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特殊依頼①

依頼

「この度は、我々の特殊依頼を受けていただきありがとうございます」

 次の日。ヴェルサスさんが冒険者ギルドに個人的に我ら『ラピスラズリ・リリィ』に特殊依頼を出した。ダンジョンアタックの為に自分と同行する騎士達の装備品依頼だ。リツさんはすぐに受けて、ヴェルサスさんと戻ってくる。

「いいえ、こちらこそ、指名依頼していただきありがとうございます」

 丁寧に言うヴェルサスさんに、リツさんも丁寧に返事。

 リーフを見て、驚いている。エルフだからね。簡単に紹介される。

 ヴェルサスさんと共に来たのはビルツさんを含めて四人。

「紹介します。まず、ご存じかと思いますがビルツ。剣を使います」

 はい、知ってます。

「こちらは最近小隊長になったばかりのゴーディ。タンクです」

 ガチムチ、ゴツゴツの男性。あ、ノゾミがトコトコ寄っていく。

「ゴーディです。ノゾミちゃん、元気だったかい?」

 思い出した、夜営地が襲われた時に、一番剣を振り回してた人だ。

「メエメエ~」

 ゴーディが撫でてる。ごついのに、優しく撫でてる。

「ヨゼフ。斥候能力あり、剣と弓を使います」

 中年男性だが、歴戦の戦士ってかんじだ。

「ヨゼフです。よろしくお願いします」

 渋い声だ。

「最後にヒーラーのネエラ」

 おお、女性だ。ちょっと背が高いが、きりっとした30位の女性だ。

「よろしくお願いします」

 早速、それぞれの希望を聞くことに。

「まず、これを受け取ってくれ」

 ヴェルサスさんが差し出したのは、あのゴールドオークの胸当てだ。それといくつかの中粒の魔石。

 あのオークの巣掃討作戦の褒美として、頂いたと。

「これを使えないだろうか?」

「使えるがいいのか?」

「サイズが合わんからな」

 確かに、アルフさんでもブカブカだしね。

「なら、使わせて貰おう」

 アルフさんが頭の中で何かを描いている。

 希望が聞かれる。

 まず、ヴェルサスさんだ。

「剣をお願いしたい」

 それだけ?

「私はそれだけで十分だ。私には総隊長から頂いた鎧がある。他の者のをお願いしたい」

「まあ、ヴェルサス殿がそれでいいならいいが、そうだな、ヴェルサス殿、今の鎧貸してくれんか?」

「鎧を?」

「鎧の表面に細工して、付与を追加する。新しく作る必要はないし、すぐにできるぞ。リツ、儂作業に入る。採寸を頼む」

「はい」

「いや、剣だけで十分なんだが」

 遠慮するヴェルサスさんの鎧を錬金術チームが、華麗に脱がしてアルフさんの手元に。

「依頼は儂らのつくる内容に従うことが条件のはずだ。まあ、すぐに終わる。ヴェルサス殿、属性魔法は?」

「火と無属性だが、いいのか?」

「どちらをよく使う?」

「火だが、本当にいいのか?」 

「構わん。付与は二つまでサービスだ」

 アルフさんがかける付与に関して、そういった内容になったらしい。まあ、ナリミヤ氏からのお願いだけど。一人二品まで。皮系もオッケー。ただし、全身鎧(フルプレート)は不可。

 アルフさんは宿の居間で鎧を広げる。粉状のミスリルとアダマンタイトで、鎧一式の表面コーティングだ。アーサーの鎧でした手法だ。

 もともと小の重量軽減、魔法防御、強化硬化がついている鎧。受け取った魔石の一つにアルフさんは小の無属性魔法補助をつけて、その魔石で中の火魔法補助をつける。以前なら何日もかかる作業。さすがにレベルアップしたことと、魔力操作を得ただけはある。

「よし、出来たぞ。ヴェルサス殿、自動修復はどうする? 小ならいけるぞ。代金は発生するが、原価で受けるぞ」

「た、頼む」

「あ、私、します」

 マリ先輩が手を上げる。さっと小の自動修復を付与する。見ましたよ、魔石に小の衝撃吸収かけたの。まあ、いいかあ。

 あまりにもあっという間に出来たので、ヴェルサスさんの口が塞がらない。

 それから剣のサイズと魔法金属を確認。ロングソードとなる。例の胸当てから作り治すと。

 ビルツさんは皮の鎧一式を希望した。騎士は皆が皆、金属の鎧ではない。特にビルツさんは速さを生かした戦闘スタイル。

 皮はある、多量にある。ビルツさんは土と無属性魔法を使う。

 ロックライノセラスの皮が使用されることに。もともと土の補助があるらしい、へえ。

 ゴーディは盾とサブウエポンの片刃の斧。無属性を使う為、盾にはマナ・グラントレントと例の胸当てを薄くして覆う。斧にも胸当てが使われる。

 ヨゼフは薄くて丈夫な手袋と、ナイフを二振り。手袋はダンジョンで得た糸を使って作り上げることになり。ナイフは例の胸当てを使う。

 ネエラはショートソードと丈の短いローブ。ヒーラーなので光属性がある、あとは風と無属性を持つ。皆さん、優秀みたいだね、全員無属性を覚醒させている。ショートソードには例の胸当てを使用。ローブにはアーマーボアが使われる。

 全員、魔力感知は高い。

 微妙に残る胸当て。もったいないとナイフが二振り作られることに、誰が持つかはヴェルサスさん達に決めてもらうことに。

 わいわいと採寸が行われ、細かい付与が決められる。

 お茶やお菓子も出てきて、喜ばれた。ゴーディさんだけ、ずっとノゾミを撫でていたけどね。

 結構時間をかけて採寸。

 ヴェルサスさん達が丁寧に挨拶して帰ったのは、夕方。

 結局、もう一泊。

 早速ビルツさんの皮鎧の為にトルソーを、ネエラさんのローブの型紙をローズさんが立ち上げる。リーフもローズさんのお手伝いしてる。

 さて、残りは夕飯の準備だ。


 トウラに戻って数日後、『ハーベの光』と『紅の波』と連絡が取れる。錬金術チームとアルフさん、そして見習い錬金術師アーサーとリーフはフル稼働だ。

「ねえ、アルフ、本当にいいの? お願いしても」

 屋敷にご案内したバーンが遠慮がちに聞いてくる。

 手土産として『ハーベの光』『紅の波』がホワイトメープルを持ってきた。ドラザールの鍛治師ギルドからもらったものより小ぶりだが、十分に高級品だ。

「構わんさ、だが、今回限りだ。バーン、お前にはサーシャのナイフをやる」

「ええ? 新しく作ってくれないの?」

「何が不満だ、予算がないんだろう? 水の付与外して変わりに別の付与をつけてやるぞ」

 アルフさんがサーシャのナイフの説明すると、

「あ、ありがとうございます」

 納得してる。

「サーシャ、新しいのを作ってやるからな」

「はい」

「くうっ」

 バーンがハンカチギリギリしてる。

「アルフ、私も本当にいいの?」

「構わん、だが、今回限りだ」

 フレナさんも遠慮しているが、アルフさんは大丈夫だと答える。

 結局、錬金術チームはマルコフさん以外の装備を揃えることに。バーンにも、何か作るらしい。

 当のバーンは、お茶を運んできたホリィさんに、そわそわドキドキしてる。マルコフさんがげんこつ飛ばせる位置にいる。今日は採寸等で忙しいので、ホリィさんがお茶やお菓子を出している。ちびっこ達は部屋で遊んでいる。

「でも、ソウタ君がまだ僕たちのこと覚えていてくれたなんて」

「そうね」

 しみじみ言うバーンとフレナさん。

 アルフさんから、ナリミヤ氏からの伝言を伝えると、こんな反応だ。

 ナリミヤ氏とバーンとフレナさんは冒険者初心者心得講座で一緒になったのがきっかけで仲良くなった。

「ソウタ君、はじめはちょっと頼りなかったけど、あっという間雲の上の人になっちゃったよね」

「そうね、はじめは心配するくらいお人好しだったけど」

 レベル200越えの冒険者になっているからね。

「さて、どれを作成するか話を詰めるぞ。まずバーン」

「あ、わかった」

読んでいただきありがとうございます

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