パーティー依頼②
暁
次の日の朝、ホリィさん一家に見送られ冒険者ギルドに。すでに『ハーベの光』が来ていた。
「おはようございます、マルコフさん」
リツさんがご挨拶。私達もご挨拶。
「やあ、おはようリツ君。今回はありがとう。参加してもらって助かるよ。新しいメンバーかい?」
サーシャ達を見てマルコフさんが聞く。
「はい、斥候のアレクサンドル君、後衛のアーシャちゃんとミーシャちゃんです」
三兄妹もご挨拶。
マルコフさんも丁寧にご挨拶して、メンバー紹介している。
「リツ君、アルフは?」
「鍛治師ギルドでギリギリまでお仕事です」
「相変わらず忙しいようだな」
そういうマルコフさんの腰には、たぶんアルフさんが手掛けたショートソードが下がっている。
「みんな、揃っているかい?」
シェラさんとオルファスさんがやって来た。
「さて、今回掃討作戦に参加するマリベールのパーティーを紹介するよ。こっちに来ておくれ」
シェラさんが言うと、渋い男性を先頭に、合計4人の冒険者が現れる。20代半ばの女性、腰にはレイピア。また渋い白髪混じりの男性、短いローブに杖を持ち、腰にはナイフ。最後は斧を持ったドワーフ。
あら、あの渋い男性、どっかで見たことあるけど。どこだっけ?
「彼らはBランクパーティーの『暁』だよ。彼がリーダーのライナス」
「『暁』リーダーをしている、ライナスだ。今回の掃討作戦に参加する。よろしく頼む」
「俺はマルコフ。『ハーベの光』リーダーです。彼女はリツ君。我々の補助パーティーとして参加してくれる」
マルコフさんが紹介してくれる。
リツさんは一歩前に出て、綺麗なカーテシーでご挨拶。
「はじめまして、リツと申します。私達ラピスラズリ・リリィはこの度『ハーベの光』の方達の補助をさせていただきます」
簡単だけど挨拶終了。
挨拶終わった途端に私の方に来る。
「やあ、ルナ君。久しぶりだね、まさかこんなところで会えるとは」
「はあ」
えっと、誰だったかな? あ、マリベール、確かスカウトされた記憶がある。あの時の人だ。
「お久しぶりです」
「トウラに移住したんだね。『ハーベの光』のメンバーかい?」
「いえ、リツさんのパーティーです」
「そうなんだね」
ライナスさんは何か言いたそうだが、それ以上は聞かない。
「ルナちゃん、お知り合い?」
マリ先輩が聞いてくる。そこに馬車の隠れた位置に、臥せていたショウがとことこ出てくる。
「グ、グリフォン…」
さすがの高ランク冒険者のライナスも怯む。
「ピィピィ」
更に鳴くと小さく仰け反る。
「マリベールでちょっと」
「そうなんだね」
「では、ライナスさん、後で」
あんまり関わらないことを決めて、マリ先輩とショウを連れてリツさんの元に。
「ルナちゃん。あの人とお知り合いなの?」
リツさんまで聞いてくる。
「マリベールでちょっと、パーティーに入らないかって言われて」
「え、スカウトされたの? いつ?」
マリ先輩がびっくり。
「ちょうど、錬金術講座が始まった頃ですよ。ちゃんとお断りしまさしたから」
「そうなんだね。良かった」
ほっとしているマリ先輩。
そんな話をしていると、シェラさんが聞いてくる。
「アルフレッドは? まだかい?」
「はい、多分ギリギリかと思います」
リツさんが対応する。
「仕方ないね。ちょっと説明するから、きておくれ」
シェラさんがみんなを集める。
「細かい自己紹介は後でしておくれ。まずみんなには。ミュートに向かってもらうよ。馬車はうちの魔法馬を準備したからね。夜営地でミュートの騎士団と合流。冒険者ギルドからオルファスが同行するからね」
オルファスさん、今日は事務の制服の上にマントだ。腰にはナイフを下げてる。
「トウラ冒険者ギルド副ギルドマスターのオルファスです。よろしくお願いします」
オルファス、えらい人なんだ。馭者もしてくれると。
それから出発ギリギリにアルフさんが駆け込んでくる。
「すまんっ、遅くなってしまって」
「アルフ、本当にギリギリだね」
シェラさんが呆れ顔。
「で、終わったのかい?」
「なんとかな。すまん、マルコフさん、遅くなってしまって」
「いや、構わないさ。こちらの方こそ、仕事を急がせてしまったな」
マルコフさんがすまなそうにアルフさんに言ってる。そこに、『暁』の女性が突っかかる。
「ちょっと、あんたギリギリなんて何を考えてるの? 掃討作戦なのよ、舐めてんの?」
鋭く言う女性。
「よせ、クリタナ」
「いや遅くなったのは事実だ。申し訳ない」
アルフさんが謝罪する。
「こちらこそすまない、うちのメンバーが」
ライナスさんは気にしていない感じだけど、女性はアルフさんを睨んだままだ。
シェラさんが、ため息をつくように言う。
「アルフはギリギリになるって言ってあったはずだよ」
「それでもギリギリ過ぎるっ、しかもそんな格好でっ」
「はいはい、仕舞いだよ。みんな馬車に乗りな」
シェラさんが手を叩く。馭者台にはすでにオルファスさんが座っている。
広めの馬車の中に、それぞれ腰を下ろす。
「アルフ、徹夜明けでしょ? 寝てなよ。僕達がちゃんと警戒するからさ、あ、マント貸したげようか?」
バーンが自分のマントを差し出す。この人、本当に根は悪い人じゃない。
「大丈夫だ、だが、ちょっと寝させてもらう」
「バーンさん、ブランケット準備してますから大丈夫ですよ」
リツさんがブランケットを出す。
「アルフレッド様、お疲れ様です。どうぞ」
さっとローズさんがお茶を出す。
アルフさんはお茶を飲み、ブランケットにくるまる。何故かノゾミがブランケットに潜り込んで行き、結局二人で寝てる。私も潜り込んで、違う違う違う。
「アルフよっぽど疲れているんだね。アルフの寝顔眺めて、あいたっ」
マルコフさんの音を消してげんこつが飛ぶ。
私達は特におしゃべりすることなく、馬車は進む。
ショウは低空飛行で着いてくる。
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