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第3話
「あ、ほんとに来てくれた」
「何驚いてんだよ」
「来ないと思ってたから」
どういう了見で…?
行かない理由がないだろ。
呼ばれたんだから。
「相談があって呼んだんだ」
「相談??」
「ほら、俊って部活やってるでしょ?『心霊研究部』ってヤツ」
「…ああ」
「見てほしいものがあるの」
「見てほしいもの?」
「…わかるでしょ?言いたいこと」
見るって、…何を?
説明がアバウトとすぎてわからん。
幽霊でも見たのか?
「そう!そうなんだよ!」
「…へぇ」
「へぇって、なんでそんな平然としてるの!?いたんだよ!幽霊が!」
幽霊なんて珍しくもなんともない
…とまあ、普通の人からすれば、“珍しい”ってことになるのか。
でも、俺の場合は少し違った。
それは昔からだ。
『幽霊』
俺にとっては、道端に歩いてる野良猫や、電線に止まるカラスみたいなもんだった。
少なくとも、ある事件が起こった日からは——