マリベールへ①
連絡
二日間、のんびり過ごす。
錬金術チームはマルコフさんの鎧のデザインをしている。アルフさんは鍛冶師ギルドだ。
私はアーサー、サーシャと模擬戦を繰り返す。一応私がレベルが高いから、なんとか圧倒できている。アーシャとミーシャも模擬戦をする。うん、かわいい。
「なんでルナお姉ちゃん、あんなに強いの?」
サーシャにミーシャが聞いている。
「あれはな、別の生き物なんだよ」
失礼だな、聞こえてるって。
そんなこんなで冒険者ギルドへ。
『ハーベの光』『暁』も揃って、応接室に。
シェラさんが書類を持ってやって来た。
「さあ、今回はよくやってくれたね。まず報酬の話からしようかね。各パーティーにそれぞれ80万だよ、後は辺境伯様から更に30万追加だよ」
おお、凄い。後は『ハーベの光』『暁』は魔石も追加だ。我々はお肉だ。
「ランクに関してだけど、まず『暁』のメンバーはトルバはCランクにアップ。パーティーランクはAランクにアップだよ。『ハーベの光』はイレイサー、Cランクにアップ。もう少しでバーンとバラックはランクが上がるからね。そうなれば、『ハーベの光』はAランクだからね」
シェラさんは私達の方に向く。
「あんた達だけど、リツ、マリ、サーシャ、Eランクだよ。ルミナス、アーサー、ローズ、あと少しでランクアップだからね。で、アルフ、あんたはBだよ」
「儂?」
アルフさん、上級者になったよ。
「おだまり」
ピシャッ、とシェラさん。
「聞いたよ。とんでもない鎧作ったみたいだね。しかもゴールドオークを仕留めたし、シルバーまで単独撃破したそうだね」
ははは、と明後日の方を向くアルフさん。
「パーティーランクはEランクにアップだよ。頑張ってちょうだいね」
シェラさんが笑顔だ。
「最後に魔石だよ」
テーブルに袋を二つ出す。
「シルバーが一つ、ブラックが二つ、ブラウンとレッドが四つずつだよ」
リーダーがそれぞれ受けとる。
「肉は受け取り窓口で受け取っておくれ」
でた、お肉、お肉。今日は何かな?
報酬はリツさんがお預かり。マリベールに行くから宿泊費とかに当てる予定だ。カウンターにででん、と置かれたお肉はリツさんのアイテムボックスに収まる。
ライナスさんが、挨拶して帰って行った。シンバが変わらず熱視線だが、引きずられて帰って行った。クリタナとトルバもぺこりとして帰って行った。
「リツ、儂はマルコフさんと話があるから、後で戻る」
「鎧の件でしたら、うちでお話してもらっても大丈夫ですよ」
おおっぴらに話が出来ないから、屋敷に戻る。バーンが着いていきたそうだが、マルコフさんだけ屋敷に。
応接室は何もないので、食堂で鎧の魔法金属や付与について細かい話がされる。魔石は今回のものが使われることになった。ローズさんがお茶を淹れ、マリ先輩がマドレーヌ等の焼き菓子を皿に並べる。
アルフさんが話をしている最中に、お料理開始。
私はパン粉作り、リツさんがお肉を切り分ける。
騎士達にかなり食事を提供したから、作りおきの食料がほぼ空。なんせ全員で50人位だったしね。マリ先輩とローズさんはひたすらパンの種を作り、アーサーが発酵。三兄妹は野菜を指定された大きさに切り分ける。コンロにオーブン、フル稼働。ホリィさんも加わり、次々に下処理される料理達。ショウがマリ先輩の足元に陣取る。微妙に邪魔よ。
リツさんはお肉の切り分けを途中でサーシャに代わり、コンロの前に。
「やっぱりオーブンが欲しいわ」
リツさんがポツリ。
「業務用オーブンね。欲しいわ」
マリ先輩もだ。
何か前に言ってたね。私はウサギの角をガリガリする。
しばらく料理を続けていると、リツさんの携帯が鳴る。
三兄妹が、びくっと反応。
「はい、斉藤です」
ナリミヤ氏ね。マリ先輩が代わりにコンロの前に立つ。
「はい、そうですね。まだ移動手段は、鍛冶師ギルドから馬車を借りようかって、え、宜しいんですか? それは、助かりますけど」
ローズさんから携帯電話の説明を聞き、珍しい顔をする。
「はい、はい、ならお願いします、はい」
お話終了。
「ナリミヤ様何だって?」
「迎えに来てくれるって、スウちゃんがストレスたまっているから、走らせたいからついでに迎えに来てくれるって」
噴き出す私とローズさん。
あれが来るの? あの見上げるようにデカイスレイプニルの牽いた馬車で。
「スウちゃん?」
アーサーが首を傾げる。
後で説明しなければ、アルフさんも知らないしね。
「あら、良かったわね。移動手段、考えなくて済むわね」
あっけらかんなマリ先輩。
「業務用オーブンの相談も出来ないかしら? あ、あと馬車、空飛ぶ馬車」
忘れてないのね、空飛ぶ馬車。
現実にならないよね。
「そうね、相談してみましょう。来週の火の日に来るって。朝に来るって。城門前でまた連絡するって」
「5日後ね」
あれが来るのか。
「醤油詰めないと」
「そうね、ナリミヤ先輩あまり料理しないみたいだから、ちょっと和食作りましょうね。角煮作りましょうか」
リツさんは鍋を取り出す。
「せっかくいい豚肉が手に入ったから、沢山作りましょうね。ルナちゃん、ウサギの角、ちょうだい」
「はい」
私はウサギの角をリツさんに渡す。
「角煮って」
私は食べたことがないメニューを聞いてみる。
「醤油とか香味野菜、生姜、ウサギの角ね、それを入れて時間をかけて、豚肉を煮るの。甘辛いタレでとっても美味しいわよ。温泉卵をのせた角煮丼に、チャーハンにも入れていいし、そのままでももちろん美味しいわよ」
「いまから、ウサギ、狩ってきましょうか?」
きりっ
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