試合前夜
部員が減っていくのはあっという間だった、一人がやめると雪崩の如くどんどんやめていった理由は主に二つあったまず一つ目は単純に練習が厳しすぎたのだ死ぬほど走った後に筋トレと稽古があった、実際俺もかなりきついと感じていた、そんな中で俺が練習に耐えられたのはもちろん谷本がいるからだったここでやめたら絶対根性なしだって思われてしまう。そうなりたくなかったので俺はかなりきつい練習もどうにか耐えていた。そして二つ目の理由が一年の間での扱いの違いだ最初に入った八人の中で実力が明らかに違うのが二人いたどちらもいくつかの大会で優勝したりしているかなりの実力者だその二人と残りの部員とでの扱いがかなり違っていたのだ、その二人は部室を先輩と一緒に使っているのに対し残りの部員は使うのが二年になるまで禁止だったり雑用の免除など数え始めたらきりがなかった。そんなこんなで夏の前には部員は俺とその二人だけになっていた、正直俺もやめたくなってきてしまった帰り道はほとんど会話がないし谷本とも最近はあんまり話さなくなってきた、部活で疲れて話をする体力が残ってなかったというのもあるが最近なんだか谷本があんまり話してくれなくなった気がする。まぁ気のせいであることを願うしかなかった嫌われるようなことをした覚えもなかったしな。
そして二週間後には俺にとって初めての公式戦がある、俺もかなりきつい練習を耐えてきたのでどうにか一回戦ぐらいは勝ちたい、谷本にもかっこいいところを見せたいというのもあるし何よりこんなに何かを頑張ったのは初めてだから勝てないとメンタル的にきつい。そして今日から練習は調整メニューとなった調整メニューとはいつもの練習とは違いかなり楽な練習になることだ、まぁ試合前にいつもの練習して疲れて試合にならなかったら意味ないからな。そして実際やってみるとかなり楽だった筋トレとランニングがなくなり稽古もかなり緩くなった、けどマネジャーはその間部員より早めにあがるらしく帰りは俺たち三人になった正直一緒になんて帰りたくはなかったが金〇キャプテンが一年同士で仲良くできるように一緒に帰るように言われているので仕方がなかった。そんな日々が続いて試合の前日になったその日も大した会話がなく明日が試合という事もあり程よい緊張感が俺たちを包んでいた仕方なく三人で帰っていると二人のうちの中山珍しくが話しかけてきた、中山は髪はなぜか言われてもいないのに丸刈りにしていて話しかけてみてもいつもそっけない返事しかしないし、たまに話しかけてきたと思ったら弱いだのなんだのひどい物言いなのであんまり仲良くはしたくなかったもう一人の木本は全然しゃべらない無口キャラで話しかけられたことはいちどもなかった。
「お前試合どうするの?」
意味が分からなかった
「どういう意味?」
「お前は出てもどうせ負けるから当日来るのか来ないのか先に聞いておこうと思って」
真顔で淡々とそんな事を言われたのでかなり頭にきた
「負けるかなんてわかんないだろ、俺だってサボらず真面目に練習してきたんだぞ勝てるかもしれないだろ」
「そんな可能性はないお前は絶対に明日の試合は勝てない」
こいつ何様なんだよ確かに俺より全然強いけどだからって俺にそんな事いう資格があるのかよ、まぁもうどうでもいいやまともに取り合うことはないし
「あっそ、だから何?」
「負けるくらいなら出ない方がいいんじゃなのか」
「何言ってんの?普通に出るから、うるさいからもう話しかけてくんなよ」
それ以降中山は話しかけてこなかった、木本は終始黙ってみていたこいつマジでよくわかんない奴だな少しは止めようとしたりしないのかよ。そして家について適当に晩飯を作って布団に入ったが緊張していつもに比べたらかなり寝つきが悪かった、けど夜更かしする気にはならなかったのでそのまま布団の中にいた。
そして翌日俺は一番乗りで試合会場についた