第10話 ザルツベルグ帝国防衛戦10
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ハーメルン帝国 帝都
「それで?聖堂大教国の方はどうやった?まさかヤツは疫病すら操るのか?」皇帝がブルっと震える。
「それは違います。あの者は事前に間者を放ち疫病が流行りそうなのを知って利用したんだと思われます。そして治療薬を作り恩を売って手懐けたという作戦かと。」
「しかし特効薬では無いようで何人かは亡くなっています。今も多くは入院治療中という事です。聖堂大教国の首脳は疫病で来年には大半が居なくなるでしょう。」
「そして今回、我が国の方ですが単なる山火事ではありませんでした。臭水という物をかの国で売られていて大量に購入したようです。」
「しかし臭水というのは燃える水と言われていますがそれほどでも無く何らかの工夫がされているのではと推測されます。」
「なるほど!分かった!それで落ち葉や枯れ木を集め山火事に見せかけたという事だな!」皇帝が合点がいったと言う表情で同意する。
「あと4つの戦で共通するのは功績を誇る事無く、まるで偶然を装って死者も少ない点です。敵味方ともにほとんど被害が無いのです。」
「死を嫌っているのかとも思いますがオレゴンは真っ二つに切られたと言われてますので真実は何処なのか分かりにくいのです。ただ考えられるのは元奴隷というのが1つのキーワードかと。」
「元奴隷?」皇帝が不審そうに聞く。
「そうなのです。だからオレゴンのような威張って生きてるようなヤツは切っても心が痛まないが戦の兵は多くが奴隷や農民なので死なせると心が痛むのかもしれません。」
「それと今のザルツベルグ帝国で優遇されないのかもしれません。未だ大した褒美を得ておりません。爵位や領地、金銀を得たという話は一切出ておりません。」
「妻は亜人だとも聞きます。奴隷になっている亜人を解放していると有名です。」
「面白い。引き抜くならどのような条件が良いと思うか?」皇帝が嬉しそうに試している。
「先ずは騎士爵くらいかな。」「いやいや。男爵と領地だろ?」「何より金だ。大金貨1枚。」「何処かの貴族令嬢を正室に受け入れさせるのは?」と相談している。
「僕ならヴェストパーレ皇女を娶らせ公爵にしてしまう方が良いと思うな。」と最年少の第7軍団将軍が口を開くと1と3の将軍が烈火の如く怒り出す。
「陛下の妹君を奴隷に差し出すなど言語道断だ!」「そうだ!あり得ぬ!」この2人はヴェストパーレを思慕しているのは有名だった。
「だったら2人は幸運の軍師に勝てるの?僕なら敵にするより裏切れない味方にした方が良いと思うよ。出来たら僕の軍師にしたいな。」と無邪気に言う。
「オレゴンを真っ二つにする強者だよ。彼はまだ底を見せていない。今のザルツベルグの皇帝がマーガレット辺りを嫁に出すって言ったら間違いなく最強の敵として現れるんだ。向こうの皇帝は長男が父を退け即位。切れ者だって言うからね。それくらいしそうだよ。」
最年少でありながら戦術家として先を見通す力のあるエルネストが言うと誰も反論出来なかった。「ふむ。卿の言う事は一理ある。よし!引き抜きは卿に任せよう。」
「ええ!?僕?陛下ムリムリムリ!」と前代未聞の拒絶する。
「ではこうしよう。外務卿、エルネスト、ヴェストパーレで捕虜の交渉に赴け。そこでどんな人物か見て来い。これは命令だ。」
そう言われると引き受けざるを得ない。「御意。」と渋々受ける。第1と第3将軍が「羨ましい・・」と歯噛みして悔しがるのだった。
その頃、砦では・・
「逃げたいヤツは逃げて良いぞ。途中死んでも俺のせいだと言うなよ!」「死んだら文句言えねえですよ。」「ワハハ!そりゃそうだ。」
BBQをしながら捕虜も酒を飲んでいた。「なあ・・俺達捕虜だよな?」「そうだな。牢屋って言ってもカギも掛かってねえ。」「部屋って感じだもんな。」
「普通、酒は出ねえよ。」「肉も食えねえ。」「兵士の時より良い生活してるぜ?」「俺もそう思う。まあ謀反を起こす気も起こらねえな。」
俺はヘルムートと肉を食いながら「どう考えても子爵家再興は無さそうだぜ。もちろん止めはしないけど一兵士から頑張るしかねえぜ?」
「ハルト殿。どうすれば良い?」「まあ命があれば何とかなるだろう。最悪な状況ならここまで逃げて来れば何とかしよう。」「よろしくお願いいたします。」と頭を下げた。
「それと若様って言ってるがアレは女だろ?俺に見破られるくらいだから皇帝を騙すのはムリがあるぞ。」
「気付かれましたか?跡取り息子はどうしようもないバカ息子ですが姫様が世継ぎなら我らも喜んでお助けしたいんです。」「その跡取りはどうしてんの?」
「恐らく魔物に襲われ死んでしまいました。」「そっか。ヘルムートさんも大変だな。まあ先の事なんて分からねえんだから今日は飲もうぜ。」
そして唯一、脱走した兵士がいた。「へえ。ミシシッピーは逃げたんだ。」「良いんですかい大将?」「まあどちらにせよ、良い未来が無さそうなタイプだからな。」
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