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HAMBURGER BLUES  作者: ハンバーガーブルース


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29/201

HAMBURGER BLUES 第19話『フレーム泥棒と、銀河一うるさい中古市場』





カランカラン


じゃない


今回は店の音ではない


次元の狭間シティー第三層


地下八百メートル


巨大中古機械市場


《IRON GHOST BAZAAR》


ネオンが霧を切り裂き


数百万台の壊れたバイク


数千万個のエンジン


名前を失った機械達の墓場が


永遠みたいに続いていた




beem

「つまりだ」


Walker

「つまりじゃない」


cool

「おれ今すげえ平和感じてる」


bads

「平和なわけあるかよバカ三人」


beem

「Noahの器を探している」


Walker

「人格形成における身体性の比喩としてのフレーム」


cool

「フレームって人生だよな」


bads

「いや鉄だろ」


beem

「鉄は人生だ」


Walker

「出た」


cool

「始まった」


bads

「肉の次は鉄かよ」




ドドンドドンドンッ


ドンドドンドンドンッ


四台のV-TWIN700 Heritage Scooterが


市場前で静かに止まる




ブラック


ダーティーブルー


カーキ


ベージュ




雨で濡れた車体が


紫のネオンを反射していた




市場入口


巨大な看板




【盗難品歓迎】


【来歴不明歓迎】


【昨日まで他人の物だった物、大歓迎】




Walker

「法律概念が完全に死んでる」


beem

「素晴らしい自由市場だ」


bads

「最高じゃねえか」


cool

「客層が俺の故郷っぽい」




四人


同時に歩き出す




市場内




怒鳴り声


笑い声


エンジン音


酒瓶の割れる音


ジャズ


テクノ


演歌


ブルース


全部同時




完全なるKHAOS




bads

「うわああああ最高」


Walker

「情報量が暴力」


cool

「落ち着く」


beem

「肉市場と同じ匂いがする」


Walker

「何を基準に生きてるんだ」




その時




老人

「お前ら」




全員

「誰だ」




巨大なヒゲ


銀色ゴーグル


革エプロン


右腕が義手


左目がレンズ




老人

「Vツイン積むガキ用フレーム探してんだろ」




沈黙




Walker

「情報漏洩」


cool

「怖」


bads

「ジジイ」


beem

「何者だ」




老人

「俺はJACK」




JACK

「銀河最後のフレーム職人」




風が吹く




酒瓶が転がる




JACK

「Noahってガキ」




JACK

「目が寂しいな」




beem

「知っているのか」




JACK

「知らん」




Walker

「知らんのかい」




JACK

「だが機械は持ち主を選ぶ」




cool

「深い」


bads

「意味分からん」


beem

「続けろ」




JACK

「お前らが探してる物は」




JACK

「市場には無い」




全員

「は?」




JACK

「盗まれた」






沈黙




bads

「はあああああああ!?」




Walker

「フレームを盗むという文化圏」




cool

「熱い展開になってきた」




beem

「誰だ」




JACK

「IRON DOGS」




市場最悪の暴走族だ」






ドドンドドンドンッ




遠くで


エンジン音




黒い集団




二十台以上




巨大スクーター型ヴィンテージバイク




髑髏の旗




Walker

「最悪のタイミング」




bads

「おい」




bads

「なんか来てんぞ」




cool

「喧嘩?」




beem

「喧嘩だな」




cool

「久しぶりだ」




Walker

「喜ぶな」






リーダー

「そのエンジン」




「川底の亡霊Vツインだな」




beem

「だったら?」




リーダー

「そのエンジンに合うフレーム」




「俺達が持ってる」






沈黙




bads

「お前ら」




bads

「今すぐ寄越せ」




リーダー

「嫌だ」




bads

「殺す」




Walker

「交渉開始三秒」




cool

「早いな今日」




beem

「待て」




beem

「肉と同じだ」




「奪うより」




「理解する事が先だ」




bads

「いや奪えよ」




Walker

「珍しく私も同意」




cool

「俺もう殴る準備してる」






リーダー

「明日の夜」




「地下酒場BLACK PISTON」




「酒で勝負しろ」




「勝ったらフレームをやる」




「負けたら」




「エンジンを置いていけ」






静寂






beem

「受けよう」




Walker

「絶対嫌な予感しかしない」




bads

「面白くなってきた」




cool

「酒の勝負なら負ける気しない」




JACK

「バカ共」




JACK

「お前ら」




「生きて帰れよ」






その夜




四人は


市場最奥のBAR


《COSMIC MUFFLER》


へ入る




カランカラン




マスター

「旅人か」




beem

「最高の酒を」






出てきたのは




【Nebula Rust】




次元樽熟成


四百二十年物




アルコール度数


91%







蜂蜜


古代機械油


最後に薔薇




Walker

「情報量が狂ってる」




cool

「うま」




bads

「喉焼ける」




beem

「素晴らしい」




グラスが鳴る




カチン




beem

「Noahの未来に」




Walker

「まだ本人何も知らない」




cool

「帰ったら絶対怒る」




bads

「泣くだろあいつ」




beem

「だからこそ」




「最高の物を作る」






沈黙






Walker

「ところで」




「エンジンはある」




「フレームも賭けで手に入る可能性がある」




「だが」




「ボディは?」






cool

「無い」




bads

「金も無い」




beem

「夢だけある」




Walker

「最悪だ」






沈黙






bads

「しゃあねえ」




cool

「出すか」




Walker

「私のDJ機材買い替え資金が」




beem

「私の肉研究費が」




全員

「痛い」






しかし




全員笑う






beem

「仲間とは」




「未来に投資する事だ」




Walker

「珍しく良い事言った」




cool

「泣きそう」




bads

「酒のせいだろ」






グラスが再び鳴る




カチン






次回




HAMBURGER BLUES 第20話


『BLACK PISTON 酒豪決戦と鉄の契約』




酒で世界を奪い返せ


フレームを取り戻せ


そして


Noahだけが



まだ何も知らない――。









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