13話「月夜に舞踏する爪と霧」
よろしくお願いします!
登場人物
霞勝 透(17)
天童 一葉(17)
霞勝 永治(30)
霞勝 鼓滝(30)
中田 蒼海(17)
天童 美波(39)
天童 剣司(16)
安藤 沙良(39)
八坂 夜宵(8)(17)
遠峰 龍一郎(39)
佐久間 恋夜(8)(17)
秦村 礼(17)
土方 侍楼(47)
阿武零(?)
佐伯
阿部
柳瀬
男A
男B
警官A
警官B
警官C
フードの女
透M「佐久間恋夜は、復讐心に関しては、他の誰より
も優れていた。全てにおいて1番を目指していた俺で
さえ、あいつには遠く及ばない。復讐を遂げるま
で、その拳を収める事はなかった。だが、今回は復
讐でもなんでもない。ただの憂さ晴らしだ」
○神崎町・住宅街(夜)
天童一葉(17)、歩いているが、立ち止まって振り返る
○警視庁前(夜)
一般人、歩いている
天童美波(39)、警視庁を見上げている
安藤沙良(39)「様子はどうや?」
美波「何とかギリギリ結界は張れた。しばらくはも
つ」
沙良「そっちやない。中の様子は?」
美波「分からない。出入口は全部塞がれてるから」
沙良「ったく、一体何が目的なんや、警視庁を襲撃す
るやなんて」
警視庁を見上げている美波
○警視庁・1階廊下(夜)
警官A「クソ!なんなんだこいつら!」
警官達、発砲している
佐久間恋夜(17)、蹂躙していく骸霊の群れの中を歩いている
警官B「(銃を構え)おい!止まれ!」
佐久間、歩いている
警官B「クソ!」
警官B、発砲する
佐久間、弾丸を避け、警官Bを殺害する
柳瀬「(発砲しながら)こいつら、どこから沸いてきた
んだ!?」
警官C「噂じゃ、総監を殺しに来たらしい!」
佐伯「黙ってあいつらを撃ち殺せ!」
柳瀬・警官C「了解!」
佐伯・柳瀬・警官C、発砲している
佐伯「(弾が詰まり)クソ!」
骸霊、飛び上がっている
柳瀬「佐伯!」
佐伯M「やられる!」
骸霊、次々と矢が刺さり、死滅する
佐伯「な、なんだ・・・?」
歩き去る男
○同・最上階廊下(夜)
警官D「(発砲しながら)クソ!クソ!」
佐久間、警官達を倒していく
○同・警視総監の部屋前(夜)
警官、倒れている
佐久間、ドアに手をかける
○(回想)遠峰家(夜)
遠峰龍一郎(39)「土方侍楼を殺せ」
佐久間「なんでだ?」
遠峰「余計な事を喋られると困るのでな」
佐久間「ならあんたが行ったらどうだ?」
遠峰「俺は、客人を饗さなければならない」
佐久間「・・・・・・了解した」
遠峰「頼むぞ。そうすれば──」
(回想終わり)
○警視庁・警視総監の部屋前(夜)
佐久間「(ドアにかけている手を握り)くうっ!!」
ドアが切り刻まれ崩壊している
○同・警視総監の部屋(夜)
土方侍楼(47)、立っている
佐久間、歩いている
土方、佐久間を見ている
佐久間「(立ち止まり)分かってるな?」
土方、頷く
佐久間「(歩き出し)死ね」
佐久間、手を獣腕に変化させ、土方に襲いかかるが、透明な防壁に防がれる
佐久間「ほう。あいつの忠告を聞いて、少しは準備を
していたようだな」
土方「私はここで死ぬ訳にはいかなくてね。あの子を
迎えに行くまでは」
佐久間「(顔に血管が浮き出て)まだそんなことが言え
るのか?」
佐久間「(防壁から距離をとり)お前の助けなど、もう
いらん!」
佐久間、足を獣脚に変化させ、勢いよく踏み込み、防壁を蹴り破る
土方「ぐっ!」
佐久間、土方の両腕を両足で掴み机上に叩きつけ、机を壊す
土方「(吐血し)ぐはっ!」
佐久間「(その場に座り込み足を軽く叩きながら)どう
だァ?スゲーだろ?これが神器だ。お前らただの人
間が100人かかってきたところで、こいつ1つありゃ
あ、事足りる」
佐久間、足に力を入れ、出血させる
土方「ぐっ!」
佐久間「(立ち上がり)だからァ、お前の助けなんて、要
らねぇんだよ」
佐久間「(腕を狼の腕に変化させ)ここで死ねば、夜宵
もあいつも喜ぶだろうよ!!」
佐久間、腕を振り下ろす
八坂夜宵(17)「(走ってきて)恋夜!!」
佐久間、土方にあたる直前で腕を止め、振り向く
夜宵「ハァ、ハァ、ハァ、もう、やめて!」
佐久間「(立ち上がり)・・・断る」
夜宵「ウチはお父さんのこと、憎んでなんかない!」
土方「!?」
佐久間「嘘をつくな」
夜宵「嘘やない!ウチはお父さんのこと、愛しと
る!」
佐久間「ならなんでお前は、戻れる時に戻らなかっ
た?」
夜宵「そ、それは・・・・」
佐久間「帰るチャンスを何度も作ってやった。それな
のにお前は戻らなかった、こいつを憎んでいる証拠
だ!」
夜宵「に、憎んでなんか!と、とにかく、ウチの話を
聞いて!お父さんを殺したら、人に戻れなくな
る!」
佐久間「そんなもの、とうの昔に捨てた!」
夜宵「恋夜ァ!!」
佐久間、土方を見て腕を振り上げる
霞勝透(17)、窓を割って入ってくる
佐久間「(透を見て)テメ──」
○(回想)警視庁前(夜)
美波、警視庁を見上げている
沙良「美波・・・・美波!」
美波「(沙良を見て)あ、ああ、どうしたの?」
沙良「どうもこうもないわ。はよ鎮圧せんと結界が崩
れるっちゅーねん」
美波「でも、今警視庁を襲ってるのは王獣でしょ?私
たちじゃ──」
透の声「俺が行きます」
美波・沙良、振り向く
透、立っている
美波「透君」
透「あいつは今、最上階にいます。1階から虱潰しに探
していこうと思ってましたが、手間が省けました」
沙良「そういや、あんた王獣と仲良かったな?友達な
んやろ?」
透「はい」
美波「倒せるの?」
透「いえ」
沙良「ならどうする気や?話し合いで終わらせる気や
なかろうな?」
透「倒す気はありません。止めるだけです」
美波「・・・分かったわ。行きなさい」
透、歩き出し美波の横を歩いていく
美波「ただし」
透、立ち止まる
美波「今日、分かってるわよね?」
透「もちろん」
美波「あと、1時間よ」
透、走り出し、警視庁の外壁を登っていく
(回想終わり)
○警視庁・警視総監の部屋(夜)
透、佐久間の顔を蹴り、夜宵の足元まで吹き飛ばす
佐久間「(血を拭い)くっ!」
夜宵「(佐久間に駆け寄り)恋夜!」
佐久間「(起き上がろうとし)テメー、来ると思った
ぜ。夜宵が頼むならお前しか居ないからなァ」
佐久間、体に体重がかかり背後を見ると夜宵が制止している
佐久間「離せよ」
夜宵「・・・」
佐久間「離せ!!」
夜宵「嫌や・・・・離しとうない。もう、絶対離さへん!」
夜宵、腕に力を入れる
佐久間「離せぇ!!」
佐久間、夜宵を振りほどこうとしている
夜宵「もう、誰かを失いとうない!!だから、止まっ
て!!恋夜!!」
佐久間「・・・・お前を、戻してやれる」
× × ×
(フラッシュ)
遠峰「夜宵は返してやる、土方侍楼を殺せばな」
× × ×
佐久間「あいつを殺せば、お前は戦争から外れ、元の
生活に戻れる。だが、そこに父親はいない。殺さな
ければ、一生飼い殺される。兵器として」
透「・・・」
佐久間「どうしたらいいか分からなかった。だが、や
っと、はっきり答えは出た」
佐久間、夜宵の手をにぎる
夜宵「恋夜──」
佐久間「だから・・・どけ」
佐久間、夜宵を投げ飛ばし壁に叩きつける
夜宵、尻もちをつき、気絶する
透「夜宵!!」
佐久間「(ゆっくり立ち上がり透に振り向きながら)全
員殺しゃあいいんだ。そうすりゃ、夜宵は幸せにな
れる」
透「テメー!!そんなんで夜宵は幸せになれると思っ
てんのか!?」
佐久間「なれるとも!あいつの障害が居なくなるんだ
からなぁ。1つ目の障害は、お前だ。そして、土方
だ」
透、黒紫の槍を持つ
佐久間「お前は許せるか?自分の大事なモノを奪い、
傷つけ、見捨てた、その男が!!」
透「許したつもりも許す気も無ェ。だが、その憎し
み、自分の親父にぶつけたらどうだ?」
佐久間「あぁ?」
透「こいつは、遠峰に脅され、「この国を守る」その
責務を果たす為、夜宵を養子に出した。自分の手か
ら離れた愛娘を守る為、夜宵を転校させ、俺たちの
元へ送った。夜宵を守る為だ!!俺たちを信じて、
夜宵を俺達に託した!出来ることなら、自分で迎え
に行きたかった!!こいつの口からそう聞いた、俺
はそれを信じる!!」
佐久間「なら、なぜ俺達はこうして睨み合ってる?俺
は復讐を望み、お前は俺を止めようとしてい
る!」
透「あいつがお前を止められなかったからだ!!お前
が復讐の為ならどんな事をしても止められないと分
かってたからだ!それほどお前の事を分かっていて
想っている人の話を何故聞かない!?」
佐久間「・・・止められないからだ・・・リベンジ・
ザ・ビースト!!」
佐久間、目が赤くなり、二足歩行の狼に姿を変えていき、透は槍を構える
佐久間「おっと、忘れてた。お前が来るって言うか
ら、ゲストも呼んでおいたぜ?」
透「ゲスト?」
一葉「(骸霊に連れてこられ)離して!」
透「一葉!」
佐久間「言わなくても分かるよなァ?お前の唯一の弱
みだ。その女を盾にすりゃ、止まらざるをえないも
んなァ?」
透「テメェ・・・・」
佐久間「怒るなよ。お前があの女守る為にどんな手段
でも使うことと同じだぜ?俺は目的の為ならどんな
手段でも厭わんぞ?ましてや、夜宵が関係するなら
な」
佐久間「(透の横を通り過ぎ)大人しく見てろ。自分の
大切なモンが、苦しむ姿を」
一葉「透!私のことはいいから!」
佐久間「無駄だよ嬢ちゃん。そいつは1歩どころか指一
本動かさねぇよ」
透、立ち尽くしている
一葉「夜宵ちゃんを!夜宵ちゃんの大切な人を守っ
て!!」
透「フッ、そうだな」
佐久間、立ち止まる
透「俺は指一本動かさねぇよ。俺はな」
佐久間の後ろで何か光って鳥肌が立ち、しゃがむ
透、首を傾け、矢を避けると矢が骸霊の頭を粉砕する
一葉「・・・え?」
○ビル屋上(夜)
瀬戸光輝(16)「フー、間一髪ってところですかね?」
透の声「ああ、助かった」
瀬戸「これで助けるのは2回目ですが、気にしなくてい
いですよ」
○警視庁・警視総監の部屋(夜)
透「ああ、助けてもらうのは2回目だが、気にしないで
おくよ」
透、携帯を切る
佐久間「(立ち上がり)「煌穹」かァ」
透「一応連絡しておいて良かったぜ」
天童剣司(16)「全くだ。来ておいて正解でしたわ。先
輩一人に任せるのは荷が重すぎでしたか?」
一葉「剣司・・・・」
透「フッ。言い返すことも出来ねえや。ま、これで思
う存分やれるってことだ」
透「(槍を構え)・・・来い」
佐久間「・・・いいぜ」
透「剣司、一葉を!」
天童「了解」
天童、一葉の手を掴み、走り出す
佐久間、透に襲いかかり、透は槍で受け止める
一葉「(立ち止まり)頑張って!!ま、待ってるか
ら!!」
透、頷く
一葉、走っていく
透「(押し返し)うおおおおおああああ!!」
佐久間、踏みとどまり、アッパーで槍を破壊する
透、一回転しながら折れた槍を剣に作り替え、佐久間の横腹に命中させ、壁に叩き込む
佐久間、喉を鳴らしている
透、剣を捨て槍を作り出し、構える
透・佐久間「(突撃しながら)うおおおおおらああ
あ!!」
土方、腕を抑えながら夜宵のそばに来ている
土方「夜宵!」
佐久間、土方を見て透を蹴り飛ばす
透、壁まで転がっていく
佐久間「(飛び上がり)その手で触るなァァ!!」
透「(佐久間の足を掴み)ぬあああああああ!!」
透、佐久間を壁まで投げ飛ばす
透「(土方を見て)早く!夜宵を逃がせ!!」
佐久間、透に襲いかかる
透、剣で反撃するが上に避けられ、顔に回し蹴りをくらい壁に叩きつけられる
透「ぐはっ!・・・・チィっ!」
佐久間、着地と同時に踏み込み、透に突撃する
○同・会議室A(夜)
壁が崩壊し、透が吹き飛んできて咳き込んでいる
佐久間「(歩きながら)どうした?止めてみろォ!!」
透「ああ、止めてやるとも」
透、槍を持って立ち上がり、佐久間に突撃する
佐久間「(槍を受け止め)ハッ、その程度──」
透、霧となって消えていく
佐久間、目を見開く
透「この程度で──」
透、佐久間の後ろに立っている
透「十分だ」
佐久間、振り向くと透に槍で殴られ、壁まで吹き飛ぶ
佐久間「くっ!」
透「恋夜!!どうしても、土方侍楼を殺したいか!?
だったら、俺を殺してみろ!!死ぬ気で来
い!!!」
佐久間「(粉塵から飛び出し)ぶっ殺してやらァァァァァ!!!」
透、黒紫の霧で何本も剣を作り出しては投げつけ、佐久間はそれを獣爪で弾いている
透「(槍を作り)うおおおおおあああああ!!!」
血飛沫が上がり、透は佐久間に槍を突き刺し、佐久間は透に獣爪を突き刺し、槍・獣爪を引き抜くと、近接格闘を展開し、末に外へ落ちていく
○警視庁前(夜)
沙良「(上を指さし)あれなんや!?」
美波、見上げている
透、槍を外壁に突き刺し落下速度を落とそうとしている
美波「透君!」
○同・外壁(夜)
透「チィっ!」
佐久間、壁を走りながら咆哮を上げ透に襲いかかる
透「(眼前に獣爪が迫り)くっ!」
○(回想)河原(昼)
桜が散っている
夜宵(8)「(笑顔で振り返り)れーんや」
(回想終わり)
○警視庁・警視総監の部屋(夜)
土方「夜宵!夜宵!」
夜宵「(目が覚め)ん・・・ウチ・・・・」
土方「良かった。目が覚めたか?良かった・・・ホン
トに・・・良かった」
夜宵「おとう・・・さん?」
土方「ああ、私だ!お前のお父さんだ!」
夜宵「透君は?透君は、どこ?」
土方「今、恋夜君と戦ってる」
警視庁に大きな衝撃が走る
夜宵「(立ち上がり)恋夜──」
土方「待て、危険だ!透君に任せろ!」
夜宵「あの2人の喧嘩、止められるのはウチだけど
す!」
夜宵、歩いていく
土方「(夜宵の腕を掴み)待て!」
夜宵「離して!」
土方「私も行く!」
土方を見ている夜宵
○同・外壁(夜)
透「(眼前に獣爪が迫り)くっ!」
透、迫り来る獣爪を避け、槍を外壁に引っ掛け、佐久間を蹴り飛ばし、槍の上に立つ
佐久間、外壁に獣爪を突き刺して止まり、透を睨んで咆哮を上げている
透M「行くぞ恋夜。母さんの技だ」
○(回想)霞勝家・庭(昼)
透(8)「守りたいんだ!」
霞勝鼓滝(30)「透、でもね」
透「嫌だ!」
鼓滝「これは、あなたの心を蝕むものなのよ?」
透「それでもいい!守りたい人がいるんだ!」
鼓滝、頭を抱えている
霞勝の声「いいじゃないか、鼓滝」
鼓滝、振り向くと霞勝永治(30)が縁側に立っている
霞勝「俺に似て向上心がある」
鼓滝「う〜ん・・・・分かったわ。ただし、1度しかダ
メよ?」
透「うん!」
(回想終わり)
○警視庁・外壁(夜)
透「(深呼吸して)・・・エンビスト」
透、右手に黒紫の霧を集中させている
透「ミスト!」
透、右手を佐久間に向け、霧を飛ばし、佐久間は霧を左手で受け止めるが左手が人間の手に戻っていき、怒って咆哮を上げ外壁を走って透に飛びかかる
透、迫り来る右の獣爪を飛んで避ける
佐久間、透を見て咆哮を上げると、黒紫の霧を目にし、透が外壁と自身の体を黒紫の綱で結んでいる
佐久間「くそっ!!」
佐久間、透に飛びかかる
綱がピンと張っている
透「おおおおおあああああ!!!」
透、佐久間を警視庁内に蹴り押し込む
○同・会議室(夜)
壁が崩壊し、透・佐久間が転がり込んでくる
佐久間、人に戻り始めている
透・佐久間「(起き上がり)ぐうっ!!」
透・佐久間「(互いに走り出し)おおおおおああああ
あ!!!」
○(回想)河原(昼)
桜が散っている
夜宵(8)「(笑顔で)れーんや」
(回想終わり)
○警視庁・地下駐車場(夜)
佐伯、発砲している
佐伯「ここで食い止めろー!何としても地上に出す
な!!」
佐伯M「誰かは知らんが、こっちに味方についてる奴
がいる!そいつのおかげで地上の敵は掃討した!あ
とはここだけ──」
佐伯「(下を見て)ん?水?一体、どこから・・・・?」
中田の声「伏せろ」
佐伯「!?・・・伏せろーー!!」
佐伯、身を伏せると大量の三叉槍が飛んできて骸霊の群れを撃破していき、息を荒らげて後ろを振り返る
○同・会議室(夜)
透・佐久間、槍・獣爪をぶつけ合う
透「あいつを殺せば、夜宵は1人になる!そうなった
ら、誰があいつを守る!!?」
佐久間「お前が守ればいいだろう。俺はあいつに何と
も思われてねえんだからよォ!!!」
佐久間、透の槍をへし折り、透を蹴り飛ばし壁に追い込む
透「(立ちながら)だったら!あいつがお前を止めた理
由はなんだ!?」
佐久間「知るかァ!!」
佐久間、透に突撃している
透「お前のことを大切に思ってんだよォ!!」
佐久間「!?」
透、槍を作り、佐久間に突き刺し、壁に叩きつけ佐久間は吐血し、気を失う
透「ハァ、ハァ、やっと、か」
透、膝をつく
夜宵「透君!」
透「(振り返って)・・・夜宵」
指が動く佐久間
× × ×
(フラッシュ)
○河原(昼)
夜宵(8)「れーんや」
× × ×
○警視庁・会議室(夜)
腕が動く佐久間
透「(振り返り)!?」
× × ×
(フラッシュ)
○河原(昼)
夜宵(8)「ウチな、透君が好きなんや」
× × ×
○警視庁・会議室(夜)
佐久間、槍を掴む
透「まだ、動けるのか・・・?」
槍を引き抜こうとして血が吹き出す佐久間
○河原(昼)
遠峰(30)「今日から、家に来た、夜宵だ」
夜宵(8)「(笑顔で)よろしく、恋夜!」
○警視庁・会議室(夜)
佐久間、咆哮を上げ、槍を引き抜く
○(回想)河原(昼)
夜宵(8)「透く〜ん」
(回想終わり)
○警視庁・会議室(夜)
佐久間、目に涙が浮かんでいる
佐久間M「そんなわけ・・・そんなわけねえだろォォ
ォォ!!」
透「くっ!」
佐久間「夜・・・宵・・・!!」
夜宵「恋夜ァ!」
佐久間「・・・ヒヨス・バーサーク!!」
佐久間、自身の手を噛み、顔に血管が走っていき、猛スピードで夜宵に向かっていく
透、佐久間から離れ槍を構えている
夜宵「(走り出し)恋夜!!」
透「バカヤロ!」
佐久間、夜宵に襲いかかるも透の槍に防がれ、槍を噛み砕き、獣爪で透の腹を貫通させ、壁に串刺しにする
透「ぐっ!」
透を睨みつける佐久間
○同・地下駐車場(夜)
佐伯、辺りを見回している
柳瀬「敵の殲滅を確認!」
佐伯「やっと、終わった」
佐伯、座り込む
佐伯「すまない、助かった」
中田蒼海(17)「おう。助けた礼にこのことは内密に頼
む。バレると面倒なんでな」
佐伯「ああ、了解した」
中田「早く逃げた方がいい。別のがいる」
佐伯「佐久間恋夜か?あいつは君の友達が──」
中田「そいつじゃない。別の──」
○同・廊下(夜)
一葉・天童、走っている
中田の声「暴れ馬が」
天童、立ち止まる
一葉「(立ち止まり)どうしたの?」
天童「先に行け、すぐに追いつく」
一葉「で、でも──」
天童「行け!」
一葉「(不安な表情で)・・・剣司・・・負けないで
よ!」
一葉、走っていく
天童「大事な姉貴の誕生日に誰が遅れるかよ」
秦村の声「遅れそうになっても、送っていってやる
よ」
天童、横を向く
秦村「死体にしてな」
天童、ハルパーを手に取って構え、秦村は鎚を手に取って構える
○同・会議室(夜)
透、血まみれで倒れている
佐久間「(肩で息をしながら)俺の勝ちだな」
佐久間、ドアへ歩いていく
夜宵「(ショックを受けた顔で)・・・・透君」
佐久間「少し動けんだけだ、殺しちゃいねえよ」
夜宵「・・・」
佐久間、膝から崩れ落ち膝をつく
透「おい」
透、血まみれで立っている
透「誰が、勝っただ?」
佐久間「俺だよ。もうボロボロじゃねえか。諦めろ、
俺には勝てん」
透「復讐でお前に負けても、守ることには決して負け
られねえんだよ」
佐久間、透に獣爪を突き刺す
佐久間「うるせえよ。とっとと寝てろ!」
透、佐久間の腕を掴む
佐久間「!?」
透「お前がな!」
透、ダガーで防いでいる
佐久間M「こいつ・・・!」
透「(獣爪を受け流し槍を構え)クイーン・ランサ
ー!!」
透、佐久間の右腕に槍を投擲し、爆発を起こす
佐久間「(右腕を抑えながら)ぐあああああああ!!」
透「(走りながら)おおおおおらあああああああ
あ!!」
透、佐久間を道連れに外に落ちていく
佐久間、左腕を外壁に突っ込み、少しずつ落下している
透、槍を2本作り、その槍を持って外壁を走っている
透「おおおおおあああああ!!!」
透、落下しながら2本の槍を佐久間に突き刺し、佐久間は口と傷口から血を吹き出している
佐久間「ぐう!・・・・クソがァ!!」
佐久間、透を蹴り飛ばして地面に落ち、砂煙が晴れると両肩に槍が刺さって地面に貫通している
透、転がっていき、土方の銅像に叩きつけられ、銅像の首が折れる
透「(吐血し)ぐっ!」
○警視庁前(深夜)
夜宵・土方、走ってくる
夜宵「透君!」
透「来るなァ!!」
佐久間、苦しみながら血を吹き出しながら槍を引き抜き、立ち上がろうとしている
× × ×
(フラッシュ)
○河原(昼)
佐久間(8)「そうか・・・・応援するよ!」
夜宵(8)「ホンマ!?」
佐久間「夜宵と透がお付き合い出来るように、頑張
る!約束!!」
佐久間、小指を出す
夜宵「うん!」
佐久間・夜宵、指切りをする
× × ×
佐久間、歯を噛み締めながら、立ち上がろうとしている
透「(立ち上がり)マジかよ」
夜宵「恋夜・・・」
透「早く、早く逃げろォ!!」
佐久間、夜宵に向かっていく
透「(槍を構え)くっ!」
佐久間、歩いている
夜宵(8)の声「れーんや」
透「恋夜」
佐久間、走り出す
土方、夜宵の前に立ち、銃を構える
透「恋夜ァ!!」
佐久間、透を弾き飛ばす
夜宵「透君!」
土方「待て!下がれ!」
佐久間、夜宵に向かって歩いていく
夜宵、土方の前に出て手を広げる
土方「夜宵!!」
佐久間、夜宵の胸にゆっくり落ちていく
透「!?」
土方「夜宵・・・・?」
夜宵「(佐久間を抱きしめ)もう、もうええ。ウチはも
う、大丈夫やから」
佐久間「(かすれる声で)まだ、お前が、幸せに、なれ
てない・・・まだ、お前と、透が、お付き合い、出
来て、ない」
夜宵「(泣きながら)ウチらは、幸せモンなんやで?こ
んなに、想ってくれる友達を、2人も得られるなん
て」
佐久間・夜宵、膝から崩れ落ちている
佐久間「(かすれる声で)全員、殺すまで・・・・終わ
れねェ。お前が、戻れる、まで・・・!」
佐久間、震えながら起き上がろうとしている
夜宵、佐久間の獣爪を握る
夜宵「(泣きながら)こんな血塗れになるまで、ウチを
守ろうとしてくれたん、やな。復讐なんて言って、
ウチのことを想うとってくれたんやな。約束、守ろ
うとしてくれたんやな」
佐久間、顔に涙が落ち、獣爪が普通の手に戻る
遠峰「何をしている」
透、銅像へ振り向く
遠峰、銅像の上に立っている
夜宵「おとうはん」
透「遠峰!」
遠峰「永治の息子か、立派になったな。よく似てい
る」
透「何しに来た?」
遠峰「私のペットを受け取りに来たんだ」
透「(目が鋭くなり)ペット?・・・だと!?」
遠峰「・・・・そうだが?」
透「(槍を作り)ぬあああああ!!」
遠峰「遅い」
遠峰、黒炎の剣を透に投げる
透、地面に磔にされ、吐血する
夜宵「透君!」
遠峰「私の気配を察知できず、たかが恋夜のような雑
魚相手に本気を出すなど、「女王」の名に傷がつ
く!」
透「(剣を掴み)ぐう!」
美波「(沙良と共に走ってきて)龍一郎!」
遠峰「おやおや、懐かしいメンツだ。何しに来た?私
を倒しに来たのか?やめておけ、永治がいない今、
私にかなうものは誰もおらん」
遠峰「(夜宵・佐久間を見て)さて──」
遠峰、地面に降り、透の横を通り過ぎ夜宵・佐久間に歩いていく
透「待て!」
遠峰「(夜宵・佐久間の前で立ち止まり)恋夜、起き
ろ。約束は、まだ残っているぞ」
遠峰、剣を作り、佐久間に向けている
夜宵「やめて!」
遠峰「この男はお前をあの父親のもとに返す為にこの
事件を引き起こしたんだぞ?力を与え、続けさせて
やることを邪魔するのか?」
夜宵「!」
遠峰「邪魔するのは構わんが、恋夜の意思を、努力
を、罪を、無駄にするのか?」
夜宵「・・・」
夜宵、佐久間を見ている
夜宵「ごめん、恋夜・・・透君」
透「夜宵」
夜宵「(透を見て)ウチ、戻るね」
透「夜宵ィ!!」
夜宵、佐久間を寝かせ、遠峰に歩いていく
佐久間「や・・・よ・・・・い」
夜宵「(立ち止まり)もう、もうええよ?ウチの為にそ
んなにボロボロになるまで戦って・・・・けど、ご
めんなさい」
夜宵、歩き出す
遠峰「さあ帰ろう、我が娘」
夜宵「・・・」
佐久間「・・・」
外壁が爆発し、中からチャリオットに乗った秦村が現れ、遠峰のそばに停止する
天童「(飛び降りて)待て!」
秦村「テメーとは今度決着つけてやるよ!」
遠峰「それでは諸君、また会おう。今度は新入りを連
れてくるよ」
遠峰・夜宵、チャリオットに乗り、去っていく
美波「(透に駆け寄り)透君!」
剣が消滅していく
透「(起きあがり)恋夜」
佐久間「・・・結局、無駄だったわけか、なにもか
も」
透「これからどうするんだ?」
佐久間「いつも通りだ」
佐久間「(立ち上がり)親父のいいなりで、兵器として
奉仕していく」
透「分かってるなら尚更だろ、あいつはお前のことを
息子とは──」
佐久間「いいさ、いつか分かってくれる。欲しいもの
があるのさ、あんな親父からでも」
佐久間、闇夜に消えていく
美波「さ、早く離れましょ。結界が崩壊する」
透「待って。まだ一葉が」
一葉の声「透ー!」
透、振り向くと一葉が走ってきている
透「一葉!」
一葉「(立ち止まり)大丈夫!?こんなに怪我して!!
早く病院に!!」
透「いいんだ。美波さんに見てもらう。それより今何
時だ?」
沙良「0時10分前やで」
透「ハハ、やべーな。誕生日が終わりそうだ」
○神崎町・天童家前(夜)
透・一葉・中田・美波・天童・沙良、波に乗っている
透「(波から降り)すまん蒼海!」
中田「いいってことよ」
沙良「はよ〜、送ってってーやー。うち眠いんや〜」
中田「へいへい」
沙良「(手を振りながら)じゃあね〜、楽しんで〜」
波に乗って去っていく中田・沙良
○天童家・リビング(夜)
美波「危ない危ない。5分前よ。透君、ケーキは?」
透「持ってます」
美波「早く準備して。剣司!」
天童「わーってるよ」
透「剣司ー、ロウソクはー?」
天童「棚の中っすよー」
一葉、立っている
一葉「私も何か──」
美波「ダーメ、主役は座ってなさい」
一葉「(座らされ)う、うん」
時計の針画23時59分を指している
美波「さて、ギリギリ間に合ったわね」
一葉「お母さん」
美波「なに?」
一葉「剣司」
天童「あ?」
一葉「透!」
透「なんだ?」
一葉「その・・・ありがと!」
○同・全景(夜)
透・美波・天童の声「誕生日おめでとー!!」
○エンディング
○警視庁・全景(深夜)
○同・警視総監の部屋(深夜)
佐伯「では、後ほど記者会見を?」
土方「ああ」
佐伯「しかし、彼らの存在を世間に知らせるのは
──」
土方「それでは私を守り死んでいった警官達にあわせ
る顔がない」
佐伯「分かりました、それでは失礼します」
佐伯、ドアを開け出ていく
土方「フー・・・・ん?」
土方、振り向くとフードの女が刀を振り上げている
暗転
○北欧・城・全景(夜)
○同・牢屋前(夜)
賀陽魅誠志郎(17)「(歩きながら)ったく。わざわざ、こ
んな所まで来る羽目になるとは。旅費出るんだろう
な」
獅堂皇大郎(17)「(歩きながら)心配すんな、これだけデ
ケェ城だ。食べ物ぐらいあんだろ」
賀陽魅「そういう問題じゃねえ。それに俺は山奥で育
ったお前と違って繊細なんだよ」
獅堂「お前も田舎育ちだろうが。まあいい、ピザ食っ
て帰ろうぜ」
賀陽魅「おう、このへんのピザは絶品らしいからな」
獅堂「ここか?」
賀陽魅「ああ。外の番兵は神器で強化されてやがっ
た。間違いない」
獅堂「・・・強いか?」
賀陽魅「強い。その気になれば霞勝透でさえ危うい。
そしてその男を牢に縛れる程この牢も頑丈だ」
賀陽魅、剣を構え、牢を破壊する
獅堂「名前は?」
賀陽魅「奴は──」
阿武零(?)「阿武零だ」
立ち上がる阿武零
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