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決闘⑤

きゃっきゃ

 ウェルダンの屋敷に戻り、着替えてさあ作戦会議。あの騒ぎは、すでに知らされていたのか、ミーシャが心配そうに聞いてきた。

「ルナお姉ちゃん大丈夫なの? アルフお兄ちゃんも?」

「大丈夫よ、きれいに治ったし」

「あんななまくら、儂の鎧にキズはつかんさ」

 アダマンタイトの鎧ですからね。

 ウェルダンの屋敷を一室を借りて集まる。ちゃっかりイスハーン殿下もいる。だけど、あまり時間がない。この夜会があるのだ。『決闘』出場者と、子供の部で優勝したミーシャ、保護者でアーシャも出席しなくてはいけない。ただ、がちの夜会ではない。ご招待した貴族達招いて、お疲れ様会みたいな感じだ。あまり肩を張る必要はない。なので、あまり爵位を振りかざして威張るのはマナー違反な夜会となってる。最低限の礼節さえ守れば、オッケーと。夜会は爵位によって入場の順番があるが、これにはない。好きなときに来て、主宰にご挨拶したらいつでも帰れる。

 まあ、夜会はさておき。

「さて」

 リツさんがお悩みモード。

「問題は、いつ、どこで、よね?」

 確かに。ジェヤード様、いつ帰国かな?

「クレイハートでも調べてみるけど、時間がないわ」

 マリ先輩が焦ったように言う。あのメイドさんが妊娠していると聞いてからだ。ジェヤード様が暗殺されるなら、あのメイドさんだって無事には済まない。2人共に今回の件で、口封じされるのだろう。

 優しいなあ。

「うーん」

 リツさん、ごそごそ。

「あ、ナリミヤ先輩。ご無沙汰してます、サイトウです。無事に決闘は終わりました。はい、はい。なんの問題もないのですが。はい、はい、実はご相談がありまして。罪のない、若いカップルが、暗殺されそうで、彼女は妊娠しています。なんとか助けて上げたいのですが。あ、はい、はい、ありがとうございますナリミヤ先輩」

「アルフ、リツ君は何をしているんだ?」

「そのうち分かるさ」

 リツさんが携帯電話を、部屋の中央において、みんなで距離をおく。

 携帯電話が光り。

「ソウタ・ナリミヤ参上」

 マルコフさん達と、イスハーン殿下がひっくり返る。ただ、バーンだけは別。

「あーっ、ソウタ君っ」

「あーっ、バーンさんっ」

 久しぶり、と、きゃっきゃ、いや、野郎がね、やってもねえ。

 初めて見る面々は、ドン引きしてる。イスハーン殿下なんて、椅子を盾にしてるし。

「皆さん、お久しぶりです。さて、サイトウ君、さっきの話だけど、その前に彼女のご両親と会えないかな?」

 え、私の?


「うちのものが、大切なご息女に刃を向け、傷つけました。本当に申し訳ありません。申し訳ありません。本来なら、もっと早く来るべきでしたが、本当に申し訳ありません」

 ナリミヤ氏は、私の両親を前に、絨毯に額を着けて謝罪。ああ、あの時のことか。忘れてた。あの時私も耳、切り飛ばしたのに。私がこそっと、困惑する両親に説明。

 なんでも、クレイハート経由で謝罪の書簡を送ってはいたらしい。何度も。

「ナリミヤさん、ルミナスから聞いております。あなたには娘の治療を惜しげもなく行い、十分に慰謝料や、さまざまな事をしてくれたと。書簡も受け取っておりますから」

 あの最後の剣、慰謝料としてもらって良かったか未だに分からないし。

「あなたに対して思いはございません。なので、頭を上げてください」

 お父様はナリミヤ氏に対して怒ってないだけ、あの赤紙エルフだけは許せないだけと。

「本当に申し訳ありません」

 ナリミヤ氏の謝罪は、ずいぶん長く続きそうなので、埒が明かないので、切り上げてもらった。

 再び作戦会議。

「なるほどだいたい分かったよ。とにかく情報が必要だね。任せて」

 ナリミヤ氏はワープでどっかに行って、直ぐに戻って来る。この人本当に規格外。マルコフさん達はどうしていいか分からない顔、イスハーン殿下は警戒警戒。

「今、うちの諜報員が探ってるからちょっと待ってね」

 諜報員って、まさか、まさかね。

「ナービット伯爵とナリキンヤ侯爵をね。そのご令嬢気になるし」

「ありがとうございますナリミヤ先輩、さ、どうぞココアの再現できました」

「ありがとうサイトウ君ッ、いただくよッ」

 ずー。

 幸せそうにココアを飲むナリミヤ氏。

 私もココア、甘いんだよ、これ。割合を変えたりすると、苦味あるけど、私は甘いのが好き。

「ナリミヤ様、ガトーショコラの再現も出来たんです」

 ローズさんが、ガトーショコラとクリームののったお皿を出す。私も食べたい。だけど、時間切れ。

「さあ、お支度のお時間ですよ」

 えーっ。


 私は昼間とは別のドレス。綺麗な青いドレス。ローズさん渾身のデザイン。ジェシカもお揃いだ。うむ、かわいい。だけど、変な虫が付かないだろうか? エリックにナリミヤ印のナイフを渡そうとしたが、リツさんのチョップが飛ぶ。

「何を渡そうとしているの? こら、そのナイフは足につけないの」

 ローズさんによって綺麗にヘアセット。ジェシカとお揃いだ。

「えへへ、ねえ様と同じだあ」

 お母様も綺麗にセットされる。私より濃い青いドレスだ。

「フェガリ、綺麗だ。ルミナス、ジェシカもよく似合うよ」

 お父様も惚れ惚れしてる。お父様とエリックは昼間のスーツだ。

 アーシャとミーシャは辺境伯様と面会した時のブラウスとスカートだ。花のコサージュが胸元と髪を華やかに飾る。あの美少女コンテストでもらった花束を加工したようだ。うん、かわいい。え、こちらも悪い虫が、付きそうだけど。

 男性陣の支度も整う。

 あの辺境伯様と面会した時のスーツだ。イスハーン殿下は、詰襟のスーツだ。ローズさんが、細かい埃を払い、少しくせのある髪を整える。背筋がぴん、としてる。うん、こう見たら、バーミリアン殿下によくにてる。ローズさんがいないと三角形に挙動不審なのに。

 アルフさんは私達と一緒に行くことに。私をエスコートしてくれることに。ほら、こ、こ、婚約者だからね? 「決闘」に勝って、晴れて、こ、こ、婚約者認定されたからね?

「もう、アルフレッド君はうちの家族だからね」

 お父様がそう言ってくれる。嬉しい。

 夜会はウェルダンの屋敷の一角で行われる。

 私達はぞろぞろと移動した。

読んでいただきありがとうございます

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