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野営②

「これ、旨いなあ」

「腸詰め最高」

「シチュー、ああ、美味しい、懐かしい味だ」

「カボチャってこんなに甘いんだなあ」

「魚うまっ、なにこのソースうまっ」

 炊き出しは大好評だ。

 バーンとイレイサー、バラックはポトフと、カボチャサラダをカンパーニュに挟んでを食べてる。

「なんか、野営なのに、こんな食事いいのかな?」

 クリタナが首を傾げながら、ミートボールを食べている。シンザはちゃんちゃん焼き、トルバはウサギ肉のシチュー、ライナスさんはポトフだ。

 騎士隊にも大好評だ。

 鍋、空っぽだ。あ、私、食べてない。

 食器は、騎士隊が交代で洗ってくれた。

 私達は、ブラッディグリズリーのワイン煮込みで夕御飯だ。

 さて、ぼちぼち休む準備をしていると、マルコフさんがリツさんを訪ねてきた。多分、先ほどの剣と鎧の件だ。

 マルコフさんが、リツさんに話を持って行く。

「なんとかならないだろうか?」

「マルコフさんの剣と鎧ですか。アルフさんなら多分、満足できるものを作ると思いますが、ちょっとすぐには。私達、今度マリベールに行く予定なんです。作成に入るなら。そのあとになりますが、よろしいですか?」

「構わない。頼めるのなら」

「では、お受けします。アルフさん、大丈夫ですか?」

「儂も構わん。ただ、今回限りの依頼にしてくれ、マルコフさんの剣と鎧だけだ」

 後ろで聞いていたバーンも小さく、僕も、と言っているが、スルー。

「基本的に、皆が使わん夜に炉を使わせてもらう」

「空いていれば、いつでも使っていいですよ。あ、デザインはどうするんです?」

「この鎧をベースにする。あまり代わりばえせんが、いいか?」

 アルフさんは破損した鎧を示す。

「構わない、アルフに任せる」

「ちょっと待ってください」

 黙って聞いていたマリ先輩が手を上げる。

「サイズ、きちんと測った方がいいんじゃないかしら? せっかくなんだし、綺麗に作った方がいいと思うんです」

 アルフさんと、マルコフさんが顔を見合わせる。

 私はなんか変な予感。錬金術チームの目がキラキラしはじめたのだ。ローズさんはこっそりメジャー出してるし。

「どうしたらいい?」

「サイズは測り直しはいいと思うが」

 ならば、と。

「マルコフさん、こちらでサイズを測りましょう」

 リツさんがテントを示す。

「いや、リツ、儂が測るぞ」

「大丈夫ですよ、私達慣れてますから、アルフさんだって測ったし、多分サイズ似たり寄ったりでしょうし」

 うん、背丈がほぼ一緒だし、ただ、腰の位置がね。

「それにうちのパーティーに対する特殊依頼でしょう? 私達も一枚噛ませてください」

 うふふ、と押しの強いリツさんの笑顔。マルコフさんは戸惑っている。

 アルフさんはため息。

「構わんかマルコフさん? 作るのは儂なのは変わらん。デザインに関してはリツ達が担当する。おかしなことにはならんだろう」

「お前がそう言うなら、俺も構わないが」

 ならば、と。錬金術チームによってサイズが測定される。テントの中で、マルコフさんの戸惑っている声が漏れる。

 バーンが、羨ましい顔をしている。

「アルフさんとあまりサイズが変わらないようですね」

 メモしながらリツさんが呟きながら出てくる。

「そうね、ちょっとここ変えればいい感じね」

 マリ先輩がメモを覗き込む。

「デザインはこちらの鎧をベースにして、ここをこうして……」

 ローズさんが、破損した鎧を見ながら頭の中でもデザイン作成。

 最後にちょっと疲れた顔のマルコフさん。

「いつもこんな感じか?」

「まあな」

 アルフさんが肩をすくませる。バーンとさらにイレイサーまで羨ましい顔をしている。

「マルコフさん、とにかく出来上がるまでに魔石を調達してくれ。魔道炉を動かすのと、付与するのにどうしても必要だからな」

「ん、わかった。すぐ準備する」

 それからアルフさんとマルコフさんは、細かい金属の話についてはトウラで話をすることになった。マルコフさん、今日大怪我したばかりだからかね。『ハーベの光』の簡易テントで横になるマルコフさんはあっという間に眠っている。

「あの……」

 ライナスとトルバがおずおずとアルフさんに声をかけてきた。

「あなたに武器の作成依頼をできるのだろうか?」

「できるが、鍛治師ギルドを通してくれ。これは今回だけで、今後は受ける気はない」

「そ、そうか。因みにあなたのあの鎧の上だけで、いくらになる?」

「そうさな、これくらいか?」

 アルフさんは地面に数字を書くと、目を剥く二人。

「魔鉄にすれば、グッと安くなるぞ。ミスリルを入れるのをオススメする。そうすればだいたいこんな感じか」

 さらさらと数字を書くアルフさん。

「現実的な値段だ」

 ライナスさんとトルバがほっとしている。

「因みに付与なし、儂に頼むなら指名料がいるからな」

 だとするといくらだ、話し出すライナスさんとトルバ。

「まあ、儂はトウラ専属じゃないが、冒険者も兼務しとるから、何でも受けられないからな、受けても待ってもらう必要があるから、それだけは理解して欲しい」

 アルフさん、人気だからね。

「わかった。検討させてもらう。すまない、休む前に伺ってしまって」

「構わんさ」

 ライナスさんとトルバは、自分たちの張ったテントに帰っていった。

「儂らも休もうか」

「そうですね」

 私はちらっと錬金術チームを見ると、熱心に何か描いている。

「皆さん、そろそろ休みましょう」

「あ、ルナちゃん、先に休んで」

 マリ先輩が返事をする。あれは、しばらく起きてるな。

「先に寝ましょうか」

「そうだな」

 私はアーシャとミーシャとテントの中、女子エリアで横になった。やはり疲れていたのか、リツさん達がテントに入って来たのが分からなかった。

読んでいただきありがとうございます。

しばらく隔日投稿になります。

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