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永遠のイージス  作者: フルマイナス
9/13

9話「三神の日常」

よろしくお願いします!

 登場人物

 霞勝(かがち) (とおる)(17)

 天童(てんどう) 一葉(かずは)(17)

 霞勝(かがち) 鼓滝(つづみ)(39)

 中田(なかた) 蒼海(そうみ)(17)

 神田(かんだ) 海生(みお)(17)

 三嶋(みしま) 緋炉鬼(ひろき)(17)

 阿国(おくに) 優花里(ゆかり)(17)

 天童(てんどう) 美波(みなみ)(39)

 天童(てんどう) 剣司(けんじ)(16)

 安藤(あんどう) 沙良(さら)(39)

 安藤(あんどう) 高彦(たかひこ)(7)

 佐久間(さくま) 恋夜(れんや)(17)

 八坂(やさか) 夜宵(やよい)(17)

 獅堂(しどう) 皇大郎(こうたろう)(17)

 秦村(はたむら) (れい)(17)


 八極拳A

 月無高校監督

 ヤンキーA

 ヤンキーB

 ヤンキーC


○オープニング


○神崎町・病院・全景(夜)


○病室(夜)


霞勝鼓滝(39)「交流試合?」

霞勝透(17)「ああ、体調が優れていたら、見に来ない

 か?」

鼓滝「そういえば、そんなのあったわね〜。最近は体

 調も良いし、見に行こうかしら」

透「なら、美波さんに迎えに来てもらおう!」

鼓滝「そうね、この前、病院に来たのに私の見舞いに

 来なかった事言ってあげなきゃ!」


 笑っている透・鼓滝


○神崎高校・空手場・全景(昼)

 歓声が起こっている


○同(昼)

 横断幕に神崎高校・月無高校交流試合と書かれている

 透、黒帯を締めている

 天童一葉(17)、ミサンガを持っている


一葉「これ、あげる!」

透「こんなもんまで作ったのか?」

一葉「怪我しないように!」

透「怪我ねェ〜、負けないためじゃないんだ〜」

一葉「あ、い、いや、負けないように、おまじない

 も、しておいたから」


 透、右腕にミサンガをつけている

 一葉、不安な顔をしている


透「ハハハ、そんなに落ち込むな。俺は怪我もしない

 し、負けもしない。このお守りに誓って約束しよ

 う」

一葉「う、うん!頑張ってね!」

透「おう」

中田の声「透ー!」


 透、声のした方を見る


中田蒼海(17)「勝てるのか?」

透「ああ、余裕だ」


 中田、笑っている

 神田海生(17)、中田の隣に座っている


海生「透君って、無敗なんでしょ?なんでテレビとか

 に映らないの?」

中田「目立つのが嫌いなんだろ。性格もあるだろう

 が、俺たちみたいな連中は特にな」

海生「あ〜、なるほど」


 阿国優花里(17)、歩いている


優花里「(歩きながら)遅れちゃった?」

中田「(声のした方を見て)いや、時間ピッタリ」


 優花里、座る


中田「あれ、緋炉鬼は?」

優花里「あまり、こういうの好きじゃないらしくて」

中田「だからといって1人で来させたのか?不用心だ

 な」

優花里「いやいや、そこまで送ってもらったよ、バイ

 クで」

中田「アイツ、バイク持ってんの?」

優花里「持ってるよ。友達から貰ったものらしいけ

 ど」

中田「アイツに友達が居たのか」

海生「人のこと言えないわよ」

中田「うるせえ」

優花里「あ、ご飯持ってきたけど」


 優花里、弁当の蓋を開ける


中田「お〜、美味そうだな〜」

海生「ホント、私より上手〜」

中田「お前より下手がいんのかよ」


 中田、海生に殴られる


海生「フン!」

優花里「仲良いわね〜」

中田・海生「どこがだ(よ)!!」

海生「(卵焼きをとり)いただきま〜す」

中田「ならエビフライ、もーらい」

中田「(エビフライを食べ)お!美味い!」

海生「うん!美味しい!」

優花里「でしょ?1番得意だもん」

中田「透!」


 透、振り向く


中田「優花里ちゃんが飯作ってきてくれてるぞ。食う

 か?」

透「いや、一葉が作った飯がある」

中田「(一葉を見て)やるな〜、一葉ちゃん」

一葉「(恥ずかしそうに)もう、やめて!」


 中田、笑っている


優花里「一葉も積極的になったわね〜」

海生「(優花里の肩をたたき)優花里ちゃん」

優花里「うん?」

海生「女子は、ご飯作れる方がポイント高いの?」

優花里「ウ〜ン・・・どうだろう、私の場合はヒロに

 恩返しをしたくて作るようになったから」

海生「え?」

優花里「(小声で)私は、ヒロに求められるがまま上手

 くなったんじゃない。けど海生ちゃんは、ある人の

 為に上手くなりたいんじゃない?」

海生「(顔が赤くなり)え、ええ?」

優花里「バレてないとでも?私、人の恋沙汰に興味は

 ないけど、ついつい分かっちゃうのよね〜」

海生「い、いつから?」

優花里「初めて会った時から分かってたのよ〜」

海生「ホントに17歳?」

優花里「あら、失礼ね。れっきとした17歳よ、ちょっ

 と人生経験が豊富なだけのね」

海生「・・・喜んでくれるかな」

優花里「きっと喜んでくれるわよ。まあ、あの人がそ

 れを求めているのかどうかは分からないけど」

海生「・・・」


 透、歩いている


中田の声「おっ!出てきたな!」


 透・八極拳A、コートの中心まで行き立ち止まる


一葉「頑張れー!」

審判「双方、礼!」

透「・・・」

審判「はじめ!」


 佐久間恋夜(17)・八坂夜宵(17)、座っている


佐久間「夜宵よォ、こんなん見たところで退屈するだ

 けだぞ?」

夜宵「ええどす、透君の勇姿が観られるから」

佐久間「まだ諦めてないのか」

夜宵「・・・もう、とっくに諦めとる。勝てない理由

 (わけ)も分かったんやし」

佐久間「ほう、そのわけとは?」

夜宵「順番、かな?」

佐久間「ほ〜」


 透、八極拳Aを一撃で沈め、静まり返る空手場


透「・・・次」


 歓声が起こっている


鼓滝「強くなったわね、透」

天童美波(39)「よね〜、どんどん人間離れしていく

 わ」

安藤沙良(39)「ここに集まっとるのに人間なんておる

 んかいな」

鼓滝「フフ、確かに」

美波「まるで、昔の永治を見てるみたいだわ」

鼓滝「逞しい背中ね」

沙良「鈍感なとこもやな」

美波「透君は病気だから仕方ないけど、永治のあれは

 酷いわよね〜」

沙良「ホンマホンマ、鼓滝がバレンタインのチョコ、

 めっちゃ恥ずかしく渡してんのに気づかんのやで?

 普通本命って気づくやろ、鈍感通り越してバカなん

 ちゃう?」


 鼓滝、顔が赤くなっていく


美波「あと、女たらしよね〜。しかも無自覚っていう

 一番厄介なパターンよ。そのせいでどんだけ鼓滝が

 顔真っ赤っかになったと思ってんのよ、ね〜鼓滝」

鼓滝「(真っ赤な顔で)い、いや、私は、そ、そんな

 に、好きじゃなかった、というか、む、向こうか

 ら、告白してきたから、そ、その」

美波・沙良M「今更なんで照れてんだ」


 透、八極拳Dを倒す


中田「スゲーな、全員倒すんじゃねぇか?」

海生「次で最後ね。大将の前があんなんだから、さほ

 ど変わらないんじゃない?」

月無高校監督「獅堂!頼むぞ!意地を見せてやれ!」


 獅堂皇大郎(17)、頷きコートの中心まで行き立ち止まる


審判「双方、礼!」


 透・獅堂、一礼し顔を上げる


透M「(獅堂の腕を見て)ん?こいつ・・・」

 一葉「頑張れー!」


 透、顔だけ向け微笑み右手を少し挙げる


獅堂「恋人か?」

透「ん?いや、ただの友人だ」

獅堂「そうか、仲睦まじく見えたもんでな」

透「は?」

獅堂「気にするな、忘れてくれ」


 獅堂、構える


透「ん?」

審判「はじめ!」


 透・獅堂、戦闘開始


透「なるほど、こいつ八極拳だけじゃないな」


 透・獅堂、互角の勝負を展開している

 透、獅堂を殴り飛ばし、勝利


審判「そこまで!勝者、霞勝透!」


 歓声が起こっている

 透、尻もちをついている獅堂に手を伸ばしている

 獅堂、手に気づく


透「やるな」

獅堂「・・・ああ、あんたもな」


 獅堂、透の手を借り、立ち上がる


透「また、いつか」

獅堂「ああ」


 透、歩いてくる

 獅堂、歩いていく


一葉の声「(手を振りながら)透ー!」

透「おう!」

一葉「さすが透!余裕だったね!」

透「いや、今回はちょっとばかし本気を出した、少し

 危なかったんでな」

一葉「なら、私の負けないお守りのおかげ!」

透「ああ、そういう事にしとこう」


○同・部室(夕)

 獅堂、着替えている

 秦村礼(17)、ドア付近に立っている


秦村「手加減したのか?お前が負けるのを見たのは初

 めてだが」

獅堂「いや、本気だったさ。そうじゃないと俺はもの

 の数秒で負けてた」

秦村「ほう、そのお前が負けるとはな。やはり、霞勝

 透はアイツに任せておこう」

獅堂「ああ、それとこの事は親父殿に報告しよう。あ

 とはお前のタイミングなんだが」

秦村「(ニヤァと笑い)・・・ああ、その時になった

 ら、俺から連絡する」


 秦村の周りにスパークが発生する


○同・校門(夕)

 透・一葉、歩いている

 鼓滝、車椅子で透に押されている


鼓滝「透、強くなったわね」

透「だろ?これでも空手の世界王者だからな」

鼓滝「けど、あの人にはまだ届かないわね」

透「親父か・・・。そりゃあ、負けてらんねぇな」

鼓滝「無理はしないのよ?」

透「分かってるよ母さん。あまり無理をするとガミガ

 ミ言ってくる奴がいるからな」

一葉「ちょっと!私の事!?」

透「誰もお前とは言ってないが?」

一葉「他に誰がいるの!?」

透「さあ?」

一葉「もう!」

鼓滝「フフ、一葉ちゃん、約束守ってくれてるそう

 ね」

一葉「(頬が染まり)そ、それは、心配、ですから」

鼓滝「(透を見て)あなた、愛されてるわね〜」

透「そりゃどうも、なんのことかわからんが・・・

 ん?」


 透、置かれているバイクを見ている


透「・・・」


 遠ざかっていく透・一葉・鼓滝


○水族館・全景(昼)


○水族館前(昼)

 海生、立っている


海生「(腕時計を見ながら)遅いなぁ」

中田の声「おーい」


 海生、横を見る


中田「(歩きながら)ワリィ、遅れた」

海生「30分も遅刻!」

中田「ワリィ、ワリィ。デートっつーから服選んでた

 ら遅れちまったァ」

海生「時間にルーズな人は嫌われるわよ!私が横にい

 ること感謝しなさいよね!」

中田「へいへい」

海生「あと、お詫びに昼ごはん奢ってもらうからね!

 早く行こ!」


 海生、歩き出す


中田「へいへ〜い」


 歩き出す中田


○水族館内(昼)

 サメ、泳いでいる


中田「(水槽を見ながら)お〜。サメだ〜」

海生「(水槽を見ながら)大きいね〜」

中田「ホントに出来んのか?」

海生「出来ると思う。私は出来なかったけど」

中田「(目を瞑り)・・・なら、やってみるしかねえ

 な」


 中田、目を開けると瞳孔が白くなっている

 サメ、向きを変え、中田・海生の前に来る


中田「ハハ!マジかよ!」

海生「すごい!すっかり使いこなしてるわね!」

中田「いや、まだ序の口だ、さて、なんて返してくれるかな」


 中田、瞳孔が白くなる


海生「・・・なんて言ってる?」

中田「・・・出してくれ、だってよ」

海生「なんで、そんな事を?」

中田「野生に帰りたいんだろ。残念だが、俺達はそれ

 をやっちゃいけねえんだがな」

海生「出来るなら、帰してあげたい」

中田「ああ。よし、確認はしたし、メシ食いに行こ

 う」

海生「うん」

中田M「(水槽を見て)ありがとよ。もう行っていいぞ」


 サメ、泳いでいく

 中田、歩いていく


中田「(人にぶつかり)あ、すんません」

美波「こちらこそ、すみません」


 美波、去っていく


中田「(美波を見ながら)・・・美人な姉ちゃん」

海生「そうちゃん!」

中田「うお!!」

海生「一応聞くけど、私とデートしにきたんだよ

 ね!?」

中田「あ、ああ、そう、そうです!」

海生「(中田を睨みながら)う〜!」


 中田、冷や汗をかいている


海生「早く行くよ!お腹空いた!」

中田「(汗を拭い)フ〜、あいよ」


 中田・海生を見ている美波


○同・レストラン(昼)

 中田・海生、座っている


中田「それで、そいつとはどうなったんだ?」

海生「この町に来る時にしっかりお話して、破談にな

 ったよ」

中田「なら、いいんだ」

海生「あ、そういえば、透君と一葉ちゃんてどう思

 う?」

中田「どう思う・・・?」

海生「だってあの2人あれで付き合ってないんだよ?」

中田「そういえばそうだな、付き合ってるって思って

 たわ」

美波の声「まあ、確かに。あれで付き合ってないのは

 おかしいわよね」


 中田・海生、声のした方を見る


中田「あ、さっきの姉ちゃん」

美波「姉ちゃんだなんて、私、40手前なのよ?」

海生「嘘ォ!若ァい!あ、すみません。お名前聞いて

 も?」

美波「私は、天童美波。一葉の母親です」

海生「あ、一葉ちゃんの」

美波「一葉がお世話になってるわね」

海生「い、いえ。こちらこそ」

中田「なるほど。その目つきの悪さはどこかで見たこ

 とある気があったんだが、納得だ」

美波「ほぼ初対面の人ディスるのはちょっと酷いんじ

 ゃない?目つき悪いの気にしてるんだけど」

天童剣司(16)「(歩きながら)母さん、腹減ったんだが

 ・・・ん?」

中田「あ、やっぱりな」

海生「(中田を見て)知り合いなの?」

中田「まあな、一葉ちゃんの弟っつーから助けたこと

 はあるんだ」

美波「それって、透君が言ってたあの骸霊のこと?」

天童「(椅子に座り)ああ、その一件で加勢してくれた

 男だ。確か姉貴とか先輩と同じ学校のはず」

美波「あら。なら透君が何者か知ってるわよね?」

中田「「女王」ってことですか?それとも女たら

 し?」

美波「フフ、知ってるそうね。という事は貴方たち

 も?」

中田「まあ・・・」


 中田、コップに入っている水をイルカに変える


美波「あらやっぱり。なら、さっきの会話もそういう

 ことなのね。あなた、さっきサメと会話してたでし

 ょ?」

中田「ご名答」

美波「でも、自分で水は作り出せないのね」

中田「少し事情がありまして」

美波「なら、気をつけておきなさい。あなたが「柔」

 なら「剛」が存在することを」


 海生、不安な顔をしている


中田「それは、忠告ですか?」

美波「まあ、そうなるわね」

中田「俺が、負けるとでも?」

美波「このままだったらね」

中田「俺は、センスだけはありましてね」

美波「そのセンスで、死なないようにね。悲しむ人が

 いるんだから」


 × × ×

(フラッシュ)

○橋下(夜)

 中田蒼海(10)、座っている


 × × ×


中田「ああ、努力しよう」

美波「・・・」

天童「母さん、話は終わったか?」

美波「ええ、終わったわ。さ、ご飯にしましょうか。

 あなた達も食べる?奢るわよ」

中田・海生「(頭を下げ)ゴチになりまーす!」

美波「遠慮しないわねー」


 空の皿が置かれている


海生「ごちそうさまでした、いつかお返しします」

美波「気にしないで。2人きりのデート台無しにしたお

 詫びと思ってくれていいわ」

中田「なら、遠慮なく」

美波「それじゃあ、私たちはこれで」

海生「はい、ありがとうございました」

美波「フフ、そんなにかしこまらなくてもいいわよ。

 あと、一葉をよろしくね」

海生「はい!」


 美波・剣司、去っていく


中田「(海生を見て)でてんぞ〜」

海生「あ、ヤバ!」


○神崎町・住宅街(夕)

 中田・海生、歩いている


ヤンキーA「よおよお、そこの美男美女さんよ〜!」


 中田・海生、立ち止まる

 ヤンキーが3人立っている


ヤンキーA「ちょっと金貸してくれよ、俺達、最近金

 の回りが悪くってよ〜」

海生「嫌です」

ヤンキーA「んだと!?だったら無理やり奪ってやん

 よ!」


 ヤンキーA、走り出す


ヤンキーB・Cの声「ぐああ!」


 ヤンキー、立ち止まって振り向く

 三嶋緋炉鬼(17)、ヤンキーB・Cの頭を掴んでいる


三嶋「何してんだ?」

ヤンキーA「な、なんだテメェ!」

中田「よっ」

三嶋「ただの通りすがりだ」

優花里「(角から顔を出し)どうしたの?」

三嶋「ちょっと指導してるだけだ」


 ヤンキーA、ナイフを出す


ヤンキーA「(走り出し)オラァ!」


 三嶋、ヤンキーB・Cを投げる

 ヤンキーA、急に立ち止まり、胸を抑え苦しみ出す


三嶋「ん?」

中田「おいおい、お前の相手は俺だろ?」


 中田、瞳孔が白くなっている


三嶋「・・・なるほど」


 優花里、首を傾げている


中田「真っ向勝負がお好みだから、普段はしないんだ

 がな」

海生「何してるの?」

三嶋「水のみならず液体を扱えるのか。それで血の流

 れを遅くしているんだろう」

優花里「なるほどね、それなら苦しむのは当然よね」

中田「そゆこと」

ヤンキーA「ぐはあ!ハア、ハア、ハア」

ヤンキーA「(中田を見て)この、バケモンがァ!」

中田「バケモン?間違いではないが、言われると腹立

 つな」

中田「(ヤンキーAを殴り)・・・これで、忘れるだろ」

三嶋「(振り返り)邪魔したな」

中田「いや、手間が省けた。今度、お返しをするよ」

優花里「ホント?じゃあ、お寿司奢ってくれない?ヒ

 ロが食べさせてくれないの」

中田「マジか、あんなに美味いもん食ったことねえの

 か?」

三嶋「金がかかんだよ」

優花里「給料日ぐらいいいじゃない!」

三嶋「知ってんだぞ、お前」

優花里「なにを?」

三嶋「たまにめちゃくちゃ高いブランド物のバッグ買

 ってんだろ」

優花里「(ギクッとなり)な、なんのことか、さっぱ

 り」

三嶋「何度食糧難になったことか」

中田「まあまあ、いいじゃねえか。寿司なら俺が今度

 奢ってやる!」

優花里「ホント!?ありがとう!」

三嶋「甘えてると成長しないぞ」

三嶋「(ボソッと)身長も」

優花里「うるさい!」

海生「ねえ、そうちゃん。誰がお金出すの?」

中田「・・・」

海生「そうちゃん!もう!」


 三嶋・優花里、遠ざかっていく


優花里「(手を振りながら)じゃあね〜海生ちゃん」

海生「(手を振りながら)じゃあね〜」

中田「お前と優花里ちゃんって初対面だよな?」

海生「違うよ。時々相談乗ってもらってるんだ〜」

中田「どうやったらおっぱい大きくなるとか?」


 頬を叩く音

 中田、頬が赤くなっている


中田「(歩き出し)冗談だって」

海生「(歩き出し)フン!」


 遠ざかっていく中田・海生


○デパート・全景(昼)


○同(昼)

 優花里、カートを押している


優花里「(立ち止まり)卵高いな〜。あ、白菜も高いじ

 ゃん。う〜ん、ヒロ、今日何食べたい?」

三嶋の声「なんでもいい」

優花里「それが1番困るんだけど」

三嶋の声「付け加えよう、お前が作るものならなんで

 もいい」

優花里「へ〜、なら、海生ちゃんにも手伝ってもらお

 うかな〜」

三嶋の声「なんで海生なんだ?」

優花里「料理が下手って嘆いてたから、どく・・・練

 習相手に」

三嶋の声「今、毒って言おうとしたろ、毒味させるっ

 てか」

優花里「なんでもいいじゃない。とにかく、何食べる

 の?」

三嶋の声「・・・野菜炒め」

優花里「分かった!あ、さっきの話、ウソじゃないか

 ら」

三嶋の声「何が?」

優花里「今日、海生ちゃんと一葉をウチに呼んでるか

 ら」

三嶋の声「あ?・・・ああ、そうらしいな」


○三嶋家(昼)


優花里の声「知ってたの?」

三嶋「いや、目の前に居るから」


 一葉・海生、座っている


一葉・海生「お邪魔してま〜す」

三嶋「優花里、せめて今日の用事ぐらい言っといてく

 れ」

優花里の声「ごめん」


○デパート(昼)


優花里「さて、野菜炒めか」

沙良の声「あれ、優花里?」


 優花里、振り向く


○三嶋家(昼)


三嶋「で、何しに来たんだ?」

海生「優花里ちゃんに料理を教えてもらおうと思っ

 て」

一葉「来ました!」

三嶋「海生は蒼海に、一葉は透に頼めばいいだろう」

海生「そうちゃん、下手なんだもん」

一葉「私も・・・」


 × × ×

(フラッシュ)


透「大勢から教えてもらった方が知恵が高まる、優花

 里に教えてもらえ」


 × × ×


一葉「って言われて」

三嶋「やる気があるのはいい事だが、優花里はしばら

 く帰ってこないぞ、代わりと言ってはなんだが」

三嶋「(立ち上がり)俺が教えよう」


○台所(昼)

 散らかっている


三嶋「蒼海もお前には言われたくないって思ってるだ

 ろうよ」

海生「え?」

優花里の声「ただいま〜」

三嶋「あとは、優花里に教えてもらえ」

一葉「うん!」

優花里「もう先に始めたの?」

三嶋「遅かったな」

優花里「うん、ちょっとね。あ、そうそう、もう1人お

 客さん」

沙良「(暖簾をくぐり)邪魔するで〜」

海生「せ、先生!」

一葉「沙良さん!」

三嶋「(居間に座り)プライベートで生徒の家にやって

 きていいのか?」

沙良「ええよええよ、三者面談って言うとけば」

三嶋「お前保健室の先生だろ」

沙良「細かいことは気にしいな〜。ホラ高彦、一葉

 お姉ちゃんとヒロお兄ちゃんやで」

安藤高彦(7)「(廊下から顔を出し)お姉ちゃん!」

一葉「あ、高彦君!」

一葉「(駆け寄ってきた高彦を抱き寄せ)久しぶり〜」

海生「知ってるの?」

一葉「うん、遊園地で迷子になってたところを透と一

 緒に保護したことあるんだ」

三嶋「なんで、ガキまで連れてきてんだ」

沙良「買い物帰りに優花里と会ったんや。ホラ、ヒロ

 お兄ちゃんやで」

安藤「(振り返り)お兄ちゃん!」


 安藤、緋炉鬼へ走っていく


三嶋「(高彦を片手で止め)触るなクソガキ」

沙良「ええやないの〜、滅多に会えへんのやから〜」

三嶋「ガキは嫌いだ」

優花里「へ〜」

三嶋「(優花里を見ながら)・・・よそはよそ、うちは

 うち」

一葉の声「ユカちゃん、ちょっと来て〜、焦がしそ

 う〜」

優花里「はいはーい」


 優花里、台所に向かっていく


沙良「(三嶋を見て)フフ〜ン」

三嶋「なんだ?」

沙良「楽しそうやな〜」

三嶋「そうでもねえ、イベント事が嫌いなんだ」

沙良「そんなんやったら愛想つかれるで〜?」

三嶋「それはねえな」

沙良「おっ!エラい自信あんな〜、どこから自信がく

 るんやろ?」

三嶋「優花里、俺好き?」

優花里「大好きよ」

一葉・海生「キャーーー!お姉様ーーー!」

沙良「お〜、お熱いんやな〜。けど、アンタはどうな

 んや?」

三嶋「なにが?」

沙良「アンタは優花里の事、どう思っとるんや?」

三嶋「何にも思ってねえことはねえ。だが、俺とアイ

 ツの間にあるもんなんざ、そんな大きいもんでもね

 え。あいつもそれは知ってる」

沙良「けどアンタは」


 優花里、一葉・海生に料理を教えている


沙良の声「ずっと、あの子の傍におるやろ?」

三嶋「・・・ただの気まぐれだ」

沙良「ホンマか?ホンマは好きって言うたり、抱きし

 めてあげたいんとちゃうか?」

三嶋「(高彦を抱き上げ)アンタはどうなんだ?」

沙良「ウチ?ウチは」

沙良「(高彦を撫でながら)この子が無事なら、それで

 ええ。旦那もウチのことは知っとるからそれは納得

 してくれとる」

三嶋「なら同じだよ、アンタと」

沙良「・・・」

優花里「(歩いてきて)ご飯出来たよ〜」


 テーブルに料理が並んでいる


一葉・海生・優花里・沙良・安藤「いただきま〜

 す!」

沙良「(高彦を撫でながら)ちゃんといただきます出来

 たな〜、エラいで〜高彦」

安藤「うん!ちゃんといただきます出来たよ!」

沙良「さすがウチの息子や〜!」

一葉「小学生、だっけ?」

安藤「1年生だよ!」

沙良「ちゃんと言えたな〜、もうホンマエラいわ〜」

海生「そういえば、緋炉鬼君は高彦君と仲良さそうだ

 ったけど、どうやって会ったの?」

三嶋「(沙良を見て)・・・言っていいのか?」

沙良「ウチから話す、高彦と遊んでてくれへん?」

三嶋「分かった。高彦、向こうで遊ぶか?」

沙良「うん!」


 三嶋・高彦、居間を出ていく


海生「あの〜、不味いこと聞いちゃいました?」

沙良「いやいや、ええんよ。昔の話なんやけど、ウチ

 はある男に命を狙われとったんや、子供を授かった

 時に。その時に通りすがった緋炉鬼が守ってくれて

 たんや」

海生「へぇ〜、かっこいい」

一葉「けど、それだと緋炉鬼君は11歳の時には既に神

 器を持ってたって事ですよね?そんな幼い時から扱

 えるものなんですか?」

沙良「そうやで。現におたくの透君が扱えとるんやか

 ら」

一葉「あ、そうか」

一葉の声「え?おたくの?」

一葉「(顔が赤くなり)い、いや、そ、そんなんじ

 ゃ!」

沙良「アッハッハ!可愛ええ反応するわ〜!」

一葉「もう!からかわないでください!」

優花里「緋炉鬼は、スゴイよ」


 一葉、優花里を見る


優花里「私に心臓をくれた時も決断早かったらしい

 し、誰かを守ってないと気が済まないんじゃな

 い?」

一葉「透と似てるね」

優花里「でしょ〜?オマケに私が誰と一緒に居ようが

 顔色1つ変えないんだから」

一葉「全然意識されてないって感じがするよね」

海生・優花里「ウンウン。男はそんなもん」


○カフェ(昼)

 透・中田、くしゃみをする


透「風邪か」

中田「海生に悪口言われてる気がする」

透「今度、一葉問いただすか」


○三嶋家・居間(昼)

 三嶋、安藤を抱えて立っている


三嶋「おい、こいつに生々しい女子会トークを聞かせ

 るな」

優花里「寝たの?」

三嶋「ああ、もう疲れたんだろう」


 三嶋、沙良に高彦を渡す


沙良「(安藤を受け取り)寝たんか高彦。なら、そろそ

 ろおいとまするわ」

海生「(一葉を見て)なら、私達も」

一葉「うん」


○同・玄関(夕)


一葉・海生「お邪魔しました」

優花里「じゃあね〜、また来てね〜」

沙良「ほんじゃあな〜、高彦、バイバイは?」

高彦「バイバーイ!」

優花里「じゃあね〜」

沙良「緋炉鬼、学校来なあかんで〜」

三嶋「いやだ」


 三嶋、ドアを閉める


○同・台所(夕)

 優花里、皿洗いをしている


○同・居間(夕)

 三嶋、テレビをつける


優花里「ねえヒロ」

三嶋「なんだ?」

優花里「昼間ね、私が好きって言ったじゃん?」

三嶋「ああ」

優花里「ヒロは私の事どう思ってるの?」

三嶋「好きだが?」

優花里「!」

三嶋「心の底から」

優花里「そ、そう。ありがとう」

三嶋「おう」


 皿洗いを終える優花里


○エンディング

見ていただきありがとうございました!

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