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第１７話

　廃病院。

　ラーメン屋からまっすぐ歩いて交差点に出た後、警察署の前を通った。

　ベーカリーショップに、高架下のトンネル。

　のぼりが立ち並ぶカーショップを横切ってから、巨大な「薬」の看板が電信柱の向こうに見えた。

　シミだらけのブロック塀の向こうにある、4階建ての建物。

　もう１０年以上にもなる。

　これは噂に聞いた話だが、病院は元々個人事業でやってたらしく、形態としては「精神病院」だった。

　それが、ある“事件“がきっかけで閉鎖となった。

　数十年間にわたって、組織ぐるみで身寄りのないホームレスを「強制入院」させて不必要な「治療」を施し、国から診療報酬を不正に受給していたとされる。

　患者の中には、不必要な手術が原因で亡くなったり、地下の個室に閉じ込められて精神を崩壊させられた人もいた。

　20年ほど前に職員の内部告発によって事件が露見して、捜査の手が入ったみたいだった。

　立件された事件の被害者は約40人だが、実際はその数倍の方が無念の死を遂げているとされている。

　その後、病院は閉鎖された。