愛の流刑地
ハッとして目が覚めた。耳を澄ますとザザン・・と波の音が聞こえる。
そうか、私はまた祖国の夢を見ていたのか。
そっと、隣のベッドを見ると、夫が規則正しい寝息をたてて眠っていた。
その安らかな寝顔を見ていると、自然と微笑んでしまう。
これで良かった。私たちの選択は、間違いではなかったのだ。
私たちは、祖国の王である父によって、この遥か遠い異国の島に流された。
粗末な暮らしではあるけれど、自然豊かな島で、食べるものには事欠かない。
昼間は果実の実をもぎ、海で魚や貝を捕り、共に食事をし、夜は一緒に眠る。
幸せだった。
祖国で兄妹でいるより、男女であることを選んだことに後悔はない。
「・・お兄様」
私は、眠っている兄に、そっと口づけをした。