表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/386

空⑤

結末

 壁が上に移動。

 多分、騒然となる事なんだろうけど、いろいろ見すぎて驚かない。

 そこには棚があり、5個の球体。大きさは私の両手の手のひらで持てるサイズ。なんか、白く濁っているけど。

「これが、ゴーレムコア? すごい、なんて細かい魔法陣なんだ」

 ナリミヤ氏が驚いた声を上げる。あのナリミヤ氏が驚いているから、かなりすごいんだろう。

「…………私の声、わかる?」

 リツさんが優しくゴーレムコアに話しかける。リツさんにしか、聞こえないんだろう。

「そう、そうなのね。ずいぶん待ったわね。でも、もう大丈夫だからね。貴方達のお母さんのお骨は、私の責任を持って埋葬するわ。庭が広いからそこでもいいわ。そうしたら、毎日お参りできるわ。もう、大丈夫だからね。私の所にいらっしゃい」

 こうなるだろうなって思っていた。リツさんがあの壁のメッセージを見て、知らん顔なんてしない。

「ナリミヤ先輩、持ち歩いても大丈夫ですか?」

「ちょっと待ってね。うん、大丈夫だね。ただ、無機物だけど、アイテムボックスは無理だね。意識があるし、そうだねAIみたいだね。サイトウ君、ゲージ使える?」

「いえ、まだです」

「出来ると便利だよ」

 何を言ってるのよ、レベルのおばけが。

 ただ、時空間魔法が使えるアーサーが悩み出す。

「スキルレベルはどれくらい必要ですか?」

「サイズによるけど最低35くらいかな」

 ぐっ、と詰まるリツさんとアーサー。

 まだなのね。あれだけパンの発酵してるのに。

「35になると、ショートワープ使えるよ」

 悩み出すアーサー。ショートワープまで使いこなせたら、私の出る幕ないね。

「時空間魔法のスキルレベルアップしましょう」

「はい、リツ様」

 それからナリミヤ氏がゴーレムコアをチェック。

「うん、全体が目で皮膚で耳だね。普通のゴーレムコアとそれは変わらないけど、どちらにしてもボディが必要だね。サイトウ君、僕のガーディアン、何体か使う?」

「いえ、この子達の希望を聞いてから作って見ます。しばらくは様子見ます」

「分かったよ、良かったら基礎のガーディアンの神経構図あげるね。参考にして」

「ありがとうございます」

 それからリツさんが藤の篭に入れる。

「さあ、行きましょうね」

 優しくリツさんが篭に声をかけて、私達は部屋を出た。


「濁ってはいないんですね」

 私は並べられたゴーレムコアを覗き込んで呟く。

 濁っていたと思っていたけど、コアの内部は大小金様々な魔法陣が、絡み合うようにびっしり刻み込まれている。

「これを作った人は優秀な人みたいだね」

 ナリミヤ氏がコントロールルームで作業の休憩しながら、答えてくれる。

 只今、お昼ごはんです。

 ホットドッグと具だくさんのコンソメスープだ。

 好みで粒マスタード。ナリミヤ氏、アルフさんはたっぷり。リツさん、ローズさん、アーサー、サーシャはそこそこ。私、マリ先輩は少量。アーシャとミーシャはなし。

 リツさん特製の腸詰め、マリ先輩のロールパン、うん、最高。パクパク。

「そうよ、人はね、こうやって食べてエネルギーを得るのよ」

 リツさんがゴーレムコアに声をかけている。

 端から見たらおかしいけど、何もいいません。

「とにかくいろいろなものに見て、聞いて、それから感じることから始めた方がいいよ」

「はい、ナリミヤ先輩」

「いずれボディを作るなら今から神経となる、『線』を作っていたほうがいいよ」

 神経?

「神経って言うのはね、頭と全身を繋ぐ回路ね。これが傷ついたりしたら、その先の手足が動かなくなったり、動きが悪くなったりするの」

 ふーん。パクパク。ずー。分かりません。

 ナリミヤ氏とリツさんが説明してくれるが、ちんぷんかんぷんだ。しばらくしてまず理解したのはアルフさんだ。付与と関連付けて考えたら、理解できると。ふーん。

 アーサーとリーフもなんとなく理解してる。

「お兄ちゃん、分かる?」

「俺に聞くな」

 三兄妹は揃って首を傾げる。私もだよ、ずー。

 お昼ごはんの後、再びいろいろ探索する。

「リツさん、ゴーレムコアはここがどうしてこうなったか分かってます?」

「ううん、分からないみたい。製作者の女性としか向き合ってなかったみたい。製作者はいろいろ教えていたみたいだけど。いつか、ゴーレムコア達を助けてくれる人が現れるまで、待っていてって、言っていたみたい」

「そうですか」

 私は篭に入れられたゴーレムコアを覗く。

「製作者の女性は、いつかボディを作って、世界のあちこちを回りたかったみたいね。この子達に、いろいろスキルあるみたいよ」

「え、ゴーレムコアが魔法スキルを?」

「あるみたいね。ナリミヤ先輩曰く出来ないことはない技術だけど、魔力の消費がかなり悪いし、使える魔法も制限されるみたいだから、そこを補ったなにかを作らないとね」

 お悩みリツさん。

「魔石はダンジョンアタックでかなりあるし。まず、神経の作成、骨格をどうするか、背丈に、表面をどうするか。金属の割引もどうしましょう?」

 更にお悩みモードのリツさん。

「まず、ボディの簡単なデザインしたらどう?」

 マリ先輩が、悩んでいるリツさんに声をかける。

「いくつか作って、好きなデザインを選ばせたらどうかしら?」

「そうね。それがいいわね。基礎の構図あるし」

 話がまとまる。

「マリ様ー。奥に変な馬車ありますよ」

 通路の奥でリーフが手を降る。

「馬車?」

「マリちゃん、行って見ましょう」

 私達はリーフの元に。

 確かに変な馬車だ。金属製で、筒みたいなのがあって、車輪がごつい。それに馬と繋ぐ場所が分からない。何台も何台もある。

「変な馬車ですね」

「そうだな」

 私はアルフさんと見て回ろうとすると、リツさんが待ったをかける。

「待って、触らない方がいいわ」

「? リツさん、これ分かるんですか?」

「これは『戦車』よ。私達の前にいた世界の武器の一つよ。アーサー君、ナリミヤ先輩呼んで来て」

「はい、リツ様」

 アーサーがナリミヤ氏を呼びにコントロールルームに向かう。ナリミヤ氏は整然と並ぶ戦車に厳しい顔だ。

「ナリミヤ先輩、どう思われます?」

「そうだね。ある程度予測していたけど。ここは武器の製作工場、もしくは武器庫だね。女神を引きずり下ろすってメッセージにあったけど、あながち嘘じゃないみたいだけど。これは、ちょっと残してはいけないね。録な連中の手に渡れば、世界構造かわってしまうから」

 ナリミヤ氏は一つ、息をつく。

「この島は、内部を破壊後、落とそう」

読んでいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ