パーティー②
冒険者ギルドでトレントやら四本腕の熊やボアに角ウサギが出ると、つるぴか、違う主任さんが激を飛ばして解体に入る。
私達はひきつったオルファスさんに別室に。
「さて、もうじきギルドマスターが来ますので、お待ちください。で、あのフォーアームベアーは誰が?」
「ああ、儂とルナとショウだ」
「ぴい」
胸を張るショウとマリ先輩。
「さ、流石グリフォンですね。買い取りについてご相談したいのですが。出来ればトレント材とベアーの毛皮、肉を回して欲しいのですが。ギルドマスターが来るまでご検討ください」
「はい」
リツさんが返事をする。
「では、一旦失礼します」
オルファスさんが部屋を出る。
「魔石は引き取りね。お肉はそうね。ウサギとボアは引き取りね。トレントは馬車の材料にいいかな? ベアーはどれくらいになるかしら?」
結構大物だったしね。ステーキ、じゃない、フォーアームベアー。
ウサギもボアもかなりリツさんのアイテムボックスにあるらしいが、なんでも今度孤児院で炊き出しをするために、お肉は必要だと。きっかけはドラザールの孤児院のシスターからの手紙だ。どこも孤児院は経営は苦しい。特にドラザールはバティちゃんが孤児になった原因の落盤事故で、たくさんの孤児を受け入れ、許容をオーバーしていた。鍛治師ギルドが出来るだけの援助をし、女将さん達も誰かしら手伝いに入っていたが、パンク寸前。そこにリツさんが太っ腹な寄付をした。何とかしばらく食い繋げる。シスターは丁寧にお礼を書いていた、子供達にお腹一杯ご飯を食べさせてあげられる、と。
やはり食費が大きな負担。それはいつの時代もどの場所でも変わらない。私が呟いたのを、リツさんが拾い上げて、せめて手の届く位置で炊き出ししようと考えたようだ。
「自己満足だけどね」
「リツさんの自己満足、私、好きですよ。きっと喜ばれますよ。お手伝いします」
「ありがとうルナちゃん」
そんな会話をしたのは最近。
「ベアーのお肉って、グリズリー位になるかしら?」
「おそらく、それ以上になるだろうな」
アルフさんが答えている。
「アルフさん、食べたことあります?」
「いや、ないが。確か、あっさり食べれると聞いたぞ」
「なら、ローストかしら?」
悩むリツさん。
「すき焼きもいいかもね」
マリ先輩がきっと美味しいメニューが出る。
「いいわね。すき焼き。あ、すき焼き鍋……」
「どんな鍋だ? 儂が作ろう」
アダマンタイト扱える鍛治師が、指名料が必要な鍛治師が軽く鍋の注文受けてるよ。何もいいません、食べれるなら何もいいません。
「うーん、なら、半分にしましょう」
結構な量よ。
リツさんが引き取り量を決めた頃に、シェラさんがやって来た。
「また派手にやったねあんた達」
呆れた表情のシェラさん。
「で、まず引き取りをどうするかだね。決まったかい?」
「はい、魔石はすべて。トレントはチップになる部分はすべて。後、マナ・グラントレントの木材はすべて。ウサギとボアのお肉もすべて。ベアーはお肉半分を」
「マナ・グラントレントは少し回してもらえないかい? 出来ればチップの部分も」
「えー、そうですね。うーん、ショウでも引ける馬車なら、どれくらいの木材あれば大丈夫ですか?」
リツさんがアルフさんに聞く。
「さあ、あれだけの物量だからな。半分もあれば大丈夫じゃないか?」
まさか、リツさんも空飛ぶ馬車とか、考えていないよね?
「なら木材半分。チップは8割引き取りを」
「チップをもう少し」
「8割です」
リツさん、シェラさんの攻防。結局、7割。
「もう少しで解体が終わるから、待っておくれ。トレントは後日になるからね、明後日以降に来ておくれ」
一息つくシェラさん。
「で、ランクだけど、リツ・サイトウ、マリ・ハート、Fランク。ローズ、Eランク。前に話したね、パーティーの件だけど、考えてくれたかい?」
「はい、私がリーダーをします」
リツさんが手を上げる。
「そう。パーティーの名前は? 決めてある?」
「はい『瑠璃色のリリィ(ラピスラズリ・リリィ)』です」
「あら、素敵な名前ね。じゃあ、手続きしましょうね」
このパーティー名は、アーサーの一言だ。
みんなでワイワイ話していると。
「瑠璃……」
「何? アーサー君?」
「いえ、あの、リツ様の瞳が瑠璃色だから、その」
口ごもるアーサー。
「いいじゃない? 響きが素敵」
マリ先輩が賛同する。
「そうね、いいわね。私にはリリィ様の加護もあるし、上手く繋いで、そうね、瑠璃色のリリィ、ラピスラズリ・リリィなんてどう?」
反対しません、リーダーはリツさんだし。アルフさんも反対しない。私と同じ意見だ。
シェラさんが書類を出してリツさんが確認してサイン。
「メンバーはここにいる全員?」
「はい」
「全員、ギルドカードを出して頂戴。パーティーランクだけど、CランクとDランク予定がいるけど、Fランクだよ。まあ、始めだからね。頑張っておくれ。特にアーサー、期待しているよ」
「え、自分ですか?」
「そうだよ。あんたは伸び代がある。聞いた話だと、ずいぶん槍を使いこなすようだね。しかも、魔力センスが高い。奴隷でなく、フリーならあちこちからスカウトがきたろうね。一時的なアルフ並みに」
「あ、ありがとうございます。頑張ります」
「期待しているよ。出来るだけランクを上げて頂戴。今、トウラの最高ランクの『ハーベの光』のBだ。出来れば、高ランクのパーティーを確保したいからね」
オルファスさんが全員でギルドカードを持ってくる。
見てみると、カードに瑠璃色のリリィ リーダー・リツ・サイトウと記載されていた。
これで、パーティー結成だ。
それから、解体された肉をすべてリツさんのアイテムボックスに入る。魔石はボアとフォーアームベアー。ボアは小粒。フォーアームベアーのはアルフさんの拳大だ。
「さ、みんないいかしら? 帰りましょう。お腹空いちゃったわ」
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