特殊依頼③
付与
それから『ハーベの光』『紅の波』の装備に取りかかる。
バーンのナイフは、サーシャのナイフを再度調整する。後は籠手にはエル・アーマーボアで作られる。皮に付与がアルフさんにはできない。錬金術チームがサービスで中の光魔法補助、衝撃吸収。それから小の自動修復、硬化強化、重量軽減がつけられる。籠手にしてはごついけど、下手したらなまくら刀は歯が立たなそう。
バラックは今持つ盾と鎧の改修だ。盾はアルフさんがチェックすると、ほぼ作り直されることに。魔鉄とミスリルを混ぜて、マナ・グラントレントに巻く。バラックは最近無属性魔法を覚醒させたので、補助がほしいと。サービスは中の無属性補助、小の衝撃吸収。それから小の自動修復、重量軽減。鎧には魔鉄と少しミスリルを合成される。サービスの付与は中の無属性魔法補助、小の重量軽減。それから小の自動修復、衝撃吸収。
イレイサーは皮鎧一式。ダンジョンから出たコブラの革が使われる。ザハラコブラという魔物の皮だ。軽いし、柔軟性がある。風魔法を使うイレイサーは軽量化された鎧を希望した。デザインにローズさんとリーフが関わり、出来上がる。サービスは中の風魔法補助、小の衝撃吸収。それから自動修復、温度調整、硬化強化。
フレナさんは皮の鎧とショートソードだ。皮鎧はリーフのデザイン採用された。女性らしいさが出ているが嫌味はない。皮にはダンジョンから出たフレイムポイズンスネークの革が使われる。潜在付与に小の火魔法補助と解毒がある。サービスは中の衝撃吸収、小の火魔法補助。それから小の自動修復、温度調整。ショートソードはミスリルを軸に魔鉄が巻かれる。鎧と同じスネークの皮で鞘で作られる。波模様を彫刻される。揃うとなかなかかっこいい。フレナさんの赤い髪とよく合う。
サリナは鎧下に着るシャツと、頑丈なブーツだ。シャツはダンジョン出てたククールゴートの毛で、丈の長いシャツができる。灰色で光沢があり上品だ。サリナは無属性魔法を使う。サービスは中の無属性魔法、小の衝撃吸収。それから小の自動修復、温度調整。ブーツはエル・アーマーボアを使用、極薄鉄板が爪先と靴底に仕込んである。ちょっとごついけど、丸みを帯びた靴先。サービスは中衝撃吸収、重量軽減。それから自動修復。
キャリーは杖の改修と、ローブだ。
もともとトレントの杖だ。加工してミスリルの芯に巻き付ける。キャリーは火と水、無属性魔法を使う。サービスは中の火魔法補助、小の水魔法補助。それから自動修復、重量軽減、衝撃吸収。ローブには、ダンジョンで得たククールゴートとノゾミの毛で出来上がる。淡く赤みを帯びた上品なローブだ。デザインはローズさん。サービスは中の火魔法補助、小の無属性補助。それから小の自動修復、衝撃吸収。ノゾミの毛を僅かだが使用したので微の火魔法補助が潜在にある。
エレはレイピアの改修と皮鎧だ。アルフさんがチェックして、結局作り直し。全く同じサイズだが、魔鉄を増やしミスリルを加える。エレは無属性魔法を使う。サービスは中の無属性補助、小の衝撃吸収。それから小の自動修復、硬化強化。皮鎧はダンジョンで得た一角ディアーの皮だ。ちょっと厚いが、柔軟性と強度がある。フレナさんと微妙に似たデザインになってしまった。サービスの付与し中の無属性補助、小の衝撃吸収。それから小の自動修復、温度調整。鞘も同じ一角ディアーで作られる。
問題はララだ。全く予算がない。なんでも数日前に実家に送金したばかりで、手持ちではできないと。ララの実家は農家で、両親、妹と幼い三つ子の弟がいるが、ここ2年ほど作物の実りがよくなく、ララの仕送りで食いつないでいると。結局、サーシャの盗賊から拝借したナイフと小型ナイフを安く譲渡することに。それから今着ている装備品、皮の胸当てに小の衝撃吸収を着けた。
すべてが終わったのは、ミュートで依頼を受けて15日経っていた。
「わあ、ありがとうアルフ」
バーンがナイフをチェックして、籠手を着ける。
バラックとイレイサーも鎧をチェック。
「盾が、別物に、上物になってる」
「気にするな」
「念願の鎧だ」
盾を見て呟くバラックに、アルフさんが作業しながら軽く言う。イレイサーはとにかく嬉しそうに、あちこちチェック。リーフがサイズ合っているかチェック。
「やっとリーダーに釣り合うね」
バーンが嬉しそうだ。
マルコフさんのあの鎧と剣の評判がいいらしい。マルコフさん自身、トウラ唯一のAランク冒険者だし、Bランクパーティー『ハーベの光』のリーダーだしね。それに見合う装備品を身に付けたマルコフさんに、引け目を感じていたようだ。
「似合いますよサリナさん」
「そ、そうかしら?」
リツさんが鎧を身に付けたサリナさんをチェック。うん、よく似合うよ。
「いいのかしら? なんだか、予算以上な気がするんだけど」
「気にするな。サリナ、剣の確認してくれ」
「あ、分かったわ」
サリナのシャツとブーツも問題なし。
「なんだか、高そう」
呟くサリナ。スルー。
「素敵なローブ、杖も凄いわ、魔力が滑らかに流せる」
「この皮にしてよかったわ、動きやすいわ」
キャリーとエレも納得の出来な様で、姿見を前で何度も見ている。
ぽつん、とララが羨ましそうに見ている。仕方ない予算がないしね。さっとマリ先輩がケーキを出す。
「ララちゃん、ナッツのケーキよ。新作なの、良かったら味の感想聞かせて」
いそいそとララがテーブルに着く。ローズさんがお茶を出す。
いそいそとショウが寄っていく。マリ先輩は、当たり前のようにショウにもケーキを出している。私のは? マリ先輩、私、私いますよ。
「皆さん。いつミュートに?」
私達は装備品が出来上がり次第に、ミュートに向かうことはなっている。
「装備品の確認の為に魔の森に行くから、来週になるな」
「そうね」
マルコフさんとフレナさんが答える。
「とにかく、アルフ、皆さん、我々の特殊依頼を受けてくれてありがとう。これで新しいダンジョンに潜れる」
「本当にありがとう」
皆さんぺこり。
新作ケーキとお茶を楽しんだ後で、冒険者ギルドに。報酬はリツさんが一括で受けとる。私や三兄妹は辞退した、裁断しかしてないしね。まず付与をかけた数や鎧や武器の製作数などから、分配されると。武器系とバラックの盾と鎧はアルフさんが手掛けたからね。
私達は明日ミュートに向かうことになる。その日は早めに休んだ。
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