HAMBURGER BLUES 第54話 ICE GARAGE THEORY 五台の観測記録 前編
HAMBURGER BLUES 第54話
ICE GARAGE THEORY 五台の観測記録 前編
ウォォォォォォォォーーーーーーッ!!!!!!
始めるぞコラァァァァ!!!!!
ギャャャャャーーーーーーッ!!!!
工具箱が閉まる音
エアコンプレッサーの低い唸り
整備士達の怒鳴り声
DJ達の笑い声
全部が一つの巨大なリズムになって工房全体を循環していた
パウダー
……まずは漆黒
beem
テメェら観測しろォォォォ!!!!
俺の相棒は今日も世界一だコラァァァァ!!!!!
整備士A
静かにしろォォォ!!!!
いや静かにできるわけねぇェェェェ!!!!
BLACK EMPEROR Mk-Ⅶだぞバカ野郎ォォォォ!!!!!
ギャャャャャーーーーーーッ!!!!
漆黒機体
全長 二四七〇ミリ
黒曜星鋼フレーム
多層共振吸収構造
外装表面は完全艶消しではない
極微細な星鉱粒子が混ぜ込まれ
照明角度によって宇宙のような深度を生む
パウダー
見ろ
ここだ
通常フレームとの違い
溶接点が三十二箇所多い
強度のためじゃない
振動の伝わり方を整えるためだ
肉を焼く人間は
振動に敏感なんだよ
beem
……は?
パウダー
鉄板の音
包丁の重さ
ヘラの返り
毎日聞いてる奴の身体は
機械にも同じ答えを求める
だからお前のバイクは
真っ直ぐなんだ
Walker
興味深い
労働とは単なる作業ではない
肉体に刻まれた反復が
やがて美学として機械へ転写される
存在は連続している
ハンバーガーも
鉄も
人生も
DJ達
ウォォォォォーーーーーーッ!!!!
哲学始まったァァァァ!!!!
誰か録音しろコラァァァ!!!!!
その横
ギャル整備士A
bads様ァァァァ!!!!
今日の続き見せてくださいィィィィ!!!!!
bads
うるせぇェェェェ!!!!!
見せてやるから感謝しろコラァァァァ!!!!♡
HEARD
永光境界コレクション
第四装備
月虹残響ロングコート
素材
極光繊維 五十パーセント
記憶宝糸 三十パーセント
星屑結晶 二十パーセント
肩口には微細な光反射結晶
歓声の方向だけ柔らかく発光する
裾は七層構造
歩行時
風ではなく
音楽の残響のように遅れて揺れる
ギャル達
キャァァァァァァ!!!!!!
銀河一ィィィィ!!!!
意味分かんねぇけど美しすぎるゥゥゥゥ!!!!!
bads
当たり前だコラァァァァ!!!!!
量産品と一緒にすんじゃねぇェェェェ!!!!♡
Noah
観測結果
本日も銀河最高値を更新
異論提出者ゼロです
cool
すぅ……
綺麗ですねぇ……
服というより
祝祭そのものですぅ……
整備士B
誰だァァァァ!!!!
超振動レンチ戻してねぇのォォォォ!!!!!
整備士C
テメェ昨日分解ショーやっただろバカ野郎ォォォォ!!!!!
ギャャャャャーーーーーーッ!!!!
笑い声
拍手
DJ達のスクラッチ音
パウダーは静かにWalkerの機体へ向かった
ダーティーブルー
深海にも似た色彩
MADMETAL NEEDLE専用収納構造
レコードケース固定フレーム
音響共鳴プレート
パウダー
……こいつは面白い
速さを追ってない
音を運ぶためのバイクだ
Walker
移動とは
位置の変化ではない
世界の解釈を運搬する行為である
音楽は時間の建築物だ
だから私は走る
DJ達
ウォォォォォーーーーーーッ!!!!
難しすぎるぞコラァァァァ!!!!!
でも最高だァァァァ!!!!!
パウダー
通常車体との違いを説明する
一般機体
重心は中央
目的は効率
だがWalkeの機体は違う
後方重心
音響装置
レコード収納
共鳴板
全部を積んでなお
静かに走るための設計思想
つまり
これは輸送機じゃない
移動する哲学書だ
beem
ギャハハハハ!!!!
その説明クソ似合ってんぞコノ野郎ォォォォ!!!!!
Walker
否定はしない
人は皆
何かを運びながら生きている
私は偶然
音楽だっただけだ
〇・八秒
静寂
その瞬間
パウダー
……次からが本番だ
漆黒と蒼
ここから先
手を入れる
その前に
持ち主の人生を
もう少し観測させろ
ギャャャャャーーーーーーッ!!!!
続く
第55話
五台の観測記録 後編




