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パーティー依頼①

なんとかおしッ

 マリ先輩の誕生日。

 プレゼントは、新しいマナ・グラントレントの杖だ。

 ミスリルを芯にして、マナ・グラントレントで覆うように作られている、細身の杖だ。魔石をふんだんに使って補助がすごいことになってる。中の火・風・土・光魔法補助、自動修復、結界、小の硬化強化、魔力回復。レッドオーク、オーガの魔石をすべて注ぎ込んだ。あはは、すごーい。多分国の魔法団団長あたりがもつ杖よね。

「わあ、ありがとう、みんな」

 マリ先輩の輝く笑顔、まぶしい。

「これで私も攻撃役に」

 呟くマリ先輩に、アルフさんが笑いながら「ならんぞ」の一言。

 何故かマリ先輩の攻撃は前には当たらない。そして何故か後ろにいる人に当たる。アルフさんの「ひーっ」だ。たまたま後ろにいたサーシャがその柔軟性で避けたけど、青い顔していた。

 夕御飯にマリ先輩リクエストのバターチキンカレーだった。初めて食べたけど、美味しかった。何でもマリ先輩とリツさんの世界では、家庭料理で、リツさんが手元にある材料で再現。このために私達は魔の森を駆け回り、コカトリスを手に入れた。ちょっと作るのに材料、香辛料が必要らしく、マリ先輩はレシピを持っておらず久し振りのカレーだったらしい。涙流していた。

 もちろん、みんな大好評だ。本当にこのバターチキンカレーって美味しい。香りが食欲を刺激して、パクパクが止まらない。ローズさんまでおかわりしていたし。

 リツさんはピリ辛と甘口の二種類を用意。アーシャとミーシャは甘口だ。後はちびっこ達も甘口。よほどお口にあったのが、ちびっこ達は次の日、リツさんに「カレー、また食べたい」とすがり付いていた。しっかり者で大人しいアンナまで訴えたものだから、リツさんが約束しないわけない。

「また、作りましょうね。みんな、いい子にしていたら作ってあげる」

 それからカレーはちびっこ達の誕生日メニューとなった。

 次の日、残ったわずかなカレーで、カツカレーサンドが作られる。

「リツさん、いつ、コカトリスを取りに行けばよろしいでしょうか?」

 きりっ

 口元にカレー付けて言ったら、笑われてしまった。でも、大好評だ。アルフさんのお弁当もカツカレーサンドだったが、他の鍛治師達から逃げて食べたらしい。あまりにもいい匂いだったと。


 アルベロの月が過ぎ、装備品が揃いだす。

 試行錯誤の末に出来上がったアルフさんの全身鎧(フルプレート)。うん、圧巻。首もとの小さな魔石には時空間魔法がかけられている。つまり、小さなマジックバックだ。触れると兜が自然と装着される。そんな仕込みがあちこちにあるらしい。私は結局、グレイキルスパイダーのシャツの上にミスリルと僅かにアダマンタイトを混ぜたの丈の長いキャミソールとなる。後はアルフさんと同じ仕込みがある籠手とすね当て。サーシャも似たようなものでシャツタイプ。とにかく私とサーシャは動きと軽さ重視だ。このミスリルとアダマンタイトを糸状にするのが大変だったらしい。出来上がった時、ローズさんが「もういい」と呟いていたから。それからサーシャは弓を使うため、本人と相談しながら手袋が作られる。アーサーの鎧も検討されたが、本人が断固拒否。アルフさんが作ってくれたフォレストダークコブラがいいと。なので鎧の表面がミスリルとアダマンタイトでコーティングした。強度が上がり、付与は魔法防御と更に火と土の魔法補助、衝撃吸収。

 で、錬金術チームとアーシャとミーシャの装備はというと。グレイキルスパイダーの布にミスリルと僅かのアダマンタイトを合成。かなり強度が上がる。追加で魔法防御と衝撃吸収、魔力回復だ。そしてローズさんも仕込みがある籠手が作成される。

 武器もアーサーにはナイフ、ロングソードと盾。ローズさんの盾、ナイフ二振り。リツさんにもロングソードが出来上がる。アルフさんには小型の斧二振り、大型ナイフ、バスターソード、そして新しい槍。リツさんの説明で十文字槍と。槍の穂先の左右に刃がある。うわあ、フル装備だと、ちびっこ達泣かない? 迫力満点だよ。

 後は魔力感知が上がったサーシャの武器をどうするか? 悩んでいると、冒険者ギルドから、リツさんに呼び出しがかかった。

 アルベロの月が、あと一週間になった日だった。


「アルフさんとショウですか?」

「そう、出来ればルナミスとアーサーも」

 冒険者ギルドの応接室で、ギルドマスターのシェラさんが、リツさんに話を持ちかける。

 何でもオークの巣が見つかったらしく、掃討作戦が立ち上がり、冒険者ギルドと騎士団で編成されることに。騎士団はあいにく遠征と間引き時期と重なり、トウラから冒険者パーティーを選出されることに。まず選ばれたのはマルコフさん率いる『ハーベの光』だ。ミュートからあのヴェルサスさん率いる騎士団だ。

「出来ればBランクチーが3チーム欲しいんだ。かなり大きな巣らしいからね。たまたまマリベール拠点のBランクチームがトウラにいて、確保できたんだけど」

 しかし、人数が足りない。そこでアルフさんとショウ、私とアーサーが『ハーベの光』の補助メンバーに、という話らしい。でも、ショウのご主人様はマリ先輩よ。マリ先輩が行けば、もれなくローズさんが着いていきます。と、なれば、リツさんも行く。何て言ったって貴重なヒーラーだし。

 とりあえず全員行くが、アーシャとミーシャ、ノゾミは夜営地でお留守番だ。

「私達は構いませんが、アルフさんは鍛治師ギルドに確認をしてください」

「分かったよ」

 それから鍛治師ギルドに移動。

 シェラさんとバルハさんの激しい攻防が始まる。

「ならんッ、アルフには今指名依頼が来とるんじゃッ、オークの巣なんぞアルフがおらんでもなんとかなろうッ」

「おだまりッ、だいたいアルフレッドはトウラ専属の鍛治師じゃないんだろうッ、指名依頼位そっちでなんとかおしッ」

「辺境伯様からの依頼じゃぞッ」

「あんただってAランクの鍛治師だろうッ、なんとかおしッ、アルフレッドはそのうちAランクに上がるんだからねッ」

「鍛治師ギルドならSランクじゃあッ」

 うわあ、アルフさんがドン引きしてる。

 結局、おじいちゃんドワーフダビデさんがやんわり仲裁。

「まあまあ待たんか。ちょっとこちらで話そう。アルフや、お前さんも来い」

 4人で応接室に。しばらくしてシェラさんが満面の笑顔で出てきた。バルハさんは、くうっ、て顔だ。つまり、アルフさんの参加決定。出発は明日の朝、アルフさんはギリギリまで仕事をすることに。

 私達は屋敷に戻りを夜営の食事やポーションの準備になった。

読んでいただきありがとうございます

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