ご主人さま探偵譚

　この春から大学生になる紅井菜穂子は、とある山中で、首輪を嵌め、自らをペットと名乗るお嬢様、翼王道沙良羅と、その沙良羅にご主人様と慕われていた少年、神降悠、そして、沙良羅の執事である巻島半兵衛らと出逢う。
　珍妙な三人組と出くわした菜穂子だったが、なりゆきで彼女たちと行動を共にすることになった。沙良羅たちの行く先は、御雅来夜彦という人形師の元だった。
　彼ら御雅来家の人間は大咎人などと呼ばれ、大昔から、この世界の片隅でずっとたった一つの技術だけを磨き抜いてきた。
　彼らの制作した人形は生きた人間と区別がつかないほど精巧で沙良羅たちも驚かされたけれど、夜彦の孫の砂鳥らとも交流を深めていく。
　しかし、その翌日、閂のかけられた密室の中、人知れず惨劇の幕が上がっていた。