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一旦休息①

延期

 次の日、爆走馬車でトウラに到着。

「じゃあ、また、連絡するね」

「はい、ありがとうございますナリミヤ先輩」

「リーフ君、困ったことがあったらいつでも言ってね」

「ありがとうございますナリミヤさん」

 リツさんとリーフが頭を下げる。

 颯爽と土煙を上げて去っていった。

「さ、まず、冒険者ギルドに帰って来たことを報告しましょう」

 リツさんを先頭に冒険者ギルドへ。ついでにダンジョンで手に入れた宝飾品や皮、骨の一部を提出する。査定は明後日となる。リーフの冒険者登録は明日になる。

 いざ、屋敷に帰ろうとすると、ものすごい勢いでバルハさんと数人のドワーフがやって来た。アルフさんが、拉致される。

 すごいなあ、長身のアルフさんを担ぎ上げていったよ。

 呆気に取られるリーフ。

「いつものことよ」

「はあ」

 私の説明に生返事するリーフ。

「きっと泊まり込みね。お弁当作らなきゃ」

「ねえリツちゃん、私達ちょっと寄りたい所があるの」

「いいわよ」

 マリ先輩はローズさんとリーフを連れてどこかに行く。

 私達は屋敷に戻り、ホリィ一家の歓迎を受ける。

 アンナとクララがリツさんにしがみつく。かわいい。

「「お帰りなさいリツ様」」

「ただいま、ホリィさん、何か変わったことは?」

「ございません。お帰りなさいなさいませリツ様」

 リツさんはリーフ君の説明をする。

「ホリィさん、申し訳ないけど、使用人部屋の掃除は大丈夫かしら? 今日から使うの」

「問題ございません」

 適宜掃除をしていたようだ。さすがメイドさん。

「さ、お弁当と夕飯の準備ね。ルナちゃん、アルフさんのお弁当先に作るから、持っていってね」

「はい」

 それからバタバタ料理をする。

 アルフさんにはマリ先輩特製バケットのサンドと大きめのおにぎり弁当となる。

 私がお弁当を抱えて出るときに、マリ先輩達も戻っくる。どうやら家具屋に行っていたようだ。

「もう暗いし、ルナちゃん一人じゃあぶないから、ショウ着いて行って」

「ぴぃ」

 あのマリ先輩、私、これでもそこそこレベルあるんですけど。まあマリ先輩のご厚意だし、受け取ろう。

 鍛治師ギルドでは、奥の炉で作業しているアルフさん。声をかけずらくて顔見知りの受付女性にお弁当を託す。

 屋敷に帰ると、夕飯の準備が整っていた。

 本日はアーサーの畑で取れた新鮮野菜のパスタと、バケットサンドです。どうやら一昨日辺りから少しずつ収穫しているらしく、地下の時間遅効の倉庫で保管されていた。

「さあ、明日からまた料理をしなくちゃね」

 リツさんは張り切っている。

「コーヒーを使ったお菓子やパン作りたいわ」

 あれ、苦いのに?

「沢山、ナッツやドライフルーツもあるし、いろいろ出来るわね」

 ふふふ、とお花を飛ばして話す二人。

 はい、何でもお手伝いしますよ。きりっ。


「あ、はい、まあ、そうなんですか? はい、分かりました」

 次の日、お昼前にリツさんの携帯電話が鳴った。相手はナリミヤ氏だ。

「どうしたのナリミヤ様」

 マリ先輩がパン生地を捏ねる手を止める。

「ナリミヤ先輩に指名依頼があって断れなくて、しばらくダンジョンアタックは見送らせてほしいって」

 何でもミュートで見つかった野良ダンジョン。あ、例のオークが持っていた剣やら胸当ての出先だね。簡単に調査して、もし質の悪いダンジョンなら潰すが、どうもそこそこ実入りのいいダンジョンらしく、出来れば管理したいと。ただ、そのダンジョンまでが悪路らしく、ミュートの街の建設やあのきれいで揺れない街道もナリミヤ氏が関わっていたため、今回も行政からどうにかならないかと依頼だそうだ。それでカカオの調査をしていたグレイキルスパイダー三姉妹と街道整備、ダンジョン周囲の整備をすると。

 ふーん。

「ナリミヤ先輩大丈夫かしら? 魔の森の中にダンジョンあるらしいけど」

「大丈夫じゃないです? レベル200越えてるし、あの三姉妹も連れていくなら」

 向かうところ敵なしだよ。

「そうね、そうよね。そうだわ、差し入れをしましょうか。今回のダンジョンアタックではお世話になったし、次のダンジョンアタックもお世話になるから」

「それがいいわリツちゃん。それにどうやって整備しているか見学したいし。ナリミヤ様いつ頃来られるの?」

「確か、明日マリベールを出発するって。スウちゃんで来るって」

 リツさんとマリ先輩がわいわい話し合い、ナリミヤ氏に連絡。差し入れに関しては喜ばれていたようだ。

 アルフさんは明日まで鍛治師ギルドらしく、私はお弁当を配達。

 ダンジョンアタックの延期を伝えると、ほっとした表情。

「それは助かる、ちょっと仕事が多くてな」

「無理しないでくださいね」

「ああ、ルナ、気をつけて帰るんだぞ。明日遅くとも帰る」

「はい、分かりました」

 恒例の頭撫で撫で。もう慣れました。

 昼過ぎにリーフの冒険者登録。

 リツさん達は一旦料理の作業を止めて工房に籠る。リーフの採寸だ。とりあえずグレイキルスパイダーのマントとシャツ、ダンジョンアタックで手に入れた、エル・アーマーボアの皮でブーツを作ることになった。ちらっとみたが、リーフはエルフのせいか華奢だ。筋肉付きにくいらしい。

「あの、こんなにしてもらっていいんですか?」

 リーフは遠慮がちに聞いている。

「みんなにしてるわ。気にしないで。リーフ君、武器はどうする?」

 マリ先輩がサイズチェックしながら聞いている。

「一応ナイフはありますが、その、解体用であんまり戦闘には向かないというか」

「そう。うーん、どうしよう? ねえルナちゃん」

 え、私?

「とにかく自衛手段でナイフはどうですか? 風魔法と相性がいい弓術もあるから、弓も」

「じゃあ、そうしましょう。いいかしら?」

「あ、はい、ありがとうございますマリ様」

 リーフは嬉しそうだ。

「ナイフに関してはアルフさんに相談ね。弓なら作れるし」

 金属の武器に関しては、必ずアルフさんの目を通さなくてはならない。いくら錬金術で作れるとはいえ、経験者アルフさんの目は誤魔化せない。何かしらアルフさんの手が入る。

 本当にあの残念金髪美形、すごいんだね。

読んでいただきありがとうございます

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