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第十一話「プライバシー皆無」

 アオと出会った日から三日後。俺は夢を見ていた。


 ガキィン! ドゴン!


 見た夢はこの星に来た日にも見た、初めて義父さんと出会った夢だった。音がする方を見ると、やはり義父さんが乗る機甲鎧と悪霊獣が戦っていた。


 義父さんに出会う前の俺は、感情も何もない人形のような子供だった。あの人と出会わなかったらたぶん今の俺はいなかっただろう。


 ガガガガガッ!


 そんなことを考えながら義父さんと悪霊獣の戦いを眺めていると、義父さんの機甲鎧が悪霊獣を倒してから十年前の俺に話しかけようとして……、



「あの人って誰? 結構強いじゃない?」



 ………!?


 突然聞こえてきた声に俺は思わず夢から覚めて飛び起きた。






「ねぇ~カズト~、もう機嫌を直してってば。朝の事だったら何度も謝っているじゃない」


 その日の午前の授業を終えて学園の食堂で昼食を食べていると、宙に浮かんだアオが手を合わせて謝ってくる。朝の事というのは今朝に俺の夢の中に現れた件のことだ。


 アオ、うるさい。あと宙に浮かびながら謝るな。人に見られたらどうするんだ?


「いやいや、私が姿を見せようとしないと貴方以外に見えないのは知っているでしょう?」


 そうだな。アオが俺に宿ってから今日まで、同居人の修理だけじゃなく教室の皆もアオに気づいていないしな。


「それに、ほら? 私達ってば一心同体でしょ? だからカズトが夢を見たらたまに見ようと思わなくても同じ夢を見ちゃうんだってば」


 ……一心同体って言葉がここまで嫌なものだとは思わなかったよ。


 なにしろこの三日間、アオは常に俺と一緒だったのだ。


 起きている時も寝ている時も、トイレに行っている時も風呂に入っている時も……。アオは外見が若くて綺麗な女性なだけあってこれは精神的に結構辛い。


 というか昨日、風呂に入っていたらアオが現れて「カズトってば中々カワイイじゃない」に言われた時は軽く死にたくなった……。


 はぁ……。神霊なんて宿らせるものじゃないな……。


「そこまで言わなくても……。天文帝国では神様同然の神霊にそんなことを言うのはカズトぐらいだよ?」

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