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公共の福祉の名の下に 第一章一項
結論から言おう。私は神を自称する正体不明の存在の要請を受け入れた。
私としては結局、自分のルールを破ることが出来なかった。まあ、これ以降は決して守りはしないという確固たる決意をもまた会得したわけだが。私は、日本国民たる地位を喪失した。恐らく、アパートの大家さんに渡しておいた通り、死亡届は出してもらって所有剤は全て国庫に入れられただろう。
まあ、私の生存領域に時間の概念がない以上、過去形にしても良いのかどうかは甚だ疑問ではあるが。
さて、私が神から依頼された内容は、率直かつ実に短絡的なものであった。
「魔法の使える世界を創れ。」
何とも素晴らしい内容だ。要するに、《私が作った宇宙を基に、物理法則を捻じ曲げられる宇宙を作れ》。
アホかと思った。それがどれだけ面倒なのか、分かっているだろうに。とはいえ、私にはそれを断るだけの根拠もない。
ここら辺の性格を見込んで、奴も接触してきたのだろう。
私は、プラズマ宇宙論を原型に、私の生きた宇宙の構造を、ある単独の粒子を以って構成できるように宇宙の組成をいじった。