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特殊依頼②

採寸

 次々に希望が聞かれる。

「僕は魔法の補助してもらえるものがいいなあ。光魔法の補助付いたの」

 バーンはあのオークの巣で、マルコフさんのキズを治しきれなかったのを気にしていた。

「補助か、まあ、定番はアクセサリーだが。籠手とかでもできるぞ」

「あ、籠手がいい」

「分かった」

 わいわいと採寸が進む。

「お姉さんの髪に合わせるなら、このコブラの皮がいいんじゃないかあ? 火魔法の補助もあるし、きっとぴったりだと思うよ」

 リーフが首にメジャーをかけて、深い赤の皮をフレナさんに当てている。なんだか、様になってるけど。

 フレナさんは戸惑いの表情。

「そうかしら? でも、高そうだわ」

「大丈夫だよ。リツさんここにある皮なら、予算変わらないって」

「そ、そう?」

「そっちのお姉さんは鎧の下に着るシャツだよね? なら、この山羊の毛を使ったのはどうかな? とっても柔らかいし通気性抜群だよ、色も上品だし」

 今度はサリナが戸惑う。

「そう?」

 エレが私に聞いてくる。

「ねえ、あのエルフの子、ずいぶん手慣れているけど」

「テーラーですからね」

「そこのお姉さんは? 確か革鎧だったね。お姉さんなら、このティアーの皮はどうかな? 落ち着いた色合いだし、何より軽くて動きやすいよ」

「あ、あら、そう?」

 エレも戸惑っている。

 うん、様になってる。

 わいわいと、採寸やらなんやらですでに夕方過ぎ。

 リツさんが夕食ご招待したら、全員頷いた。

 四本腕の熊のワイン煮込みだったが、大好評だった。デザートにはダンジョンで得たドライフルーツのお茶やクッキーやスコーン、パウンドケーキ、マフィンが並ぶ。私もいただきます、きりっ。


 工房で、作業が進む。

 ただ、手狭になり、使っていない応接間で裁断作業がされる。

 服を作る作業ではないので、私や三兄妹は役に立たない。

 とりあえず、戦闘訓練や料理の下拵えだ。

 リツさんの誕生日はきちんとしましたよ。皆でブレスレットをプレゼントした。中の水・風・光の中の補助、自動修復、小の解毒だ。ちびっこ達からは、似顔絵と小さな花束、リツさんプルプルしてた。アーサーは端正に育て上げた花束だ。リツさんは嬉しそうだ、それ以上にアーサーが嬉しそうだ。

 花束は細工して保存すると。

「プリザードフラワーね」

「そうよ」

 マリ先輩は分かったようだが、分からない。聞いてみると水分を抜いたりして、長い間保存できると。

 リツさん、花束抱えて、くるっと回転しそうだった。

 1年経った。

 あれから1年経った。

 初めは私とリツさん、マリ先輩、ローズさんだけだったけど。鍛治師兼タンクのアルフさん、奴隷だが優秀な魔力系スキルを持つアーサー。グリフォンのショウ、カラーシープのノゾミ。身体能力の高い斥候サーシャ、その妹アーシャとミーシャ。最後にあの赤髪エルフの弟リーフが加わった。

 後、2年だ。

 リーフの話からして、絶対何かしらの接触をしてくるはずだ。あの時、あの場所にいた私達にも逆恨みしているだろう。

 杞憂になればいいが、その可能性は低い。

 私は、リツさんやマリ先輩やローズさんをまもれるだろうか?

 楽しく笑う皆を見ながら、私はどこか、冷えていく。

「どうした、ルナ」

 そっと、アルフさんが私を覗き込む。

「いえ、なんでもないです」

 私は慌て作り笑い。久しぶりにレリアとブレストがアルフさんの肩にいる。

「そうか?」

「はい」

 相変わらず優しいなあ、アルフさん。

 なんて思っていると、レリアが私の肩に飛び移り、首を傾げる。

「かわいい」

 うん、かわいい。

 指を出すと、チュッとしてくれる。

 かわいい、私は笑顔が浮かぶ。本当の笑顔が。

 アルフさんは、そんな私を見て微笑んでいる。保護者の笑顔だね。やっぱり、ちょっと寂しいかな。

 でも、しょうがないよね。

 私はいつまでたっても、アルフさんにとっては、保護対象の子供なんだな。

 でも、しょうがないよね。

 それで、満足しないとね。


 毎日忙しい日々が続き、次々に出来上がる。

 まず、ヴェルサスさんのロングソードだ。あの例の胸当てを使い、ミスリスとちょっとアダマンタイト追加。付与は中の火魔法補助、小の無属性。ここまではサービス。それから小の自動修復、硬化強化、衝撃吸収、重量軽減がつけられる。鞘はエル・アーマーボアを使用して内部に硬化強化した薄い魔鉄が仕込まれる。

 ビルツさんの皮鎧一式も出来上がる。深い茶色で、なかなかかっこいい。付与はアルフさんはできないので、錬金術チームが担当する。サービスは中の土魔法補助、小の無属性補助。それから、小の衝撃吸収、自動修復、温度調整だ。硬度はかなりあるから見送られる。

 ゴーディさんの盾には、マナ・グラントレントが加工され、胸当てを覆うわれる。サービスは中の無属性補助、小の重量軽減。それから小の自動修復、衝撃吸収。片刃の斧は柄にマナ・グラントレント、刃には胸当てから再生。中の無属性補助、小の重量軽減。小の衝撃吸収となる。

 ヨゼフさんはダンジョンで手に入れた糸を使って手袋が出来上がる。あのボス部屋にいた灰色の毛虫だ。なんか、チクチクしそうだけど、高級品らしい。まあ、グレイキルスパイダーよりは劣るけどね。とにかく柔らかく柔軟性があり、通気性ばっちりとな。サービスは中の無属性補助、衝撃吸収。後は小の自動修復、解毒、硬度強化となる。ナイフは大型だ、例の胸当て使い作り上げられる。サービスは中の無属性補助、小の衝撃吸収。それから小の自動修復がつけられる。

 ネエラさんのローブはおしゃれな丈の短いワンピースになった。デザインにリーフが加わり、まあ、トルソーの前で熱い討論が繰り広げていたよ。ローブの付与は錬金術チームが担当。中の光魔法補助、小の風魔法補助がサービス。それから自動修復、小の硬度強化、衝撃吸収。レイピアは胸当てが使用して作り上げられる。中の光魔法補助、小の無属性補助がサービスで、小の自動修復と重量軽減、衝撃吸収がつけられる。

 ヴェルサスさん達の依頼が済んだのは1週間を過ぎていた。

読んでいただきありがとうございます

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