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パーティー?④

おかわり

「あ、やっぱりここの腸詰め最高に旨い」

「ああ」

 イレイサーとバラックがペロッと食べる。

「本当にここで食事をすると、貴族になった気分だな」

「リーダー、もしかしたら、貴族より豪華かも」

 ワイングラスを傾けるマルコフに、腸詰めを守りながらバーンが言う。いいこと言うね。下手な貴族の食事なんかより豪華だよ。しかも、メインはあれだし。

 私もいただきます。今回のキッシュは男性陣は大きめだ。カボチャの甘さ、チーズがとろり、豆も甘い、あ、キノコも入っている。うふふ、美味しい。腸詰めもピクルスも美味しい。パクパク。

 トマトの彩りが鮮やかなポテトサラダ、リツさん、よくこんなの思い付くね。美味しいから、何も言いません。

 前菜の皿がほぼ空になった時点で、ホリィさんとアーサーがワゴンにスープをのせて入ってくる。

「なんか、被ってる」

 バーンが興味津々で見ている。

「パイ生地を被せて焼いたんです。上のパイを崩しながら食べてもいいですし、はずしてから食べてもいいですよ」

 リツさんが説明する。

 そう、お椀型のスープ皿に、パイ生地をのせていたときはどうなるかと思っていたけど、見た目がいい。『ハーベの光』はスプーンを持ったまま、どうしようか悩んでいる。結局全員パイを上から崩している。

 パリパリッと音がして、中身のスープが顔を覗かせる。

「すごい。おもしろいね。うーん、スープもいい匂い」

 バーンが嬉しそうに、スープを食べる。他のメンバーにも好評だ。

 スープはキノコ、ウサギ肉、ニンジン、玉ねぎ、じゃがいものスープだ。いや、シチューだ。なんだかんだでシチューになってしまった。ちなみにホリィ一家とアーサーの夕食にもなる。

 私もパイをスプーンでつついて、と。あ、スープの香りが。崩したパイと一緒に食べる。うん、食感が違うからいろいろな食べ方あるんだね。リツさんのシチューだから、シチューだけでも美味しいし。

「ホリィさん、後は私達がしますから」

 グラスにワインを新たに注いでいたホリィさんに下がるように言う。確かにもうそろそろ食事や、就寝の準備をしなければならない。

「ありがとうございますリツ様、下がらせていただきます」

 ホリィさんが頭を下げて食堂を後にする。バーンが何か言いたそうだが、マルコフさんににらまれ沈黙する。

 わいわいと食事が続く。特にドラザールの話には興味を持たれた。

「大変だったな」

 マルコフさんが気の毒そうに言う。

「そうだね、まあ、ショウ君なら誰が狙っても返り討ちしそうだけどね」

 バーンがスープを最後の一滴まで掬おうとしながら、ショウに話しかける。ショウは特別賢いからマリ先輩に害をなすような連中に容赦しないだろう。

 ミュートの指名依頼の件も聞く。魔法馬を飛ばし、村に到着。近くの町の冒険者ギルドからの応援も到着し、村人を避難させた。冒険者達は村人の護衛。マルコフさん達は村人の振りをして待ち伏せた。もちろん解毒ポーション携帯、光魔法の使える騎士とバーンは後衛に控えて迎え撃ったと。

「麻痺の毒にさえ気を付ければ、大したことのないやつらだったよ」

 Aランクのマルコフさんがそう言う。あれだけの大剣振り回すんだ、盗賊ひとたまりもないだろうなあ。

「アルフの方が大変だったんだろう? 盗賊連中の中にもとAランクがいたと聞いたぞ」

「ん? ああ、そうだな。まあ、なんとかな」

 アルフさんは曖昧に言う。あまり詳しく言うとアーサーが気にするからね。

「皆さん、メインをお出ししてもよろしいですか?」

 リツさんがタイミングを見て切り出す。私の出番だ。あ、違うなマジックバックだ。

 待ってましたと、顔を輝かせる『ハーベの光』。強面のマルコフさんも楽しみな様子。アーサーが皿の準備し、私はマジックバックから鍋を出す。

「何? スッゴクいい匂い」

 バーンが鼻を膨らます。

「ワイン煮込みです」

 右にケチャップ入り、左が味噌入り。リツさんが説明し、手分けして配膳する。皿にワイン煮込みをよそっていると、いつの間にかショウがすり寄ってきた。

「ショウ、お客様が先だからね」

 マリ先輩が優しく言うと、何故かバーンの隣に移動。なぜ、みたいなバーン。スルー。

 アルフさんが新しいワインを注ぐ。バケットを出される。

「うわあ、いい匂いだなあ」

「ああ」

 イレイサーとバラックも匂いを嗅いで鼻を膨らます。

「どうぞ」

 リツさんが勧める。

 スプーンでワイン煮込みを一口。

「旨いッ」

「柔らかいッ」

「美味しいッ」

「うま、旨いッ」

 よし、好評。

 私も一口。あ、相変わらず美味しい。パクパク。

 マルコフさん、イレイサー、バラックはケチャップ入り、バーンは味噌入りがお気に召した様子。

 ショウも専用皿でせっせと食べている。

「美味しいね、これ、なんの肉?」

 バーンがばくばく食べてアルフさんに聞いている。

「グリズリーだ。ブラッディグリズリー」

「ぶはっ」

 噴き出すバーン。他の三人も手を止める。

「グ、グリズリー? ブラッディグリズリーって言った?」

「そうだ」

「そんな高級な肉を………」

 マルコフさんがスプーンを持ったまま固まる。

 確か、モモ肉がグラム3000だったね。店頭に並べば多分倍以上だろう。

「ああ、気にせんでくれ、肉はタダで手に入れたから」

 一突きでしたもんね。パクパク。

「そういえば、ちょっと前にブラッディグリズリーが持ち込まれたって聞いたけど。まさかアルフが倒したの?」

「そうだ」

 軽く言うアルフさん。

「儂は肉を提供しただけだ、調理はリツ達に任せておるからな。まだ肉残っておるから、食ってくれ」

「皆さん、おかわりいかがですか?」

 リツさんがタイミングよく声をかける。

 皿はほとんど空だった。

読んでいただきありがとうございます

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