろう。衝撃吸収があるなら、打ち合った時の負担かなりの減るはず。

 試し切りしたい。ここでは無理だ。薬草を摘む所に森があったはず。ゴブリン位いるだろう。ちょっと狩りに行くか。

「あ、ルナちゃん、何かするきでしょう?」

 私の真っ黒な笑顔にマリ先輩が気がつく。

「ちょっと試し切りしたいので、森に入ります」

「あ、私も連れてって」

 マリ先輩が手を上げる。リツさんまで。どうやらレベルを上げたいようだし、スキルレベルも上げたいそうだ。

 どうしたものか? ダメって言っても、すがって来そうだし、そうなれば、折れるのは私。

「私の指示に従ってもらいますよ」

「はーい」

 元気に返事をするマリ先輩、相変わらずかわいいなぁ。

「明日行く?」

 ウキウキワクワクなマリ先輩に申し訳ないが、明日はダメ。

「明日はおそらく雨ですよ」

「そうなの?」

「まあ、雲行き怪しいし」

「あー、残念」

 しょうがないでしょ。雨の森を進むなんて私でも嫌だし。

 ナリミヤ氏がリツさんに渡した袋を確認すると、なんと大金貨が詰まってました。あ、リツさん卒倒しそう。大金貨一枚で金貨百枚分。それがなんと五百枚。五億Gだよ。

 リツさんはいくらなんでももらえないって。まあ、そうだね。

「これ、きっと口止め料も入ってますよ。ナリミヤ氏には、これだけぽんと払える資産あるんです。いいんじゃないんですか?」

 私が言うと、リツさんは悩み出す。

 結局、リツさんのアイテムボックスに仕舞われた。機会をみて、ナリミヤ氏と話すそうだ。

 それからローズさんがいれてくれた紅茶を頂く。うーん、変わらず美味しい。お茶請けは本日洋梨のタルト、本当にいつもすみません。いただきます。

 パクッ

「ん~」

 パイ部分はサクサク、洋梨は煮てあって柔らかい。しかもこの黄色のクリームがうまいのなんの。

「カスタードクリームね。美味しい」

 リツさんが驚いたように言う。

 なるほど、この黄色のクリームはカスタードクリームなるものか。

「いくらでも入ります」

 キリッと感想を私も述べる。

「だから、口元」

 リツさんがまた拭いてくれる。またやらかした、恥ずかしい。

 それでも、もくもく食べる。

「マリちゃんの手作りなの?」

「うん」

「すごいわ。私、お菓子はあまり作らなくて」

「リツちゃんも料理を?」

「ええ、好きでいろいろ作っていたわ」

 召喚前だね。気になる。異世界料理。

 リツさんがため息をつく。

「でも、こちらには味噌も醤油もないでしょ。レパートリーが少なくて」

 ミソ? しょーゆ? なんだそれ? 野菜かなにかの種類か?

「あるわよ味噌も醤油も」

「え、うそ」

 リツさんがマリ先輩の言葉に飛び付く。目、血走ってます。マリ先輩はその迫力にタジタジ。

「手作りだけど、まだ試作中なの、味がまだまだな感じ」

「お米とか大豆どうしたの? 確か麹とかもいるでしょ」

「ああ、それはナリミヤ様が種麹の製作に成功して。私、おばあちゃんが自家製の味噌とか醤油を作っていたの知ってたから、分量知ってて。お米は日本ほどじゃないけど、手にはいるの。大豆はクレイハート領で栽培してるし。ただ、時間がかかるから、まだ、ナリミヤ様にお渡しできるようなものでもないし」

「発酵ね」

「そうなの。マジックバックにも入れてるけど、時間停止だから全然発酵進まないから。ほとんどライドエルの家にあるの」

 話分からない。米位知ってる。確か水源が豊富な北地方で取れる。食べたことないけど。

「あの、そのミソとかしょーゆって何ですか?」

 口の中のパイを飲み込み、聞いてみる。ローズさんが紅茶のおかわりを淹れてくれる。

「二つとも調味料よ。日本ではほとんどの家庭にはある調味料ね」

「へぇ、気になりますね」

 気になる、異世界調味料。

「機会があったら何か作りましょう、リツちゃん、私、お菓子は得意だけど、料理はいまいちなの」

 え、コロッケの女神が何言ってるの?

「簡単なものなら作れるけど。レパートリーが少なくて。できるのはコロッケとか簡単なひき肉料理とかなの。しかもうろ覚えだし。ケチャップとホワイトソースは何とか出来たけど、デミグラスソースとかレシピ知らないし」

 なんだろう。よだれが出そうな言葉が次々出てくる。

「それだけできれば凄いわよ。そうね、キッチンがある所なら、何か作って見ましょう」

 うふふ、と笑うマリ先輩とリツさん。かわいいなぁ、今日もお花が飛んでます。

「ルナちゃんも一緒に作りましょうね」

 話を振られた。

「無理ですよ。私は焼くくらいしかできません。解体ならお手伝い出来ますが」

「大丈夫よ。はじめは誰だって上手くいかないわ。一緒にしましょう」

 優しいリツさんの目が痛い。しかし、自信がない。多分、二人の料理ってレベル高そうだし、なんか、やらかしそうで怖い。あ、唯一まともなレシピは、母が年に一度感謝祭に作る、肉のワイン煮込み。あれ、毎年の楽しみだったな。だか、材料、なんだったっけ。いかん、こんなことならちゃんと覚えて置けば良かった。

 うーん。

 わからん、うん、思い出せない。紅茶を一口。

「ルナちゃんだって、そのうちいい人見つけるだろうから、胃袋掴まないとね」

 マリ先輩の言葉に、私が紅茶を吹き出したのは、言うまでもない。

読んでいただきありがとうございます。

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