第16話
「…ねえ、なんか変な妄想してない?」
「は!?」
「男子って皆そうなの?飛鳥先生はともかく、美人に弱いって言うかさ?」
ヒロの目に男子がどう映ってるかは知らないが、少なくとも俺は変な妄想なんかしてない。
見たままの感情をそのまま脳内に垂れ流してるだけだ。
美しいものを、美しいと言ってるだけであり…
「変な視線送んないでね?先生勘づいちゃうから」
「どういう意味だよ」
「ほら、気配ってあるでしょ?そう言う意味」
「どんな気配…」
「変態チックな気配?」
「あのなぁ」
自転車はラーメン屋に置いてきた。
先生が徒歩だったから、俺たちも歩くことにした。
ラーメン屋からはそんなに遠くない。
帰りに寄ればいいかってことで、鍵もせずに置いてきた。
ヒロって意外と不用心だよな?
このご時世、自転車に鍵をかけないっていうことの方が珍しい。
俺なんか2回くらい盗られたことあるし。
1回目はショッピングセンターで。
2回目どこだったっけ…
そうそう、本屋の帰りだ。
立ち読みして出るのが遅くなったら、綺麗さっぱり無くなってた。
嘘だろ!?
ってあの時は思った。
あれ以来自転車は買ってない。
1回目の時なんか買ったばっかだったもん…
あの時はガチでショックだった。