アップ②
ランク
ステータスをチェックした翌日から、アルフさんの槍術講座に変化が加わった。圧倒的に槍術スキルの高いアルフさんが、盾術を併用し始めた。アルフさんは無盾、私とアーサーは簡易盾を使用。
「いったあ……」
無盾でも強いアルフさん、勝てません。槍を弾かれ、アーサーは手首を抑える。
「アーサー、今のは基本のシールドバッシュだ。いいか、相手を押し返し、その隙に攻撃だ」
こつん、とアルフさんの槍がアーサーの頭を打つ。
「それぞれの属性魔法をのせたら、効果が変わる。火なら、押し返す力が増す。土なら此方に伝わる衝撃が減る。状況に応じて使い分けろ」
「はい」
「そのうち、盾も作ってやるからな」
「あ、ありがとうございます」
更に次の日、朝、皆で冒険者ギルドへ。
「あ、おはようアルフ」
バーンが手を振る。『ハーベの光』がすでに来ていた。ほどなく『紅の波』も到着。
挨拶して、話していると、オルファスさんがギルドの奥、一昨日は部屋に案内してくれる。
ギルドマスター、シェラさんがいる。
「さて、先に報酬の話しかね。まず、数だね」
シェラさんはリストを読み上げる。
・ゴブリン 422体
・ゴブリンポーン 85体
・ゴブリンナイト 49体
・ゴブリンルーク 56体
・ゴブリンジェネラル 5体
・ゴブリンクイーン 1体
・ゴブリンキング 1体
すごい数。
「で、いくらかだね」
・ゴブリン 168000
・ゴブリンポーン 68000
・ゴブリンナイト 245000
・ゴブリンルーク 280000
・ゴブリンジェネラル 1500000
・ゴブリンクイーン 2500000
・ゴブリンキング 1500000
クイーンの額がすごい。キングより高いよ。
「召喚能力のあるクイーンだからね。高額になるんだよ。分け方は、一昨日聞いた分でいいかい?」
マルコフさん、フレナさん、リツさんが頷く。
「下一桁は切り捨てさせてもらうよ。『ハーベの光』853660、『紅の波』553660、残り5133660はあんた達だね。後、辺境伯様からゴブリンの巣討伐特別報酬が出たよ。一人ずつ、10万だよ。全員だよ」
できた人だね、奴隷のアーサーにも、くれるんだね。
「次はランクだね。まず『ハーベの光』『紅の波』全員ワンランクアップ。これで『ハーベの光』はBランク、『紅の波』はCランクだよ」
少し歓喜の声が上がる。
「で、あんた達だけど、リツ・サイトウ、マリ・ハートはGランク、ローズ、アーサーFランク」
おお、ローズさんとアーサーは飛び級だよ。
「で、アルフレッド、あんたはDだよ」
「はあ? 儂、冒険者になったばかりだぞ」
「おだまり、どこにブラッディグリズリーやゴブリンジェネラルを一突きする初心者がいるかい? 本当にCに上げたいけど、あんたは鍛治師がメインだからね、仕方なしだよ。この忙しさがなくなったら、こっちにも本腰入れてもらうからね」
シェラさん、迫力満点。アルフさんもそれ以上は言わない。
「最後にルミナス・コードウェル」
「はい」
「Jランクだから、アップはないが、スタートランクは最低Eだと思って。それ以上は前列がないから、あまり、期待しないでおくれ」
それでも十分だよ。
「はい」
「それと、グラウスさんから連絡が来てね。成人後、一時、マリベールに来てほしいって。時期は冬あけてでいいそうだよ」
「分かりました」
シェラさんはいくつかの白い袋を出す。
「魔石だよ。こっちはナイトとルーク、これはジェネラル、これがクイーン、最後にキング」
リツさんに一つ一つ説明して渡す。
「さて、全員報告窓口に行っておくれ。誰が幾ら受け取るか決めてからだよ。特別報酬は例えばパーティーメンバーでも代わりに受けれないからね」
はい。
『ハーベの光』『紅の波』はリーダーが受け取ることになっているらしい。
私達も一旦リツさんが預かることに。
全員の冒険者ギルドカードに特別報酬を入れている間に、リツさんとマルコフさん、フレナさんの話が進む。
明日の夕飯にご招待となる。
後ろで、よし、とか、やった、とか聞こえてくる。
冒険者ギルドから帰り道、案の定、マリ先輩が興奮して言ってくる。
「ねぇルナちゃん、ダンジョン行ける? 確か、近くにあるよね」
「ラ・マースのダンジョンですか? ダメです。レベル上がっても今はダメです。私達には肝心な人員がいません」
「人員? アルフさんにルナちゃんいるのに?」
「斥候です。斥候がいません。ダンジョンには悪質な罠があるんですよ。罠感知の代わりとなる闇魔法で進入って魔法がありますが、かなりのスキルレベルがいるはずですから」
私は息をつく。
「後は装備品ですよ。まともな装備しているの、アーサーだけでしょう? マリ先輩、リツさん、ローズさんの現在の装備では通用しませんよ」
「ダメ?」
「ダメなものはダメです。アルフさんだって槍の先折れたままだし、鍛治師ギルドだってあるし、しばらく、魔の森でレベルアップ、装備品の調達、斥候が入らない場合、全員、気配感知を得てもらいます」
「出た、鬼ルナちゃん」
「ダメです、この状態では、ラ・マースのダンジョンなんてダメです」
アルフさんが聞きながら、苦笑い。
ラ・マースのダンジョンはクリスタムでも、高ランクのダンジョン。罠だってあるはずだ、そこで活躍するのが斥候だ。罠感知、スコープ、暗視、聴取、聴臭など五感を使うスキルが必要。残念ながら、私達にはない。
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