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永遠のイージス  作者: フルマイナス
10/13

10話「王獣紅吹雪」

よろしくお願いします!

 登場人物

 霞勝(かがち) (とおる)(17)

 天童一葉(てんどう かずは)(17)

 中田(なかた) 蒼海(そうみ)(17)

 神田(かんだ) 海生(みお)(17)

 三嶋(みしま) 緋炉鬼(ひろき)(17)

 天童(てんどう) 剣司(けんじ)(16)

 瀬戸(せと) 光輝(こうき)(16)

 八坂(やさか) 夜宵(やよい)(17)

 佐久間(さくま) 恋夜(れんや)(17)

 秦村(はたむら) (れい)(17)

 獅堂(しどう) 皇大郎(こうたろう)(17)


 フードの女

 不良A

 不良B

 不良達

 市民A

 市民B

 男A

 女子A

 女子B

 バイカーA

 バイカー達

 店主

 アナウンサー

 警視総監


○神崎町・全景(深夜)


○動物園(深夜)

 男、倒れている警備員の間を縫うように歩いていく

 全ての動物が鳴き、暴れている

 男、ゴリラの柵まで来て、微笑すると男の手が大きな爪を持った手に変わる

 暗転


○オープニング


○月無高校・全景(朝)


○同・廊下(朝)

 天童剣司(16)、歩いている


女子A「剣司君」

天童「(振り向き)ん?」

女子A「(手紙を差し出し)これ!」

女子A「じゃあ、待ってるから!」


 女子A、走っていく


天童「ハァ、またか」

瀬戸光輝(16)「大変だな、「金光の貴公子」さん?」

天童「全くだ」


 天童・瀬戸、歩き出す


瀬戸「お前1人もOKしてないらしいな」

天童「ああ」

瀬戸「今じゃ、この学校中の男の敵ってわけだ。隣に

 いる俺に感謝しろよ?」

天童「俺は好きな女がいねえから断ってるだけだ。俺

 は何も悪いことはしてねえ」

瀬戸「正論だな」


 遠ざかっていく天童・瀬戸


○同・体育館裏(夕)

 佐久間恋夜(17)、立っている


佐久間「まさか、俺がこんなにも恨まれてるとは思わ

 なかったよ」


 不良達、立っている


不良A「テメー、俺たち散々利用して報酬払わねーと

 はいい度胸してんじゃねえか!?」

佐久間「俺は、あいつを倒せたら報酬をやるって言っ

 たんだぜ?倒せてないのに報酬なんてやるわけねえ

 だろ」

不良B「ざけんな!あの女を転校に追いやっただろう

 が!テメーの命令でな!」

佐久間「そうだな、それは褒めてやろう」

佐久間「(拍手しながら)はーい、ご苦労さんでーす」

不良B「ふざけてんじゃねえ!」

不良A「しかもあいつ!後から調べたら、空手の世界

 王者じゃねえか!勝てるわけねえだろうが!」

佐久間「だが、お前らは引き受けた。自信があったか

 らじゃないのか?勝つには己を知り、敵を知れって

 な」

不良A「ふざけんなよ。聞いてんだぜ?お前、あの女

 に惚れてたんだってな?」

佐久間「あ?急に何の話だ?」

不良A「とぼけても無駄だぜ。お前、あの一葉って女

 を透って男に取られたくなくて俺たちを雇ったらし

 いな!」

佐久間「ブワッハッハッハ!俺があの嬢ちゃんを?バ

 カかテメーら!俺はあんな女興味ねえ!俺はあいつ

 を殺せればそれでいいんだよ!霞勝透をな!」

不良A「だったら、テメーでやればいいじゃねえ

 か!」

佐久間「それがそうもいかなくてな、まだ殺すなって

 言われてるんだよ」

不良B「言い訳してんじゃねえよ!テメーがやる度胸

 がないだけだろ!」

佐久間「ほう。だったら、やってみるか?」

不良A「あ?」

佐久間「(ジャケットを脱ぎ)俺1人対お前ら全員、10人

 強ってとこか」

不良A「上等だ!タコ殴りにしちまえ!」


 不良達、佐久間に走っていく

 佐久間、ジャケットを投げ捨て不敵に笑う


○翡翠橋(夕)

 秦村礼(17)、バイクで走っていると携帯の着信音が鳴る


秦村「(電話に出て)なんだ?」

佐久間の声「今どこだ?」

秦村「橋の上」

佐久間の声「月無まで来てくれ、話したいことがあ

 る」

秦村「今無理なのか?」

佐久間の声「ああ、話したいっていうより」


○月無高校・体育館裏(夕)

 不良達、血まみれで倒れている


佐久間「少し手伝え」

秦村の声「ああ、分かった」


○翡翠橋(夕)

 急ブレーキをかけ引き返し、走り去っていく秦村


○翡翠橋(夜)


秦村「(バイクで走りながら)ったく、人使いが荒えん

 だからよ。テメーが片した奴らぐらいテメーで処理

 しろってんだ」

バイカーA「兄貴ー!」

秦村「んあ?」


 バイカー達、バイクで秦村に追いついてくる


秦村「おお、お前らか」

バイカーA「今日、集まりがあるんスよ!どうす

 か?」

秦村「いいねぇ!久しぶりにやるかぁ!」


 男、立っている


秦村「!」


 秦村、急ブレーキをかけて止まる


バイカーA「(止まり)どうしたんスか?」

秦村「お前ら、先行ってろ。後から行く」

バイカーB「おい見ろ!」


 バイカー達、前を見る

 瀬戸、立っている


バイカーA「なんだアイツ?」

秦村「俺の客だ」

バイカーA「兄貴の客なら、俺たち通してもらわねえ

 とな!」

秦村「やめとけ、お前らじゃ数秒でやられるぞ。例の

 河原に行ってろ」

バイカーA「・・・分かりました、おい行くぞ!」


 バイカー達、バイクで瀬戸の横を通り過ぎていく


秦村「なんか用か?」

瀬戸「夜な夜なバイクで爆音鳴らしながら走ってんの

 はテメーか?」

秦村「そうだ、なんか文句あるか?」

瀬戸「楽しいか?」

秦村「ああ楽しいね。誰の邪魔もされず、ただ走る」

瀬戸「1年前、女を轢いたのを覚えてるか?」

秦村「女?・・・ああ、あの女か。キレイな死に顔だ

 ったな、お前の知り合いか?」

瀬戸「俺の妹だ」

秦村「(頭に赤いバンダナを巻き)・・・やるか?「煌

 穹」さんよ」

瀬戸「あいつには、俺や弟と違って、真っ当な将来が

 あったんだよ。頭も良くて、美人で、将来教師にな

 ると言ってた。それをテメーは自己満足が為に轢き

 殺した。やらねェって方がバカだろ」

秦村「(バイクをふかしながら)復讐か、どいつもこい

 つも同じだな」

瀬戸「(弓を手に取り)どうでもいい、死ね」


 秦村、瀬戸に向かってバイクを走らせていく


秦村「(手を天にかざし)そんな軽弓でこの俺の英走を止められるかァ!!」


 秦村の手に雷が落ち、鎚を手に取る

 瀬戸、矢を放つも、鎚で弾き落とされる


秦村「(瀬戸に向かっていき)オラァああああぁぁ

 ぁ!!」


瀬戸、飛んで避け秦村の後ろに回り、矢を放っている


秦村「我は戦場駆ける英雄にして、雷の神である。この豪胆の戦車は天の怒りである!!」


 秦村の武具発動の影響で大風が起こり、矢が吹き飛ばされる


瀬戸「(着地し)なるほど、お前「雷王」か、予想的中

 だな」

秦村「おうとも!」


 秦村、煙幕が晴れると2頭の黒い巨大ヤギで引かれた古代戦車に乗っている


秦村「お前は、俺に矢を当てることは出来ないがな」

瀬戸「ほざけェ!」

秦村「(手綱を打ち)ハイヤァ!!」


 秦村、ヤギを興奮させ、走らせていく


秦村「(鎚を瀬戸に向け)堕ちろォ!!」

瀬戸「(周りに雷が落ちていくなか矢を構え)殲滅しろ!」


 瀬戸、光の矢を秦村に放ち、秦村が鎚で弾き飛ばすと複数に分裂し、雷を撃ち落とし、瀬戸・秦村の周りに火花が落ちていく

 最後の花火が落ちた瞬間、瀬戸は一瞬で矢を放ち、秦村は鎚を投げつけ、相殺されて爆発し、塔の間に稲妻が走っている


瀬戸「(塔の上に着地し)あっぶね」

秦村「(両手で顔をガードしていて)・・・殺す!おい

 起きろ!」


 2頭のヤギが皮と骨だけになって、ピクピク震えているが再生し、戦車も傷が消えていく


瀬戸M「(秦村を見ながら)あの使役しているヤギ2匹は

 木っ端微塵に吹き飛ばさなきゃダメか。仮に吹き飛

 ばしても次にチャリオットごと復活させれば一緒だ

 が・・・」

秦村「(瀬戸を見て)テメー、大事なペットなのによ」


 秦村、手綱を手に巻き強く握りしめる


瀬戸「不死身のヤギがペットか、芝生はあんのか?」

秦村「あいにく俺の雇い主は金持ちで敷地もたっぷり

 あるぞ」

瀬戸「なら敷地ごとテメーらも吹っ飛ばしてやんよ」

瀬戸「(弓を構えながら)未だ地に堕ちぬ鳥、ヘブン

 ズ・イーグル!」


 雲が裂け、瀬戸の弓に光が当たり、黄金の矢が出来ていく


秦村「(鎚を天にかざし)己の心、己の肉体、己の精神

 全て、お前にぶつけよう。この豪胆の雷鳴と共

 に!!」


○同・全景(夜)

雷や稲妻が橋の周りに落ちていく


○同(夜)


秦村「(手綱を打ち)ボルドネス・タング!」


 秦村、戦車に雷を帯びて瀬戸に浮かびながら向かっていく

 瀬戸、秦村を飛んで避け、秦村は塔を破壊して空中で大回りして再び瀬戸に向かっていく


秦村「(突進しながら)おおおおおおああああぁぁ

 ぁ!」


 瀬戸、地面に落ちながら矢を放つが、秦村が鎚で弾き落とし、矢が落ちていく


秦村「終わりだァ!!」

瀬戸「(落ちていきながら)・・・お前がな」


 落ちていく矢が空中で止まる


瀬戸「言っただろう、未だ地に堕ちぬ鳥だと!!」


 矢が秦村に向き、先端に黄金の炎が灯り、秦村に向かっていく


秦村「ぐっ!」


 瀬戸、1回転して着地し、飛んで逃げる

 秦村、光に包まれ、大爆発に巻き込まれる


○同・全景(夜)

 爆発が起き、橋が崩れていく


○河原(夜)


男A「なんだなんだ?」


 人が集まってきている


瀬戸「(川の反対側の河原に落ちてきて)ぐあ!」


 瀬戸、爆煙を見上げながら、足が震えながら立ち上がる


瀬戸「・・・お前の敗因は、チャリオットの死角が下

 だということに気づかなかったことだ。真正面なら

 鎚でなんとか出来ただろうが、下なら無理だ。その

 短い鎚じゃ尚更だ」


 橋の上を1台のバイクが走り去っていく


瀬戸「(バイクを見ながら)チッ、甘かったか」


○道路(夜)

 秦村、バイクで走りながら顔の左半分を左手で押えている


秦村「イッテェ・・・あの野郎」

秦村「(血だらけの左手を見て)クソ、ギリギリかすっ

 ただけでやけどか。絶対ェ、許さねェ」


 バンダナをとる秦村


○神崎町・住宅街(夜)

 佐久間、歩いているが立ち止まる


佐久間「(振り向き)なんか用か?」

八坂夜宵(17)「今度の計画、ホンマなん?」

佐久間「ああ」

夜宵「ウチが、やめてって言うたらやめてくれる?」

佐久間「これは、俺にとってチャンスなんだ」

夜宵「なんの?」

佐久間「俺の憂さ晴らし。正直、親父から命令された

 時は嬉しかったよ」

夜宵「ウチの父親殺すのがそんなに嬉しん!?」

佐久間「ああ、嬉しい。憎いほど嬉しい」

夜宵「・・・幻滅したわ。アンタ、昔はそんなんちゃうかったやん!なんで、そんな・・・!」

佐久間「・・・いくらでも幻滅しろ、失望しろ」

夜宵「(怒った顔をして)!」

夜宵「(悲しい顔をして)・・・ウチの頼みでも聞いて

 くれへん、アンタそのままやと、人をなくす」

佐久間「それでも、俺はお前の親父を殺したい」


 佐久間、歩いていく

 悲しい顔をしている夜宵


○同・病院・全景(夜)


○同・廊下(夜)


霞勝透(17)「それじゃあ、母さん。ゆっくりしとくん

 だぞ」

鼓滝の声「分かったわ〜」


 透、ドアを閉め歩き出す

 天童美波(39)、歩いてくる


透「あ、こんばんは」

美波「あら、今帰り?」

透「ええ、母さんを送ってきたところです」

美波「鼓滝の容態はどう?今日は、見た感じ良かった

 けど」


○病室(夜)

 霞勝鼓滝(39)、咳をしている


透の声「大丈夫、とは言い難いですね、無理をして

 る」


○廊下(夜)


美波「やっぱり・・・あなた達そういうところは似る

 んだから」

透「だからこそ考えてることが分かる。他の人に背負

 わせたくない」

美波「少しは見せてもらってもいいのに」


○神崎高校・全景(昼)


○同・廊下(昼)


中田蒼海(17)「(走りながら)悪かったって言ってんじゃ

 ん!!」

神田海生(17)「(走りながら)悪いと思ってるなら大人し

 く止まって罪を償えー!」

中田「止まったら俺の心臓も止められるに決まってん

 だろうがー!」

海生「私のプリン食べておいて心肺停止で済むと思う

 なー!」

中田「プリンの代わりに魂食うってか!」

天童一葉(17)「(中田・海生を見ながら)仲良いね」

透「(中田・海生を見ながら)喧嘩するほど仲がいいと

 はよく言ったもんだ」

一葉「ホントだね。そう言えば、透」

透「ん?」

一葉「私のお弁当どうだった?」

透「うん、美味かったよ」

一葉「ホント?ありがとう!」

透M「(頷きながら)不味いなんて言ったら蒼海の二の舞

 だからな。一葉のプライドも守れるし、俺も守れ

 る、一石二鳥」

女子Bの声「ね、ねえ、霞勝君?」

透「(振り向き)ん?ああ、どうした?」

女子B「これ、受け取って!」


 女子B、透に箱を渡すと走り去っていく


透「お、おい」

一葉「・・・行っちゃった」

透「(箱を開け)ん?なんだこれ?」

一葉「あ、これ!」

透「知ってんのか?」

一葉「超高級店の焼き菓子!これすっごく高いんだ

 よ!」

透「ほ〜、あ、手紙入ってる」

女子BM「今日、体育館裏で待ってます♡」

一葉M「(手紙を見て)ま、まさか!・・・告白!?」

透「え〜、今日用事あんのに。ドタキャンしよっか

 な〜」

一葉M「え・・・ドタキャンなんかしたら、確実に周

 りからの透の評価が下がっちゃう!けど、行っても

 し透がOKしたら・・・!」


 × × ×

(フラッシュ)


透「ごめん、一葉。俺今日デートだから」


 × × ×


一葉M「なんてことに!で、でも、透は病気で人を好

 きになる事は無いんじゃ・・・!」

一葉M「(膝をつき)それ私もじゃん・・・」

佐久間M「(一葉を見ながら)忙しそうだな〜」

佐久間「おい、透」

透「ん?」

佐久間「今日飯行こうぜ」

透「いいぞ。これ終わったらな」


 透、手紙をヒラヒラさせている


佐久間「なんだそれ?」

透「体育館裏にこいってさ、喧嘩でもするんじゃ

 ね?」

佐久間「(手紙を見ながら)なんでこの文面を見て喧嘩

 って判断できんの?どう見ても告白だろ」

透「うわ、マジかよ。どうやって断ろうかな〜」

一葉M「そうそう、断って!」

佐久間「いっそOKしちまえよ」

一葉M「や、やめて!そんな事言わないで!」

透「ダメだ。病気が治るまで、誰とも付き合わねえっ

 て決めてんだ」

一葉M「(胸を撫で下ろし)ホッ」

佐久間「なんでえ、おもんねえ」


 佐久間、歩いていく


佐久間「(手を振りながら)じゃ、いつものラーメン屋

 でな〜」

透「おう」


○ラーメン屋(夕)


店主「(ラーメンを出し)へいお待ち」

透・佐久間「いただきまーす」

透「(麺をすすり)で、どういう風の吹き回しだ?」

佐久間「何がだ?」

透「お前の方から飯を奢るなんて言い出す時は、だい

 たい何かある時だ」

佐久間「(麺をすすり)いや、なんもねえぞ?」

透「ホントか?まさか、金がないなんて言うんじゃね

 えだろうな?」

佐久間「ナメんな、ラーメン2杯分くらいあるわ」

佐久間「(小声で)親のすねかじりが」

透「(立ち上がり)よし、表出ろ」


 佐久間、立ち上がる

 透・佐久間、出口に歩いていく


店主「壊すなよ〜」

透・佐久間「うぇーい」


○神崎町・商店街(夕)

 透・佐久間、向かい合って立っている


透「結局のところ、誰かと喧嘩したが物足りなかった

 ってところか」

佐久間「まあな。弱すぎて、殺しちまうところだった

 よ」

透「なら、俺には殺す気で来い。じゃねーと、殺す

 ぞ?」

佐久間「ハッ、ほざけ」


 透・佐久間、走り出し、熾烈を極めた殴り合いをしている


透「(拳を振りかぶり)テメー!そこまで強いなら、格

 闘技でも習ったらどうだァ!?」


 透、殴ろうとしている


佐久間「(拳を避け)必要ねえ!俺は、テメーより強ェ

 からなァ!!」


 佐久間、殴ろうしている


透「(拳を避け)そうかよ!決着ついたことねえ癖に、

 大層な事垂れ流してんじゃねえ!!」

佐久間「なら格闘技やってない俺と決着つけれてない

 テメーは、俺以下ってことだァ!!」

透「決着ついてねえのは、夜宵が止めてくれてたおか

 げだろうが!あとで礼言っとけ!!」

佐久間「助けられてんのはテメーだろうがァ!」


 透・佐久間、パンチが同士討ちとなり、同時に倒れる


佐久間「(仰向けになり)あ〜」

透「(仰向けになり)ハァ、満足か?」

佐久間「ああ、もう少しだな」


 佐久間、立ち上がる


透「ほう、まだ口が達者なところを見ると、余裕があ

 るって事か。成長したじゃないか」

佐久間「俺だって、努力はするさ」

透「もっかいやるか?」

佐久間「いや、もういい。気が済んだ」

透「・・・1つ聞かせろ」

佐久間「(歩きながら)なんだ?」

透「月無の生徒十数名が行方不明になった。あれ、お

 前か?」

佐久間「(立ち止まり)・・・証拠は?」

透「進級前に他校と喧嘩して、停学くらってたよな?

 もし、その他校が月無で、今回復讐の為、十数名に

 囲まれたが、返り討ちにした、じゃないか?」

佐久間「俺が殺したってか?」

透「お前ならやりかねん」

佐久間「ハッハッハ!違ェねえ」


 歩いていく佐久間


○同・住宅街(夜)


一葉「(歩きながら)今日、何作ろっかな〜」


 佐久間、歩いてくる


一葉M「あ、あれって、確か透の」

佐久間「よ、嬢ちゃん」

一葉「こ、こんばんは」

佐久間「透が向こうでぶっ倒れてるから介抱してあげ

 たら」

一葉「え!?」


 一葉、走っていく


佐久間「(一葉を見ながら)・・・」


○同・商店街(夜)

 透、地面に座っている


店主「大丈夫か?ボウズ」

透「ああ、大丈夫だよ、おっちゃん」

店主「にしても相手もなかなか強かったな〜、昔は嬢

 ちゃんが止めてたが、今回はいなかったもんな、お

 前さんも必死だったんじゃねえか?」

透「まあね。あいつも強いからな」

店主「空手の世界王者に匹敵するなんざ、何者だ?」

透「ただの、喧嘩好きさ」

一葉の声「透ー!」


 透、振り向くと一葉が走ってきている


透「なんであいつが・・・?」

店主「彼女?」

透「違う、友達だ」

一葉「(透に駆け寄り)どうしたの?誰かと喧嘩した

 の?」

透「ああ、恋夜とな」

一葉「あ、さっきすれ違った!文句言ってやる!」

透「待て一葉。襲われたわけじゃない」

一葉「え?」

店主「二人とも、とりあえず店入んな。茶ぐらい出し

 てやる」


○ラーメン屋(夜)


一葉「憂さ晴らし?」

透「そうそう、あいつ誰かと喧嘩した後、不満なら俺

 のところに来て喧嘩してくんだよ」

一葉「そんな無茶苦茶な」

透「いいんだ、試合より楽しめる」

一葉「そんなに強いの?」

透「空手で未だ無敗の俺を地面に転がしたことがある

 のはあいつが最初で最後だ」

一葉「へぇ〜」


 透・一葉、ドアが開き、ドアを見る


店主の声「悪いな、今日は店じまいだ」

透「いや」


 夜宵、立っている


透「俺の友達だ」

店主「なんだ、モテモテだな透」


 夜宵、透の前に座る


透「そんなんじゃないって、友達だよ友達」

夜宵「透君、お願いがあるんやけど」

透「どうした?」

夜宵「実は・・・」


 夜宵、一葉を見る


一葉「(首を傾げ)?」

透「(一葉を見て)一葉、少し出てくれ、大事な話そう

 だ」

一葉「あ、うん。少し出てるね」


 席を立ち、トイレに向かう一葉


夜宵「実は」


○神崎町・住宅街(夜)

 佐久間、歩いている


夜宵の声「恋夜を殺してほしいの」


○ラーメン屋(夜)


透「は?なんで?」


○神崎町・住宅街(夜)


夜宵の声「恋夜は、もう人に戻れないところまで来て

 しもうた」

佐久間「集めたか?ん?」

獅堂皇大郎(17)「ああ」

佐久間「お前か、ま、いいや」


 佐久間・獅堂、歩いていく


佐久間「相棒はどうした?」

獅堂「行けなくなった、だってよ」

佐久間「で、お前を寄越したのか」


 佐久間・獅堂、立ち止まる


佐久間「まあ、お前の方が早く仕事が終わるがな」


 バイカー達、集まっている


透の声「あいつが何するってんだ?」

夜宵の声「恋夜の目的は・・・」


○ラーメン屋(夜)


夜宵「警視総監殺害」

透「(驚いた顔で)・・・なんで、そんな、こと

 を?・・・ってことは、警視庁を襲撃するの

 か!?」

夜宵「理由は知っとる。そこに、私のお父さんがいる

 から」

透「なんでお前の親父を襲うんだ?」

夜宵「その理由は分からへん。けど、恋夜はもう止ま

 らへん!お願い!止めてくれへん?友達を失いとう

 ない!」

透「あいつが身一つでそんな無鉄砲な作戦を行うとは

 思えねえんだがなァ」

夜宵「ウチも、どうやって殺そうとしているかは分か

 らへん。透君はどう思う?」

透M「確かにあいつは強い。だが、相手は警官、それ

 もわんさかいる警視庁。銃でも使うのか?まさか爆

 弾?いくらなんでもやりすぎだ」

夜宵「透君?」

透M「恋夜のプライドからして正面から行くはず、且

 つ短く終わらせたいはず・・・まさか!」

夜宵「透君!」

透「ん?あ、ああ。さっぱり分からん。そうだ夜宵」

夜宵「ん?」

透「お前は、神器って知ってるか?」

夜宵「いや、知らんけど?なんなんそれ?」

透「いや、知らないならいい」


○神崎町・河原(夜)

 骸霊の群れ、騒いでいる

 獅堂、手をはたいている


佐久間「よし、こんだけいりゃあ十分だろ。不良共も

 いるしな」

獅堂「相手は警官だろ?お前1人でも余裕だろ」

佐久間「それがそうもいかなくなってきてるんだよ

 な」

獅堂「何かあったのか?」

佐久間「夜宵に勘づかれた。そして、俺を止めたくて

 透に相談するだろう」

獅堂「霞勝も来るのか。是非行きたいな」

佐久間「でもお前、海外に行くんだろ?」

獅堂「そうなんだよなぁ、霞勝によろしく伝えといて

 くれ、また機会があればってな」


 獅堂、歩いていく


佐久間「おう」

佐久間「(骸霊の群れを眺めながら)・・・最後までヒ

 トとして決着はつかなかったが、バケモンとして決

 着つけようぜ、透」

三嶋の声「代わりと言っちゃなんだが」


 佐久間、振り向く

 三嶋緋炉鬼(17)、橋の上に立っている


三嶋「火のバケモンが相手してやろうか?」

佐久間「へっ・・・付き合ってくれるか?」


○同・商店街(夜)

 透・夜宵・一葉、店から出てくる


夜宵「それで、どうやって止めるん?」

透「それは俺が考える。お前は手を出すな」

夜宵「ダメ!恋夜は、ウチが止める!」

透「止められんのか?お前に?あいつを止めるってこ

 とは俺を相手にするようなもんだぞ」

夜宵「止めてやる!また、昔みたいに!!」

一葉「・・・」

透「(夜宵の頭をポンと叩き)お前は、俺とあいつの喧

 嘩を傍で見てくれてるだけでいい」

夜宵「せ、せやけど」

透「夜宵、今度はしっかり決着つけてくる」


 夜宵、不安な顔をしている


○同・河原(夜)

 三嶋、橋の柵に立っている

 佐久間、三嶋を見上げている


佐久間「お前、賀陽魅はどうした?」

三嶋「ああ、あいつか。俺があんな奴に遅れをとると

 思ったか?」

佐久間「いや、あいつは弱いからな。だがお前、俺を

 誰か知ってんのか?」

三嶋「ああ、知ってるさ。「王獣」」


○同・住宅街(夜)


一葉「(歩きながら)「王獣」?」

透「(歩きながら)ああ」

一葉「それって、透と同じ?」

透「恋夜が持ってるとすれば、それだ」


○(回想)同・商店街(夜)

 透・佐久間、戦っている


透の声「底無しのスタミナ、瞬発力、パワー。恐らく

 格闘技やっている俺に負けなかった理由はそれだろ

 う」


(回想終わり)

○同・住宅街(夜)


透「(歩きながら)だが、おかしい」

一葉「(歩きながら)なにが?」

透「もし、あいつが能力者だったら俺と戦ってる時に

 何か感じるはず、何も感じなかった」


○同・河原(夜)


佐久間「ほう、何故知ってる?」

三嶋「俺はベテランでな。誰が何を持ってるか一目見りゃわかる。ついでに、お前が一種の擬態能力を持ってることもな」

佐久間「そりゃあ、まずいなぁ。とっとと口封じとく

 か!!」


 佐久間、右手を獣爪に変化させ、勢いよく飛び上がり、三嶋は戦炎斧を手にする


佐久間「オゥラアアアアア!」


○同・住宅街(夜)


透「(歩きながら)そうか、擬態だ!」

一葉「擬態?」

透「「王獣」特有の能力でな、神器を使った格闘能力

 の向上を”擬態”させてるんだ。そうすりゃ、ただ喧

 嘩が強いって思わせられる」


○同・路地裏(夜)

 三嶋、走っている


三嶋M「上手く追い込まれたな。やつのあの運動能力

 をもってすれば、ここは・・・」


 佐久間、壁を走っている


三嶋M「狩場か」

佐久間「オゥラアアアアア!」


 佐久間、三嶋を殴ろうとするも、かわされ、地面を殴ったことにより土煙が起こる


佐久間「チッ!」


 佐久間、三嶋に連続攻撃を仕掛ける

 三嶋、斧で防いでいく


佐久間「ここに逃げ込んだのが運の尽きだ。三嶋緋炉

 鬼、いや、「炎斧」!」

三嶋「そうか?こんな狭い場所ならお前の真価が発揮

 されるが、逆に考えてみろ」

佐久間「あ?」

三嶋「こんだけ狭いなら、焼き尽くすのも簡単って訳

 だ」


 三嶋の周りに火花が散っていく


佐久間「やべ!」


 大爆発が起き、道路にまで火が及んでいる


市民A「なんだ!?」

市民B「火事か?誰か消防車を!」


○同・ビル屋上(夜)


佐久間「(着地し)チッ、派手にやりやがる」


 携帯が鳴る


佐久間「(電話に出て)なんだ?・・・ああ、分かっ

 た。すぐに戻る」

佐久間「(電話を切って)・・・クソ親父が」

佐久間「(下を見て)ん?」


○神崎町・ビル街(夜)

 透・一葉、走っている


○同・ビル屋上(夜)


佐久間「お似合いだね〜」

佐久間「(正面に光るものを見て)ん?」


 フードの女が持っている刀が光っている


佐久間「テメー、なんでここに・・・・・・!?」


 フードの女、佐久間の懐に入る


佐久間「くっ!」


 ビル屋上が爆発する


市民A「今度はなんだ!?」

透「(立ち止まって上を見て)一葉!緋炉鬼を頼む!」

一葉「う、うん!」


 透、ビルの窓を割って走っていく

 一葉、走っていく


一葉「(心配な顔で)緋炉鬼君」

三嶋の声「呼んだか?」

一葉「(立ち止まって振り向き)緋炉鬼君!」

三嶋「行くぞ、ちょいとやらかした」


 三嶋、歩き出す


一葉「(三嶋に追いつき)だ、誰と戦ってたの?」

三嶋「言えん、あまり深入りするな」

一葉「う、うん」

三嶋「透は?」

一葉「(ビルを指さし)あのビルに行ったよ」


○同・ビル(夜)


透「(階段を走りながら)階段多すぎだろ!」


○同・ビル屋上(夜)


透「(ドアを蹴破って辺りを見回し)・・・チッ」


 透、振り向いて歩いていくと火柱が上がり、三嶋が出てくる


透「緋炉鬼!無事か?」

三嶋「ああ」

透「何してた?」

三嶋「戦ってた」

透「誰と?」

三嶋「言えねえ」

透「なんでだ?」

三嶋「言えねえもんは言えねえ」

透「・・・」

優花里の声「ヒロ!」

三嶋「迎えが来た、じゃあな」


 三嶋、振り向き歩き出す


透「緋炉鬼!」


 三嶋、立ち止まる


透「何を隠してる?」

三嶋「俺達は仲間って訳じゃねえ。同じ目的の為に動

 いてる、いわば傭兵だ」

透「・・・」

三嶋「じゃあな」


 三嶋、飛び降りる

 暗転


○霞勝家・全景(朝)


○同・居間(朝)


アナウンサー「昨日発生したビル街の火災について、

 警察はガス爆発の見方を示しています。それに関連

 して、月無高校の生徒十数名、バイカー数十名の行

 方不明についても調査しています。最後に目撃され

 た現場には血痕が多数発見されたと発表しました」


 透、パンを食べている


アナウンサー「先程、警視総監が会見を行い、最近多

 発している行方不明事件について、全力を挙げて対

 処していく意向を発表しました」


○エンディング


○遠峰家・夜宵の部屋(朝)

 夜宵、テレビを見ていると警視総監が映っている


夜宵「誰か・・・」

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