表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

悪役令嬢っぽい令嬢幸せに倒れる

ステラマリアに振られて5年、彼女の隣を歩く為にコツコツと剣技を磨く毎日。

王室の勉強もやりながらは結構・・・いや、かなり大変だ。たまに挫けそうになるけどその度にステラマリアが励ましてくれてヤル気が漲る。

ステラマリアは振った後努力する俺を見て剣のアドバイスや勉強を一緒にやってくれるようになったの3年くらい前のこと。だから今はとてもやり甲斐がある。

今日は午前中剣の練習だ。練習着に着替えて王宮の外にある騎士団の訓練場へ向かう。


ガーデニアの騎士団は4つに分かれていて剣技中心の第一師団、魔法剣士が在籍する第二師団、攻撃魔術専門の第三師団、回復・防御魔術専門の第四師団。


俺は剣術系の魔法は苦手なので第一師団で訓練をしている。剣術魔法が得意なステラマリアは第二師団だ。訓練内容が違うので訓練時彼女と殆ど剣を交えない。


訓練の休憩中ステラマリアのを見ると年上の団員相手に舞うように剣を扱っている。

あれで10才だもんなぁ。さすが騎士団を纏めるドラグニ公爵家の後継ぎ。そして俺の奥さん(希望)


あー好き頑張れと心の中で連呼しながら眺めているとスステラマリアの父・第一師団団長のカールマイトが俺の隣で苦笑しながら


「王子、そんな顔に出して熱く見つめているとうちのステラが焼けてしまいます。」

「えっ?」


ヤバい、そんなに顔に出してたのか・・・これはいけないと照れながらもキッと顔を引き締るが訓練が終わって笑顔で手を振ってくるステラを見たらそりゃふにゃ〜ってなるよ。10才だし大目にみてよ。


「ジーク訓練終わり?」

「あと1回打ち合いしたら終わりかな?」

「じゃあそれが終わったらうちで一緒に戦術の勉強しよう」


そう言うとステラマリアは訓練場の垣根の外へ歩いて行く。と同時に団員の訓練を見に来ていた年頃の令嬢達がきゃーという黄色い声と一緒にステラマリアを取り囲む。

王子の俺よりモテるんだよなー(ナンデダロウナー)


将来有望な団員を探しに来ている令嬢達よ、残念だったな。お目が高いがステラは君らと同じ令嬢で俺の未来の奥さん(希望)だ!と心の中でやいのやいの言っていると「あーら、ごきげんよう」と扇子を口にあて少々威圧的な言い方の少女が遠くから歩いてくる。

今年からよく訓練場に顔を見せているミュスカ嬢だ。

うーん、話し方が悪役令嬢っぽい。


俺が打ち合いをやっている間も令嬢達の牽制とアピールは続いていたが急にバターンという音と共に令嬢達の悲鳴が訓練場に響く。

どうやら令嬢の1人が倒れたらしい。駆け寄るとミュスカ嬢が仰向けに倒れていた。

・・・いたけど両手を胸の辺りで組み幸せそうに倒れている。昇天する人ってこんな感じなんだろうなっていうすげーいい顔。


「ミュスカ!!」


第二師団団長補佐のシャルドン卿がざわつく中駆け寄り抱き寄せた。どうやらミュスカ嬢は卿の娘らしい。


「シャルドン卿すまない、話ていたら急に倒れてしまって・・・」


申し訳無さそうにステラマリアが説明する。


「いいえ、ステラ様のせいではないですよ。・・・この表情を見たら何となく予想はつきます」

「倒れた際に怪我をしているかもしれない、急いで救護室へ」


ステラマリアに促されたシャルドン卿は困った顔をしつつ娘を抱き上げ救護室へ向かう。

こうなっては訓練どころではないと少し早いが解散になり俺は剣を片付け救護室へ向かう。がまたも叫び声が・・・慌てて行くとミュスカ嬢がベッドの上で顔を毛布で半分隠し赤くしたり青くしたりしている。


「あ・・・あ、ステラ様・・・」


か細く声をあげるミュスカ嬢にシャルドン卿が


「ミュスカ、説明を」

「・・・あの・・・お話をしている時にステラ様が・・・わたくしの髪に木の葉が付いているのに気づいて取ってくださったのですが・・その・・・か・・顔を近づけて「葉がついてるよ」と言ってくださり・・・間近のご尊顔と素敵なお声に・・・恥ずかしさと幸せで気を失ってしまいました・・・すみません・・・」


恥ずかしさで顔を伏せるミュスカ嬢にシャルドン卿はやっぱりとため息、ステラマリアは苦笑いをしている。

あの反応はこれまでもあるな。それにさっきまでの高圧的な話し方じゃない。こっちが素か。

そしてやっぱり幸せの気絶かー、でもわかる。わかるよ。そんなことされたら馴れてる俺だって顔赤くして不審者の動きをしてしまうわ。


今だに照れているミュスカ嬢にシャルドン卿が咳払いを一つ


「我がシャルドン伯爵家はドラグニ公爵家の元、王族・公爵家の護衛兼御学友となる為の家だ。今回のように気を失っていては王立学園での護衛任務が果たせないぞ。あと4年、それまでに任を果たせるようになりなさい」

「・・・はい、お父様。頑張ります」


シュンとしながらも素直に返事をするミュスカ嬢に


「ミュスカ、応援しているよ」


とステラが言った瞬間再度幸せそうに倒れるミュスカ嬢。


「ステラ様!その笑顔はおやめください!娘が・・・今の娘では持ちません!!」


えっ?えっ?俺ステラの後ろにいたから見えてないんだけど?どんな笑顔だったの?!ねえ、ちょっと誰か教えてよーーーー!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ