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第18話
改めて見ると不気味だった。
所々割れたガラスに、薄暗い廊下。
敷地内は草で覆われ、入り口にかけられた鎖は錆びついていた。
ここ数年、誰かが入った形跡はなかった。
それは見ればすぐにわかった。
色褪せたコンクリートや、電気の通っていない廃屋。
黒く焦げたような外壁の汚れは、ペンキを塗りつけたようにぶ厚い色調を伸ばしていた。
“ドス黒い”
と言った方がいいのだろうか?
敷地全体の雰囲気は、元々人がいたとは思えないほど鬱蒼と陰っていて、動物さえも寄りつかない。
場所的に日当たりが良くないってのもあるんだろうが、それにしても…って感じだった。
こびりついた濃いシミが、どんよりとあちこちに漂っている様子は。
先生は鎖のついた正面入り口を跨ぎ、建物の中へと入っていった。
後を追いたいところだったが、俺たちはお互い目を合わした後、どうする?と戸惑いながら、無言のまま息を呑んだ。
理由は…
まあ、ご察しの通り。