ゴーレム②
戦闘表現あります。ご注意を。
野良ダンジョンに到着。
ヒースと名付けられたダンジョン。
ショウに警戒されたが、無事に入れた。
「皆さん、大丈夫ですか?」
マルコフさん達が疲れた顔で降りてくる。
「速いのは、いいが…………」
「そうね、慣れるの、時間かかりそう……」
宿を探してチェックイン。
次の日、いざ、ヒースに入る前に、一団とすれ違う。
若い少年達が、教官に引き連れれている。
騎士学校の生徒だ。
アーサーが無表情になる。
ああ、あれか、あの中にいるのか。
すれ違った瞬間、一人の黒髪少年が凄い顔で見ている。
え、あれ? もしかして、あれなの?
似てない、全然似てない。え、共通点は黒髪と青の目くらいよ。背もアーサーの方が高いし。顔立ちもいってはあれだけど、比べたらアーサーの品が際立つ。
「アーサーお兄ちゃんの方がかっこいいよ」
「メエメエ~」
ミーシャとノゾミが素直な反応。
うん。そうだね。
「ありがとうミーシャ、ノゾミ」
落ち着いた表情のアーサー。
「アーサー君、気にしないのよ」
「はい、リツ様」
アーサーは意外と冷静だった。
何でだろうと思ったが、後で聞いたらこうだ。
「自分はリツ様の奴隷です。それが誇りですから」
「そう」
迷いなく答えたアーサーに、なんだか、誇らしい。
それからヒースに入る。
リツさんの後ろにぞろぞろ続くミカエル達は、人型の為か、チラチラ見られたけどそれで済んだ。
「さあ、ミカエル達のレベルアップよッ」
「マスター、イタイ」
メソメソミカエル。
「はよう、戦かわんかいッ」
私は角ウサギを薙刀で押さえながら、ミカエルに怒鳴る。
あっちこっちそんな感じだ。
ウリエルとラファエルも盾を構えたが、見事にひっくり返る。アルフさんとマルコフさんが慌ててフォローに入る。
アリエルの魔法もガブリエルの弓もあっちこっちに飛んでいるが、当たらない。
悲鳴があちこちで上がる。
「皆、頑張ってっ」
リツさんがエールを送るが、ひっくり返る。
「マスター、イタイ」
「マスター、イタイ」
「マスター、アタラナイ」
「マスター、マッスグトバナイ」
「仕方ない、レベル1だからなあ」
アルフさんが足で角ウサギを押さえながら呟く。槍の柄で、もう一匹を押さえる。
まあ、転ける、つまづく、枯渇する。
初心者エリアで、Bランク、Cランク、Eランクのパーティーがわたわたしている。他の冒険者達からおかしな目で見られた。
そんなこんなで、10日経過。
何だろう、疲れる。
やっとこさ、角ウサギを単独で撃破できるようになった。
「マスター、タオセタ」
「マスター、コロバナイ」
「マスター、コケナカッタ」
「マスター、マッスグトンダ」
「マスター、アタッタ」
「皆、凄いわッ」
リツさん誉めちぎる。
ミカエル達の戦闘訓練をしながら、アーシャ、ミーシャ、リーフ、ララのレベルアップを図る。ノゾミは駆け回り、ショウは呑気に昼寝している。ダンジョンなのに。
あっという間に2週間。
1日だけ、下層に行った。マルコフさんがワープストーンを持っていたのだ。
リツさんが目の色変えてチーズと叫ぶ。
はいはい。
ミカエル達は後方に構える。
ハルバートを構えた、ミノタウロス。
「チーズッ、チーズッ」
「はいッ、リツ様ッ」
アーサーが薙刀握りしめ気合いが入る。
「「「「「マスター、ガンバっテ」」」」」
ミカエル達の声援が飛ぶ。ショウはミカエル達の護衛だ。
フル装備のアルフさんが盾を構える。
「シールドバッシュッ」
巨体のミノタウロスが吹き飛ぶ。
「行くぞッ」
マルコフさんが大剣を構え、薙ぎ払う。
体制を崩した瞬間にイレイサーが斬り込み、バラックが斧を叩き込み、バーンが首にナイフを突き立てて行く。相変わらず見事な連携。立ち位置を変えながら、見事な動きだ。
「行くわよッ」
フレナさんが掛け声。
キャリーがファイヤーボールを飛ばし、顔面直撃。勢いが落ちたハルバートをサリナのシールドバッシュが弾く。追い込むように、フレナさんとエレがそれぞれの剣を振り抜く。動きがいい。
負けていられない。
私は薙刀を握りしめる。リツさん、マリ先輩、ノゾミの魔法が飛ぶ。
「リーフ、続けッ」
「イエッサーッ」
私は火魔法を纏った薙刀で、腕を斬り飛ばす。
リーフも斬り込むが、浅い。今回サーシャが援護に徹している。光魔法を纏った矢が、次々に突き刺さり沈黙。
アーサーは支援を飛ばしながら、薙刀一閃。
ローズさんは、バチバチ鳴るナイフで一撃。アーシャとミーシャはアルフさんの援護で、何とか倒している。
途中でアルフさんは斧を投げて、ララに迫るミノタウロスの足に直撃。フレナさん達が総攻撃。
しばらくして転がるドロップ品。
「チーズ、チーズ」
リツさんがルンルンで拾う。
ミカエル達も拾ってくれた。
「アルフ、あんた、凄いわね」
フレナさんが斧を拾って渡している。
「しかし、苦戦したミノタウロスが、こうも早く終わるとはな」
マルコフさん、あんまり納得してない。
「まあ、アーサーの支援もあるしな」
「それだけじゃないだろうアルフ、お前越えているだろう?」
マルコフさんが鎌をかける。
「はは、マルコフさんもだろう?」
「ははは」
「ははは」
マルコフさんも100越したのかな? 動きいいし、大剣を扱う動きも洗練されてるし。
結局、分からず。
「これで、美味しいチーズタッカルビが出来るわ」
「ラクレットもいいわよ」
リツさんとマリ先輩が美味しそうなワードが出る。なんだろう、ワクワク。お手伝いしなくては。
チーズと拾い終わると、宝箱を出てきた。
斥候チームがチェック。
罠はなく、開けると、宝石が出てきた。エメラルドとルビー、サファイアだ。
リーダーが相談。地竜の咆哮に臨むための、食料品購入となる。
脱出用魔法陣が出て、脱出。
明日、トウラに帰ることになる。
ダンジョン、ダンジョンと繰り返すミカエル達をなだめて、帰宅となる。
アーサーのあれは、既に帰っていたから、すれ違うことはなかった。
いよいよ帰国だ。
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