ハロークロス
ちょっと気分転換に………
「おはよ!」
「おはよう」
隣の席の女の子。 交わった言葉はただの挨拶。
「昨日さぁ! うちの猫がさぁ!」
突然始まる君の会話。 僕はそれに相槌をうつ。 話すのがとても好き、結構どうでも良い内容ばかりだけれど。
「あ、そういえば僕も昨日ーー」
「そんでそんで! 餌あげようとしたら!」
……話すの好きで、聞くのは嫌い。 とても自分勝手、そのワガママを笑って受け入れてるのは僕だけだって気づいてる?
喋るのが好き、聞くのは嫌い。 そんな君を、僕は好きで。 でもそのことを知らないのは、恐らく君だけなんだと気づいている?
どうすれば気づくかな? 僕の気持ちに。
僕にとってそれはとっても難しいことだ。
例えば。 一流大学に合格するよりも。
例えば。 円周率を解き明かすよりも。
例えば。 総理大臣に就任して、この国を平和にするよりも。
例えば。 どんな病気も治せる医者になるよりも。
どんなことよりも難しいと思うんだ。
そんな例えをしたらさ。 君はきっと「そっちの方が何百倍も難しい」なんて言うだろうね。 でも、そんなことはないんだ。
だってさ。 一流大学に合格しても、円周率を解き明かしても、総理大臣になっても、名医になっても。
それで君に、何をしてあげられるんだい?
僕は世界より、君の方が大切。君に何もしてあげられないなら、富も名声も意味はないんだ。
君の攻略法、検索しても0件で。
教科書開いて、無駄な知識を頭に入れる。 知りたいことは、君のことなのに。
知りたいことを知ることが出来ないのは、なんてもどかしいんだろう。 でもきっと、知ることが出来たなら。 それはもう、最高に嬉しいことなんだろうね。
今日も君を見て、そんなこと考えてた。 結局何も出来ない僕。 情けない、いくじなし。
「バイバイ!」
「うん、またね」
そう言って手を振る。 たったそれだけで、こんなに好きだと思えるのに。
交わした言葉に、胸は高鳴る。
まだ少し勇気が足りない、僕の恋心。
ありがとうございました。




