表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/386

殲滅⑦

分け前?

 朝。

 いい匂いで目が覚める。

「ん~」

「ルナ、起きたか?」

 あ、いかん、アルフさんに寄りかかって寝てた。

「す、すみません…」

「いいさ」

 体を起こすと、あちこち痛い。アルフさん、体硬いなあ、あんな腹筋だったしね。寄りかかって寝てて申し訳ないないけど。首、バキバキだ。

 あ、今頃、ちょっと恥ずかしい。眠くて言われるまま、横に座ったけど、そのまま寝てしまった。寄りかかったまま。うわあ、恥ずかしい。アルフさん、迷惑だったろうな。帰ったら、肩、お揉みします。

「ルナちゃん、おはよう」

「あ、おはようございます」

 マリ先輩が声をかけてくれる。

「メエメエ~」

 ノゾミが駆け寄ってくる。手をはみはみ。

 かわいいなあ。

「ちょうどご飯の準備出来たわよ」

 あ、何も手伝ってない。

「すみません、手伝ってなくて」

「いいのよ」

 リツさんが優しく笑ってくれる。

「皆さんも、どうぞ」

 本日の朝はトウモロコシが練り込まれた白パンに、カボチャのスープ。スープはカップにはいって渡される。リツさん特製腸詰め付き。

「なんだかすまない。頂いてばかりで」

 マルコフさんが申し訳なさそうな顔。

「いいえ、気になさらないでください」

 リツさんがスープを配る。

 いただきます。

「甘い、このスープ、甘い」

「本当、甘い、美味しい」

 エレとララが甘いと連発。

 確かにこのカボチャのスープは、ホリィ一家にも大好評だしね。うん、リツさんのレシピはなんでも美味しい。ずー。

「この腸詰め、めっちゃ旨い」

「ああ、旨い」

 イレイサーと無口なバラックは、あっという間に腸詰めを食べる。

 ポトフに入っても美味しいですよ、パリッ。

「ちょっと、ショウ君やめて、僕のパンなくなるから」

 今日はバーンに狙いを定めて、ショウがパンを横からつついている。無視しましょう。

 朝食後、鞘を回収し、出発。

「取り分、か?」

 アルフさんとマルコフさん、フレナさんが話ながら歩いている。

「そうだ、俺たちとフレナ達は調査依頼料が貰える。だが、あれだけのゴブリンだ、かなりの額だからな」

「引き取り割合決めといた方がいいわ。アルフ達が上位種倒したようなものだし」

「うーん、どうするか。リツ、どうする? 儂、こういった交渉は苦手でな」

「はあ」

 結局、リツさんが交渉に。

「まず、キングとクイーン、ジェネラルは君たちのものだ。アルフやルナ君の援護なければ、ジェネラルは倒せなかったしな」

「そうね、私達はジェネラルは辞退するわ」

 え、ジェネラルは『ハーベの光』が二体『紅の波』が一体倒したのに?

「そう言うわけにはいきませんよ」

 リツさんが交渉開始。

「こうして無事に帰れるのは、皆さんのお陰だし」

 確かにね。

 結局。

 上位種の魔石をすべてこちらで引き取る代わりに、ジェネラルの二体は『ハーベの光』一体は『紅の波』となる。他のゴブリンナイトやルーク、ポーン等は三等分。

 なんとか交渉終了した頃に、魔の森を抜ける。

 最後までフレナさんが、ジェネラルを拒んだが、リツさんの押しの強い笑顔で押し付けるた。多分、かなりの魔石が手に入るから。

 やっとこさ、城門にたどり着き、冒険者ギルドに直行。

 ギルドに着くまでに、リツさんが私とアーサーに聞いてくる。

「二人は大活躍だったからね。何か好きなの作って上げる。何がいい? なんでもいいはダメよ」

「えっと、あ、じゃがいものグラタン、マリベールで作ってくれたマッシュポテトとミートソースの」

「ふふ、分かったわ。アーサー君は?」

「自分ですか? え、えっと、シチューがいいです。リツ様の屋敷で初めて食べたシチューが」

「分かったわ。任せてね」

 バーンとララが羨ましそうな顔で見ている。

 うふふ、いいだろう、羨ましいだろう。

 なんだか、私のことで胸を張るマリ先輩を気持ちが分かる気がする。

 冒険者ギルドに入り、報告窓口へ、マルコフさんとフレナさん、リツさんが向かう。リツさんのアイテムボックスにゴブリン入れているからね。三人はすぐに倉庫に案内され、私達はギルドの奥、広い部屋に案内される。

 しばらくして、三人が部屋に来る。オルファスさんと、白髪混じりの女性と共に。わあ、白髪混じりでそこそこ年だろうけど、綺麗な人だな。

「ここのギルドマスターだよ」

 バーンが教えてくれた。

「お疲れ様、大変な目にあったね。私はトウラの冒険者ギルドマスター、シェラよ。全員無事生還したことは喜ばしいこと。よく、戻って来てくれた」

 一息つくギルドマスター、シェラさん。

「かなりの数だから、査定は明後日になる。依頼の成功報酬は今日、窓口で受け取っておくれ。そしてランクに関しても明後日、正式に伝える。いいかい?」

 全員頷く。

「ところで、ゴブリンキングを倒したのは、誰だい?」

 う。

 一斉に視線が集まる。

「確かJランクだったね。ちょっと、いいかしら?」

 別室に連行されそう。あ、やな予感。どうしよう、腰に下げてる二代目で倒したって言っても信じて貰えないだろう。キングの体に、二代目は刃が立たなかった。あの規格外の最後の剣だから、キングの体の中でも最高硬度の骨まで断ち切れただけだ。多分、私自身のレベルや魔力系スキルが高ければ、二代目でも対抗できたんだろうけど、あの時点では、あれが精一杯だった。

 押し黙る私。

「あの、ルナちゃん、今日は疲れていますから。後日にしてもらえませんか?」

 マリ先輩が、さっと私の前に立つ。

「そんなに時間は取らないよ。確認したいことが一つあるだけだから」

「ルナちゃんはまだ未成年です。保護者として私達もお話しを聞きます」

 リツさん、いつから保護者に? ま、いいか、家主さんだし。

 シェラさんがどうしようかと、考える。

「確か、キングを倒したのは誰かと共闘だったね」

「儂だ」

「私です」

 アルフさんとローズさんが前に出る。

「じゃあ、三人で来てくれるかい? なら、いいだろう?」

 一人でないなら、大丈夫かな。私とアルフさん、ローズさんは、シェラさんに別室に移動。

 単刀直入に聞かれた。

「キングの首をどうやって切り落とした? アルフレッドだったね。あんたの槍ではないだろう?」

 だよね。そうだよね。

 アルフさんの魔鉄の槍の穂先、派手に欠けているし。

 私はスキル、未成年を発揮。そっとアルフさんの後ろに隠れる。ローズさんも寄り添ってくれる。

「すまんな、ギルドマスター、ルナは疲れておる」

 アルフさんが庇ってくれる。

 ため息をつく、シェラさん。

「魔鉄の武器が歯が立たないものを切り落とす業物を、その子が持っているんだろう? 誰かに話すわけはないから、話すだけでいいんだよ。ただ、把握したいだけだよ。今回みたいな時に、討伐を依頼したいときに参考にしたいんだよ」

 なれほど、でも、見せられないし、話せない。ドワーフの国宝以上の武器あります、なんていえない。

 多分、ミュートの件もあるだろう。スタンビードを恐れがあるらしいし。

 だけど、見せられない。アルフさんだって、見せるくらいなら、なんて言わないしね。

 私は黙ったままアルフさんの後ろから動かない。

 長い沈黙の中、折れたのはシェラさん。

「嫌われたね。まあ、いいか。とにかくお疲れ様、帰ってゆっくり休みな」

 ほ、良かった。

 リツさん達が待つ部屋に戻ると、心配された。大丈夫ですよ。

 明後日の朝に再び冒険者ギルドに集合することになり解散。

 私達はホリィ一家が待つ、屋敷に戻った。

読んでいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ