第五話「神鳴寺機甲鎧整備教導院」
「おはようございます皆さん。『神鳴寺機甲鎧整備教導院』の入学、おめでとうございます」
惑星ミチマサにやって来て修理と出会った日から三日後。俺は整備士の学園に無事入学して担任の挨拶を受けていた。
「私はこの教室の担任の花山理華です。今日から三年間皆さんと学園生活を送ることになりますが、よろしくお願いしますね」
校長先生の長い演説を終えて自分の教室に行くと、まだ若い二十代くらいの女性の先生が現れて自己紹介をしてくれた。
あの人が俺達の担任か。綺麗だし優しそうな人だな。
……ん? でも今「花山」って言わなかったか?
「参ったな。まさか理華が担任かよ……」
前を見てみると同じ教室になった修理が顔を隠して呻いている。
やっぱりあの花山先生って……。
「(そうだよ。俺の姉貴だよ。ここの教師だから受験勉強とか手伝ってくれたんだけど、まさか担任になるとは思わなかったぜ)」
「はいそこ! 修理ちゃ……じゃなくて花山君と後の日善君。私語は慎むように」
俺の質問に修理は小声で答えてくれたが、花山先生に聞こえていたみたいでお叱りを受けてしまった。
……それにしても修理って家では「修理ちゃん」と呼ばれているのか。
「うるせぇよ!」
「だから私語は慎みなさい。……まったく。いいですか? 本校は今から五百年前、この惑星ミチマサを開拓した初代領主様が開校した由緒ある整備士育成の名門です。本校の卒業生は必ず機甲鎧の整備士としてどこかの領主様の私設軍への入隊が約束されています」
花山先生は俺と修理をもう一度叱るとこの学園の説明を始める。
「そして整備の実技では、本校と同時期に開校した侍様の育成学校『神鳴寺機甲鎧戦術教導院』にお邪魔してそこの機甲鎧に触れていきます。ここで在学中の侍様の目に留まれば『専属整備士』となることも充分に有り得ます」
花山先生が「専属整備士」という単語を言ったとき、前の席の修理を含めた教室中の生徒の目付きが変わる。
専属整備士とはその名前の通り特定の侍と専属契約を交わした整備士のことだ。
一般兵である下位の侍は量産型の機甲鎧を使用するが、上位の侍ともなれば専用の機甲鎧を使用していて、この専用の機甲鎧を整備するのが専属整備士の仕事だ。機甲鎧は侍の命、あるいは半身とも言える存在で、それを常に万全な状態に保っておく専属整備士は侍の側近のような立場として尊敬を集めていた。
当然、上位の侍ならすでに専用の機甲鎧と共に専属整備士を揃えているのだが、それでも侍としては優秀な整備士は多いにこしたことはないのだろう。現に俺はこの学園で有望そうな先輩が専属整備士として引き抜かれた話をいくつか聞いたことがある。
「本校で学び、優秀な整備士になることは皆さんの未来と天文帝国の平和にと繋がります。ですから皆さん、今日から三年間しっかりと勉学に励んでくださいね」
『はい!』
花山先生の言葉に俺達生徒は口を揃えて同時に返事をした。