初ダンジョン④
戦闘、してますって。
「ここ使ってください」
ナリミヤ氏が馬車の中にあるドアを開ける。
通路がある。
ドアが4つ。
「ツインだよ」
ホテルだよ。
4つの内3つを使わせて貰うことに。アルフさん達男性陣とショウは外のテントでいいと。申し訳ない。先ほどサーシャも覚醒した。
私はリツさんと同室。シャワーを浴びて寝ました。本当にダンジョンアタックしている気分じゃない。
次の日も徒歩だ。歩く歩く。
別の冒険者パーティーとも遭遇。スレイプニルとグリフォンに怯んでいた。ご挨拶して、別れる。グレイキルスパイダー達は気配を消して岩の影に隠れている。
ナリミヤ氏が最短距離を蜘蛛達に調べてもらっていたので、なんとか夕方前に13階に到着。
13階は密林だ。
馬車、無理ね。はい、歩きます。
でも無理せず、夜営する。
13階もサーシャとアーサーが先頭。だいぶグレイキルスパイダーの松美、竹子に慣れてきている。
朝早くに出発、猿系の魔物が出てきたが、アーサーとサーシャは落ち着いて対応。
14階に入り、また、密林だが、川があり、河上に15階への階段がある。その前にボス部屋だ。
爆走馬車が川沿いを進む。
揺れる揺れる。
症状が出た。馬車酔いが。
アルフさん、ローズさん、ショウ、ノゾミに。
私は真っ青になってるアルフさんの背中をさすり、ローズさんにはマリ先輩。ショウもノゾミもぐったり。
ボス部屋には到着したが、ダウンしたアルフさん、ローズさん、ショウ、ノゾミのためにボス部屋の前で泊まることに。
「すまん、情けない……」
「申し訳ないありません……」
「ピィ~……」
「メエ~……」
ぐったりアルフさん、ローズさん、そしてショウとノゾミ。私はアルフさんの額に濡らしたタオルをのせて、マリ先輩はせっせと世話をしている。
で、次の日回復した全員でボス部屋に突入する。
接待戦闘でした。
山羊と毛虫系の魔物が出てきた。
わじゃわじゃいました。
グレイキルスパイダーの援護で、問題なく終了。
糸が出ました大量に。でも、グレイキルスパイダーの布があるので買い取りに回すことに。後は山羊系の角だ、いい風邪薬になるらしい。
15階は岩山。
途中まで馬車。後は歩き。最短距離で進む。
それでも、1日ではたどり着けず、夜営して2日後の昼過ぎに到着。
しっかり休憩して、突入する。
ロックリザードマン、ロックライノセラスだ。
デカイ上に数が多い。
グレイキルスパイダーの援護で動きを止め、ナリミヤ氏の闇魔法が炸裂。
「ダークウェーブッ」
ナリミヤ氏が足を踏み込むと、闇が波のようにロックリザードマンとロックライノセラスを覆う。
流石、レベル200越え。アーサーが目を見開く。
沈黙した魔物達に、私達は総攻撃だ。
私は二代目でロックリザードマンの首を跳ね、アルフさんは十文字槍でロックライノセラスの額を突く。アーサーは薙刀、サーシャはナイフ、グレイキルスパイダーの援護でロックライノセラスを倒していく。ショウは天井が低いので、マリ先輩の近くで不可視の刃を飛ばす。
ローズさんは雷を纏ったナイフでロックリザードマンを突く。本当に恐ろしいメイドだ。容赦ない。アーシャはリツさんとマリ先輩の援護でなんとかロックリザードマンを倒している。ミーシャとノゾミは梅代に守られて大人しくしている。アルフさんに控えるように釘を刺されていたからだ。保証人のアルフさんの言うことは素直に聞いている。
しばらくして、散らばる皮と角と魔石。
でも、ちょっと待って、疲れた。
肩で息をする。
差し出されたカップの水を飲む、あ、どうも。あ、グレイキルスパイダーが水配っている、しかし、アーサーとサーシャは肩で息をしていて、気づかない。
ミーシャとノゾミが率先して拾っている。
「あ、宝箱」
ミーシャが発見。
「触るなよミーシャ。罠があるかもしれん」
「はーい」
復活したサーシャが、竹子に見守られながら罠をチェック。
「開けます」
ぱかり。
中には真珠のアクセサリーが入っている。
5連のネックレス、3連のブレスレット、葡萄のように沢山下がったイヤリング。あ、指輪もある。
なぜ、内陸の国のダンジョンで真珠?
「これ、何ですかね?」
サーシャが宝箱の底から模様の入った石を見つける。
「あ、それ、ワープストーンだよ」
ナリミヤ氏の説明。
「これはワープ出来るんだ。指定した場所を往復できるんだ。魔力を補填すれば何度か使えるねこれ」
「じゃあ、もしダンジョンアタックの再開したいとき、ここで再スタートできるんですね?」
「そうだね。多分、ボス部屋の前にセーフティゾーンあったから、そこから再スタートできるね」
おお、真珠のアクセサリーよりすごいの出た。
アクセサリーはリツさんが預かっている。リツさんもマリ先輩も興味なし。アーシャとミーシャが着けてみたが、重いとな。ローズさんは全く興味なし。
「ルナちゃんは?」
「食べられないし」
リツさんに振られて私は断る。そんなごてごてしたのはちょっと好きじゃない。アクセサリーはアルフさんからもらったペンダントで十分だし。リツさんは苦笑い。
売りに出すと。
さ、16階だ。
森林タイプだ。
「さて、今日は無理せず。休みましょう」
ナリミヤ氏が結界の道具を出す。
リツさんとマリ先輩が夕食の準備を始める。
大きな肉の塊だ、ああ、いい匂い。4本腕の熊肉のローストだ。あ、お手伝いしなくては。
本当にダンジョンアタックしている気がしない。
ローストに焼き野菜、マッシュポテトを添える。
いただきます、きりっ。
食後、マリ先輩特製ケーキをいただく。レモンケーキだ。
アーサーがおばあさんの手帳を開く。
「おばあちゃんの記録では、コーヒーは魔物のドロップアイテムのようです。ドリアノールという魔物ですね」
「ドリアノール、木の魔物のようだな」
アルフさんがお茶を飲む。
「カカオは20階のボス部屋にいたトレントのドロップアイテムみたいです」
コーヒー、と、ぶつぶつナリミヤ氏。怖い。
チョコレート、と、ぶつぶつマリ先輩。怖い。
明日からどう行動するか、話し合われる。
二手に別れることになる。
ナリミヤ氏はスレイプニル、竹子と回ることに。まあ、心配ないね。心配なのはこっちだよ。
「さあ、斥候の本領発揮だな」
明日から、斥候のグレイキルスパイダーの竹子がいない。
サーシャの斥候としての本当の初陣だ。
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