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第十四話「悪霊獣出現」

 俺は最初、アオの言葉が理解できなかった。いや、この場合は信じたくなかったというのが正しいだろう。


 悪霊獣だって? アオ、それは本当なのか?


「うん。この気配、間違いないよ」


【悪霊獣の出現を確認しました。住民の皆さんは警備隊の指示に従って、速やかに最寄りの避難施設に避難してください。繰り返します。悪霊獣の出現を……】


 真面目な顔をしたアオの言葉を証明するかのように格納庫に設置された拡声器が合成音声で悪霊獣の襲撃を知らせてくる。


 くっ! これはいよいよマズイな。


「うわあああっ!?」


 格納庫の入口から誰かの悲鳴が聞こえてきた。


 何事かと格納庫の外を見れば、何処からか吹く突風にのって黒い霧が集まって空中に漆黒の球体ができていた。


 あれは悪霊獣の核……! あの大きさだともうすぐ悪霊獣が現れるぞ。しかも悪霊獣の核は全部で十個もある!


「このままだとここに十体の悪霊獣が現れることになるけど……カズトはどうするの?」


 空中に浮かぶ悪霊獣の核を見ながら俺に聞いてくる。


 どうする……って、避難するに決まっているだろ?


「避難するの? 機甲鎧があるんだから乗ればいいじゃない。私とカズトだったら避難施設に行くより機甲鎧に乗った方が安全だと思うよ?」


 き、機甲鎧に乗ったとしても安全とは限らないだろ? それに侍でない人間が機甲鎧に乗ることは禁じられている。


 俺が顔をそらしながら言うとアオが呆れたように頭を振る。


「あーもー……。カズトってばまだそんなことを言っているの? カズトには私が、神霊がいるんだよ? カズトはもう立派な侍だって」



『カズト。お前は侍にはなるな』



 ……………っ!


 俺は……! 俺は侍じゃない! まだ侍になっていない!


「カズト?」


 アオ。ここは神鳴寺機甲鎧戦術教導院……侍の学園だ。教員は全員侍だし、機甲鎧も大量にある。だから素人の俺の出番なんて……ない。


「……カズト。それ、本気で言ってるの?」


 ほ、本気さ。本気で言っているに決まって……、


 ズゥン!


 俺の言葉を遮るように校庭から轟音と振動が響き、音の発信源に視線を向けると実体化した三体の悪霊獣が校庭に立っていた。

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