雨宮雪菜
人生の本当の「勝者」とはなにか。この世界では、大企業に就職して、いい大学を出たたいわゆる勝ち組。高卒や、ホームレスなどの負け組。その分類は何を基準にして考えられているのか。その基準は本当に正しいのか。さあ、あなたも一緒にゲームに参加してみませんか?
この世は不公平だ。なんで、こんな家に私を生まれさせたんだろうか?
「おい!酒がねえじゃねえかクソッ!!酒はいつも夕飯前に用意しとけって言ってるだろ!もういい!12時まで帰ってくんじゃねえ」
散々殴られたあと、私は家を追い出された。
「いったあ。・・きよばあちゃんのところに匿ってもらうか」
そう、私の隣の部屋にはきよばあちゃんという人が住んでいる。いつもここで食事とかを食べさせてもらっている。ここだけが私の唯一の心の拠り所だ。きよばあちゃんも独り身でご飯を食べさせて貰う代わりに私が介護をしている。夕方の5時。夕日が沈みかけ、ドアを照らす。ピンポーン。
「は〜い。なんだゆきちゃんか。いらっしゃい!また、追い出されたの?」
「はい・・。散々殴られちゃいました」
「大丈夫かい?中においで!手当してあげるよ。」
「ありがとう!きよばあちゃん!」
私は、中に入れてもらった。暖房が効いていてとても温かい。うちとは大違いだ。
「こたつに入ってなさい!今日はみかんとカレーがあるよ!」
「カレー?!やったああ!」
私は、ご飯が炊けるまできよおばあちゃんに手当してもらった。
「よしと!痛くないかい?」
「うん!あ、いつもの洗濯物取り込むよ!」
「ありがとう!助かるよ!」
温かいこたつの中でカレーとみかんを食べながら、私は明日のことを考える。明日はテストかあ。やだなあ。上位に絶対入らないと殺されるよ。
「そういや、椿高校、明日テストじゃなかったっけ?」
「うん。上位に入れば、学費も免除、おまけに返済不要の奨学金がもらえるから、お父さんは奨学金をもらうために高校に入れてもらってるからもし入れなかったらどうなるかと思うと・・ひええええ!」
「そうかい。大変だねえ。お父さん警察官だっけ?」
「うん。駆け込んでももみ消されちゃうよ・・それにいつも女の人を連れ込んでるししょっちゅう追い出される(泣)」
「そうかい。ゆきちゃんも大変だねえ。困ったらいつでもうちにおいで」
「うん!ありがとう」
色々話してるうちに眠くなってきたので、こたつの中で寝てしまった。
「はっ!もう4時じゃん!もう家行かないと!ありがとうきよおばあちゃん!またね!」
「ふわああああ!はい!またね!」
これが最後の時間だとは思わなかった。私は急いで家に戻る。
「おい!朝飯を早く作れ!!」
「ごめんなさい!」
私はぱぱっと簡単な朝ごはんを作ったあと、バイトに出かけた。夕日がもう沈む頃、体がくたくたになるまで働き、夜遅くに家に帰ると、なにか家の前がおかしい。きよおばあちゃんの家のドアの前に警察がいる。
「お父さん!何があったの?!!」
「あのばばあ亡くなったよ。齢だって」
「え・・」
目の前が真っ暗になった。朝、あんなに元気だったのに。どうして?
「眠るように亡くなったってよ。まあ、あのばばあは昔から気に入らなかったんだ。いちいち家の事に突っ込んでくるしよお。ざまあみろだな笑笑」
そんな・・。きよおばあちゃんが亡くなったら私はどうすればいいの?私の唯一の心の拠り所が今この瞬間消えた。真っ暗な空の上に星が一つ光っている。あれがきよおばあちゃんの星かな・・。
「早く戻ってねてろ。飯はいらねえ。」
私はトボトボと部屋に戻った。心の真ん中にぽっかりと穴が空いた気分。あんなに優しかったおばあちゃんが亡くなるなんて信じられない。これから私はどうやって生きていけばいいの?人生からすべて希望と生きる意味が消えた。そんな時、手紙が届いた。
「なにこれ?」
私の部屋の机の上においてある謎の手紙。何だろう?差出人も書いていない。でも、開かなければいけない気がする。体が勝手に動く。
「雨宮雪菜様、ゲームの招待状です。人生を取り戻したくありませんか?このゲームを最後まで勝てばこれからの人生を自分の思う通りに進めることが出来ます!人生の勝者になりたくありませんか?もし、このゲームに参加し本気で人生を変えたいと思うならば、ここに来てください」
下には地図が書いてあった。私にはもう希望も居場所も何も残っていない。あるとすれば、このゲームだけが私の希望。
「・・・賭けてみるか」




