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第三十九話「無意味な攻撃」

 ガガガガッ! ガガガガッ!


 海賊の御手型機甲鎧は、俺達に向かってきては両腕の機関砲を発射して攻撃し、攻撃をすればすぐに離脱するのを繰り返す。


 絶えず高速で動き回って決まった距離から攻撃を仕掛けてくる……。典型的な高速系中距離戦術士だな。俺が一番苦手なタイプだ。


 俺はどちらかというと、高威力の武器の一撃を確実に敵に当てていく戦い方が得意だからな。この手の敵とは正直戦い辛い。


「カズト! 後ろから来るよ!」


 ……! 分かった!


 ガガガガッ!


 アオの言葉に反応して回避行動をとると海賊が発射した砲弾が通りすぎる。


 アオ、助かった!


「お礼は後! すぐにまた来るよ!」


 くっ! こんなに早く動かれたら弓矢の狙いがつけられない!


 ガガガガッ! ガガガガッ! ガガッ! ガガッ!


 海賊の御手型機甲鎧は左右の腕の機関砲をそれぞれ違うタイミング、角度で発射してこちらの逃げ場を少しずつ塞いでいくように攻撃してくるのだが、時折全く意味のないタイミングで攻撃をしてくる。そのお陰で俺は、本当だったら命中するはずの攻撃を回避できているのだが……。


 何なんだ? このこちらに向けただけの無意味な攻撃は?


 まるで攻撃に対する反応速度から俺の実力を見ているような……。それとも単に遊んでいるだけか?


「あのイヤミな動きは両方だと思うわ」


 海賊の御手型機甲鎧を見ながらアオが不機嫌そうに言う。


 ……アオ? 何だかお前、あの御手型機甲鎧が出てきてから機嫌が悪くないか?


「今はそんなこと別にいいでしょ。それより向こうが私達を甘く見ているのだったら、今のうちに反撃するわよ」


 俺だってそうしたいけど敵の動きが速すぎて狙いが定められないんだって。それにさっきから絶え間無く襲い掛かってくるこの攻撃だっていつまで回避できるか分からないし……。


「大丈夫。私に任せて。いい? まずカズトは別に当たらなくてもいいから神器の矢をあの機甲鎧に向けて射って。そしてそのすぐ後に……を……………に…げて。後は私が何とかするから」


 そういうことか……。分かった。


 俺はアオに頷き返すと海賊の御手型機甲鎧に向けて神器の弓矢を構えた。

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