エピローグ・王子フラれる
「おまえ、おれのよめになれ!」
「ことわる!」
「なにぃぃぃぃ!?」
ここはガーデニア王国にある王家のプライベートガーデン。
一年中花が咲き誇る美しい庭園で王族と五公爵家が集まってのガーデンパーティーで第一王子であるジークライン·ガーデニアは青みがかった黒髪に涼しげな紫色の瞳を持つステラマリア·ドラグニに結婚を申し込み瞬殺されたのだ。
呆然とするジークライン。
「ジーくんそれはダメだよぉ」
「ジーくんそれはダメねぇ」
「あらあらジーくんダメなのよ?」
「ジーくんに娘はやらん!」
「ジーくんに妹はやらないよ」
「ジーくんのハゲ〜」
「おれハゲてねぇ!」
口々に周りからダメ出しをくらいちょっと涙目になっているジークライン。
最後はただの悪口である。
「なぜですかちちうえ!」
二人のやり取りを微笑ましく眺めていた王はすっと真顔になり
「・・・ジーク、プライベートではパパって呼びなさい」
「わたくしもママって呼びなさいね〜」
「ちち・・・」
「パパだ!」
王の威厳なんかあったものではない。
「・・・パパなせダメなのですか?」
少し膨れながら言うジークラインに
「つい先日会議でドラグニ家跡取りにステラマリア嬢が決定したのだ。そしてお前は第一王子、王太子候補だ。だから結婚は難しいのだ」
「おうたいしはコライユがなればいいじゃないですか!」
「むむぅ・・・そうきたか・・・」
眉間に皺を寄せる王に宰相である王弟のラルスバインが
「陛下、ジークライン王子はまだ5才です。今の時点では判断しかねるかと。まだ時間が御座います。様子見、という事でよろしいかと」
「・・・うむ、そうするか・・・皆よいな?」
「「「はっ!」」」
その場にいる王妃・五公爵家の面々がうやうやしく礼をする中ジークラインはステラマリアに断る理由を聞く。
「わたしはきしだんをまとめるいえのにんげんだ。ともにたたかってくれるつよいヤツでないとダメだ。いまのジークはよわいから」
「ではつよくなったらけっこんしてくれるのか?」
「かんがえてやる。でもつよくなってもゴリマッチョはイヤだ。ちちのようなほそマッチョきぼうだ」
「ほそマッチョ・・・」
幼い恋心はあっさり砕けたが少しだけ希望は残ったらしい。
その後ジークラインはステラマリアを娶る為に努力を重ねる日々をおくるのだった。