事が終わって その2
とあるお部屋で、桜雪さゆが土方歳三と1対1で会話している。
「永倉新八めー。わたしがいろいろ知ってるってばらしやがってー鬼の副長にとっつかまったじゃん! まじまんじー、ぱいなっっっぽぉう! ぱいなっっっぽぉう!」
「そのまじまんじーってどのような気持ちで言っているのがよく分からないが。
てゆーか、ぱいなっっっぽぉう! って。パイナップル食べたいのか?
ホントお前はワッパのような急激な火の付き方するな…………ギャグだと。おかげでギャグキャラだと思ってそんなに博識だとは思わなかったぞ。
時々う〇ちう〇ち言うし。すーぐう〇ち。寺子屋で勉強し直せ」
「じゃあね、今日はね、時空19☆5<42/14?@5%7」
「おい! 何言ってるのかわからんぞ!
わたしはお前みたいにギャグ適正高いわけじゃないんでやめてくれ! 反応に困る!
君はいつもひょうひょうとしているようで、西洋の紀元前の歴史にもよほど詳しいと永倉新八から聞いた。君の知識、わたしにも一手ご教授願いたい。日本を植民地にされたくないって気持ちはお互い同じだから」
土方歳三はいう。
桜雪さゆはいたずらっぽい笑みをする。
「そんなに聞きたいの? 神は時間飛び越えて情報収集できるんだよ? だから――」
人差し指をぐるんぐるん回して、ビシッと土方歳三を指差す桜雪さゆ。
「土方歳三さん。あなたは戊辰戦争の最後の戦場になる箱館五稜郭の防衛戦で銃で撃たれて戦死します。今から5年後の5月11日!」
「ふっ、日本が植民地にならずにいてくれるのならそれでもかまわん。5年か…………。
予言者として期待したわけじゃあないんだがな。西洋にも詳しい十二単として戦略指南をしてほしかったのだが。
まあいい。新選組は? 生き延びた人は誰がいる」
「永倉さんと斎藤さん。島田魁さんほかちらほら。
あなたの句は21世紀でも残るわよ。安心して」
「なるほどな……なるほどな……命尽きても句は残る……」
そういい、考えに耽るような土方歳三。
(箱館戦争後も生き延びたという生存ルートの方に行くかな~~)
桜雪さゆはいたずら心にそう思った。
「日本を近代化させたのは徳川幕府だからね。
開国を英断する井伊大老。
近代化の青写真を描いた小栗上野介。
優秀なのはこの人達でしょー。
維新は、頑迷な徳川幕府を打ち破って文明開化をもたらし、富国強兵によって世界に伍する国家を創り上げる、とするものである。
これはアホ考え
今アメリカで南北戦争が終結しかけてるから大量の武器が余剰となる。
それを英米の武器商人が上海に持ち込んで日本へ売り込みをかけた。
密貿易でそれを買ったのが薩長。
密輸の一端を担ったのが坂本龍馬。
倒幕に至るデザインしたのはあくまでも西洋。
末端のパシリにすぎない坂本が歴史をつくったかのように描いたやつがいる。
武器商人の悪いのは武器を売るために戦争を煽るところ。
戦争がないと儲からない金は命より重いってねじゃあてめえの商人としての命が一番軽いじゃねーか、人の命を何だと思ってるのかしら。
魂は宇宙を支える力なの。
それを分かっているから、わたしたちはカネなんて交換券より魂を大切にする。
命は力、魂は力なのよ。
宇宙はそれで成り立っている。宇宙は魂で支えられているものよ。
なのに金がどーとかで魂を悪魔に売るのは、それは、それは悲しい事よ…………醜い事よ。
幕末維新の志士たちは、西洋人の危険性に気がついた順番に、殺されるか失脚するかしているわ。わたしたちが負けるとしても維新志士が笑顔になるわけではないの。
坂本龍馬の功績は、西洋人の危険性に最も早く気が付いたことでしょうね。
坂本龍馬あと3年で死ぬよ。
西洋の政府とその武器商人たち、そして打倒徳川の薩摩、長州藩が怒ってる。
竜馬が日本のためになる事を考え始めたから。今更って感じだけどね。
坂本龍馬は内戦してる場合じゃないっていいはじめたけど、イギリス、フランス、薩長は、この内戦(幕府派vs維新志士)を止めさせてくれません」
薩長の倒幕の機先を制するため、徳川慶喜に大政奉還の建白書を提出するのが、1867年10月29日。
徳川慶喜が朝廷に大政奉還の上奏文を提出するのが1867年11月9日。
そして、邪魔になった坂本龍馬が暗殺されるのが、1867年11月15日。
どこまで信じるかは鬼の副長次第だけどね~~~~っ
尊敬する人に吉田松陰や坂本龍馬を挙げる輩は信用なりませ~ん」
さゆは情報の洪水で土方歳三を押し流していた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「世の中金だって?
笑えるな
銃を突きつけられても同じことが言えるか?
ミケーネが史実よりカネ持ってたらミケーネ王国は滅ばなかった? んなアホうな。
論破する知識があるならわたしの言ってることの深さがわかるはずだ」
天津日高日子波限建鵜草葺不合命《あまつひこひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと》が新選組の平隊士とそんなことをいいあってる。
両者そばを食べながら。
「人類皆で仲良くしていくのは理想的ですが、世界で起きている危機も見て。
ネイティブなど人道的に接して滅ぼされた多くの民族の歴史も見てください。
日本もその1つになろうとしていますよ?
その理想を達成できるほど人類は成熟していないのです。
だからお人好しは禁物です。警戒心を解いてはなりません。
その判断を間違えれば、滅びの道を進むことになる。
わたしたち神は、悪も善も愛している。
絶望の中でも光を失いません。
ただし、どうしようもない悪には鉄槌を下します」
瀬織津姫がウガヤの隣でそばを食べながらそういう。
少彦名神は、人間の子どもくらい小さなからだで、重い言葉を放つ。
「神人は人から出た神に近い存在で、まず前提として彼らは絶望を知っている。
しかし、そこで善性を失わない強い魂がある。
多くの人が絶望する中で、光を失わない強い存在。
そして、それは愛に溢れた存在でもある。
そこまでいった時に、人は神化する。それが神人だ。
彼らは今の定義でいう超能力のようなものが使えるようになる。
人の定義とは違うものになる。まさに神人だ。
では、そうならない人間はどうか。
あなたが誰かにいちいち指示されたらどう思う?
嫌に思うよね。
でも、現在の人間は神やメシアに救いの手を求めている人達が多い。わたし達を救ってって。
これ指示待ち人間ね。指示を待っている。導かれるのを待っている。
これを聞いた見込みのある人は
救いの手を待つのではなく、あなた自身が人を救える人になるのが本来の役目なのに、こいつらは大人っぽい顔しながら何を甘えてんのってね。
しかし、この幕末近いうちに襲うであろう様々な危機に彼らは対応出来ない。
神人は危機の時に彼らを一応救うかもしれない。
しかし、その形はまさにいちいち指示する形で、自主性がないんだ。
『指示されて得た安全なんかに幸せはない』よ。
この指示に従うだけのロボット人間。
でも、彼らは常に救いの手を求めていた。導かれるのを待っていた。
ロボット人間になる人は望んでなる。
この世に固執する人達から見たら不幸でも。
神人は、空に行く。
これはあなた達が神と定義しているぼくたちの元に行くことを言っている。
空から地球を見渡し、荒野になった地球を眺め、神人は人々を導く。
神人と人は既に能力が圧倒的に違う別種であるが元々の人の遺伝子が壊されていない姿でもある。
今の日本武尊と出雲建がこの神人だよ」
天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊《あまてるくにてるひこあめのほあかりくしたまにぎはやひのみこと》が新選組の平隊士相手に話している。
「いいかい、2つの世界が互いに対峙しているのだ。
西洋人の中で、奴隷貿易をする西洋人は反人間、反人──我々とは何か別の神の創造物なのだ。
創造主は1人じゃない。人類の起源は1つじゃないんだ。人を作ろうとした神が2人以上いた。善と悪でな。
人類の別の根から生えてきた存在。
彼らとの戦いは、また我ら神々の戦いでもある。
またこの花札。
太陽と月はヤキン&ボアズの置き方を示してる。
右が太陽が正しい。太陽に照らされる存在の月は西だから左。
花札にボアズの概念が残ってるな。月は左」
ホアカリ=男の天照が花札を持って解説する。
あたまにいぬ耳をつけお尻に真っ白なモコモコしっぽをつけた女=草祖草野姫が別の平隊士と話している。
「ユニコーンは、馬頭星雲――オリオン座の馬のモチーフに角が付けられただけのものよ。
ユニコーンが処女を好むと言われるのは、生け贄を行うスケベ祭司が処女を欲しがっただけの話だわ。
そもそも『生け贄』の概念は、悪の考え方だからねえ。
良いまじないは、生け贄は使わないわ。絶対に。
身代わりに『作り物』を使う。身代わり人形、ミニチュアハウス――神棚ね。
『生け贄』、『処女』、『ユニコーン』が出てくる時点で、ウ〇コ。邪悪になってるから無視して良いわよ。
闇霎が別の平隊士と会話をする。
「冬華さん……ですよね?」
「冬華ちゃんは、わたしの部下。わたしと顔似てるけど着てる物違うからそれでわかるでしょ。
――で、日本は(世界も)行き詰っているの。
その根本原因を みんなで検証して見つめなおそうね、っていうのが今。
幕末前の日本は 全国津々浦々まで輝いて国民は皆 笑い転げて暮らしていたの覚えてるでしょう。
そこへ帰ろうね、さらにもっと昔の神代七代王朝日本、豊受朝日本、ウガヤフキアエズ朝日本では、正直者、お人好しが普通だったの。
この戦が終わったら、みんなで、そこへ帰ろうね」
木花咲耶姫も他の隊士と話している。
「人に化けてるレプティリアンというトカゲの化け物に侵略されたのは縄文時代。この今起きてる日本の内戦は縄文人を矢面に立て、殺していただけですよ。
サムライというなかなか頭のいい連中が仕切ってた日本からサムライ追い出して、好き勝手やりたいのよ。あいつらは。
まさに武士道とは、戦いを平和に止める士の事よ。その道が武士
さて、安産の神っぽい事を言います。
一世代を遡ると先祖の数は二乗で増える。
30歳で子を産むとする。
30世代前は900年前になる。
こう考えると先祖の数は2^30 1073741824(10億以上)。
60世代前は1800年前。
そしてって考えると日本人はまったく同じ先祖を共有している。
わたしたちの国の歴史は何年あるの?
数学も希望を持つためにあるのよ。机でうんうん苦しむためじゃないの。
こうして見ていくと、父方と母方の先祖が共通で、被っているということよ。
ささいなことにとらわれないで。
天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊《あまてるくにてるひこあめのほあかりくしたまにぎはやひのみこと》とその妻である瀬織津姫はわたしたちを見ている。
男の天照とその血によって、先祖である天照と同じことが出来ることを信じてください。あなた自身を
遺伝子のめぐりあわせの幸運で才覚を宿した人は、それを誇りとして時として国を捨てる事になろうが『男の方の天照の考え』をまもりなさい。あなたの才能は先祖である太陽神から受け継いだものであることを思い出せ」
永倉新八が出雲建とともに剣でのじゃれ合いから戻ってきた。
2人とも汗をかいている。
「しかしさあ、出雲よ。どうしてあんたら伝説の人間や八百万の神々が俺らのとこに降りてきたんだ。これ勝利期待してもいい感じか?」
「ん~むしろみんなで笑顔でいられる最後の瞬間だからその時を楽しもうって感じかな」
「うひー縁起でもねーーーー」
永倉新八がわさび一気に食べ過ぎたような仕草をとる。
「あっはっは(キランッ☆ミ)こわいね(キランッ☆ミ)
でも僕の出雲王国が滅ぶ時もこんな感じだったよ。ボクがヤマト君にやられる時までは笑顔であふれていたからねえ
ね! 地上での僕を殺したヤマトくん!」
笑顔で出雲建が日本武尊に相槌を求める。
「お前……笑顔でそんなことゆうな……怖いから。
あと今では自覚している。お前がお人好し暴走させずにちゃんと戦っていれば、倒れていたのはわたしの方だとな」
1864年。まだ新選組を覆わんとしている暗い影は大きくなく、詰め所は明るい笑い声が飛び交っていた。