表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/386

鉱山④

採掘

「え、そんなことがあったの?」

 マリ先輩が驚いている。

 迎えの馬車の中で、私がガイズで起きたことを説明すると、一同驚いている。

「それでルナちゃんを逆恨みしているの?」

「でしょうね。まあ、私には手を出せませんよ。返り討ちしますから。次はね」

 私は真っ黒な笑顔を浮かべる。

「しかし、気を付けた方がいい、奴隷には変なネットワークがあるらしいから、ルナ、一人で出歩くなよ。儂か、ショウを連れて歩け」

 アルフさんまで、心配してくれる。ありがたい。ここは素直に頷いておこう。ショウまで、すり寄ってくる。うん、かわいい。なでなで。

「分かりました」

 しばらく馬車に揺られて到着。

「では、夕方迎えに来ます」

 馭者をしてくれた人族の鍛治師、ギースさんが来た道を馬車で帰って行った。

 見えなくなるのを確認し、アルフさんが振り返る。

「さ、採掘といくか」

 アルフさんの視線の先には、まだ、堀かけの坑道。まだ、10メートルくらいしか掘られてない。なんでも他の坑道でミスリルがたくさん出たために、そちらに人員を取られているらしく、ここまで手は出せていないらしい。

「アルフさん、つるはしで、やるんですか?」

 つるはしを持つアーサーがやる気を見せてる。

「まさか。そんなことしとったら時間がかかる。こうするんだ」

 答えるのは、何故かフル装備のアルフさん。

 グレイキルスパイダーのマントにカラーシープのカーゴパンツ、魔鉄の槍。まさか、魔法でごり押しするのかな。

「これは奥の手だ。宝石なんかがあるところや、地盤が怪しいところじゃ使えんが、この坑道は硬いらしいからな」

 アルフさんは魔鉄の槍の穂先を、坑道の壁につける。

「我が力を示す。岩を砕けよ。道よ開け」

 かなり魔力を込めているのか、マントが翻る。固唾を飲んで見ていると、アルフさんの魔法が発動。

「ロックディストラクションッ」

  ドガドガドガ、ガラガララッ

 地鳴りがして、結構な破壊音を立て、坑道の岩壁に亀裂が入り、崩れていく。

「すごいアルフさん」

「本当にすごい」

 リツさんとマリ先輩が絶賛。

 盗賊のアジトで、亀裂を無理やり広げた魔法だね。

 土魔法のレベルが高い上に、槍にマントのカーゴパンツの土魔法の補助が重なり、おそらく強化クラスになったことで、出来ることだろうな。

「よし。儂が坑道を広げる、ルナ、マジックバック持っておったな? 運び出してくれ。リツは鑑定、残りは選別作業だな」

 役割分担。

 坑道拡大はアルフさん、鉱石の運び出しは私(マジックバック頼り)、鑑定はリツさん、マリ先輩とロースさんが、錬金術で粉砕や抽出をすることに。土魔法が使えるアーサーは粉砕の手伝いとなる。ショウは周囲の警戒。ノゾミはお昼寝。

 さあ、頑張りましょう。


「はい、次来ました」

 私はマジックバックからガラガラと鉱石を出す。

 坑道では、アルフさんの魔法が炸裂し、つるはしで採掘しているが、まあ、楽しそう。時折岩盤はチェック。途中からアーサーも採掘の魔法を習い、チャレンジしている。

「ちょっと待ってルナちゃん、追い付かないから」

 リツさんがせっせと鑑定。向こうには私の背丈くらいの鉱石の山。

 マリ先輩とロースさんは必死に錬金術で粉砕や抽出している。

 うーん、そろそろ日が暮れるぞ。ギースさんが、迎えにくる。

「もう、今日はこれまでね。ルナちゃん、アルフさんとアーサー君呼んできて」

「はい」

 私は坑道にいる二人に声をかける。

「そろそろ今日は終わりですって」

「なんだ、もうそんな時間か? 仕方ない、アーサー、上がるぞ」

「はい」

 顔は黒くなって、汗まみれの二人が出てくる。

 ローズさんがマジックバックから、タオルを出して渡す。

 それから、抽出できたものは、ローズさんのマジックバックに、それ以外のものはリツさんのアイテムボックスに入る。

「結構、採掘出来ましたね」

 ローズさんのお茶で喉を潤していたアルフさんが一息つく。

「そうだな、まあ、どれくらいインゴットになるかだな」

 確かに。あの山全部が魔鉄やミスリルではないだろうし。

 しばらくしてギースさんが、迎えに来てくれた。坑道を見て少し驚いていたけど、角度的によく見えないはず。あまり掘り進んでいるのが分かると、厄介かも知れないしね。

 馬車に乗り込むと、私とアルフさん以外はすぐに眠ってしまう。皆さんお疲れ様です。ノゾミはマリ先輩にくっついて寝ている。一体何時間寝てるのかな? ショウは馬車の上を旋回しながらついてきている。

「アルフさん、眠くないんですか?」

「大丈夫だ。これくらいならな。一晩くらいなら採掘できるぞ」

 さすがドワーフ。

「どれくらい採れましたかね」

「そうだな。手応え的には、魔鉄が多い感じだな」

 とりとめのない会話をしながら、何故か、穏やかな気分。

 不思議。

 しかし、アルフさん、いい人だね。私の大して面白くない話に相づちしてくれる。

 あ、いけない。いくらドワーフとはいえ、きっと疲れてるはず、おしゃべりやめよ。

「どうしたルナ? 急に黙りこんで? 疲れたか?」

 アルフさんが顔を覗き混んでくる。近いって。

「いえ、大丈夫です。アルフさん、疲れているのに、私が話すと答えてくれるから」

「なんだ、そんなことか。儂は大丈夫だぞ。気にするな」

 頭をポンポン。本当にいい人だね。

読んでいただきありがとうございます

別に不定期更新のお話始めます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ