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俺はどこまで這い上がれるのか?  作者: 駿
第3章 つかの間の休息
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第11話 ハーメルン帝国の膿

よろしくお願いいたします。

ハーメルン帝国 帝都



「キサマは敵にも出会わず陛下の兵を損ない、おめおめ戻ったという訳か?」軍務卿が肩を怒らせ叱責する。


「軍務卿閣下の仰る通りでございます。」そう告げて静かに頭を下げるダン。「では問責は覚悟のうえで戻った訳だな!」


陛下の前で負けを平気で報告する将軍に呆れ怒る軍務卿。


「卿に聞こう。余の兵を損ないながら戻ったのには訳がありそうだ。言ってみろ。直言を許す。」「恐れながら申し上げます。」ダンがそう言うと「甘やかせてはなりませぬ陛下!」遮る軍務卿。


「うるさいぞ軍務卿。黙っておれ。」


そう言われると黙る他は無い。「実は今回の作戦で頂いた地図がこれに。」と言って見せる。「この地図に描かれている道は存在致しませんでした。」


「ウソだ!騙されてはなりませぬ陛下!」軍務卿が喚く。


「斥候を50人出しましたが至る場所で魔物の餌食となったのでしょう。我らも急ぐあまりこういう有様となってしまいました。」


「よくも見苦しいウソを並べ折って!死罪じゃ!」とまた喚く軍務卿。


「軍務卿。地図作成はそなたの管轄だったな。この地図はいつ作られた?今回の作戦前にはリジャプールを攻める事は理解しておったな?」


「もちろんでございます陛下。直近で作った物に相違ございません。」「そうだろう。地図を作成している作戦本部長はそなたの息子だったな。」「御意。」


「ではダン。新たに兵を1万増員する。明日、軍務卿と作戦本部長の配下にその地図で案内させよう。それで良いな。」「へ、陛下・・私も行くのですか?」


「軍務卿。あれだけ余の前でウソだの見苦しいと言っておったでは無いか?まさか案内出来ぬと言う物を作っているのではあるまい?」


そう言われると断れない。「承知致しました。」と渋々頭を下げた。


「時に軍務卿。」と声を掛けられドキドキしながら頭を上げる。「何でございましょう陛下?」「そなたの息子が作った地図で敵陣にいつ到着するのだ。」


知る訳が無いと言えない軍務卿だ。「丸2日で到着致します。」と適当な事を言ってしまう。「そうか!ではダン。3日目の朝には敵の全容が解明するであろう。見事撃破せよ!」


「はっ!この命にかえましても!必ずや!」


作戦本部ではこの話が伝えられ驚くのだった。貴族の子弟ばかりで構成されている作戦本部はまともに仕事をした事が無い。


渡した地図もリジャプールの国境かどうか怪しい物だった。これも全て作戦本部長の父が軍務卿だったからサボろうが何をしようが苦情が来なかったから出来た事だった。


「あの地図って正しかったのか?」「今更違いますって陛下が許すはずも無いぞ。」「俺達が見た所で分かるはずも無いな。」「2日で到着出来なかったらどうなるんだ?」


彼らの父にすれば軍の中でもっとも安全な場所だった。「息子は軍に所属しております。」と言えるステータスも魅力だった。


軍務卿も彼らの父親から多額の賄賂を受け取り「息子さんを危険な場所に送りません。」とお墨付きを与えまさにウインウインの関係だったのだ。


しかし陛下に命令されたとなると軍務卿ですら従わねばならない。彼等50人は自分の父に「助けて!」と早馬を出した。


間に合わないし間に合ったからと言って陛下が許すはずも無いのだが。


翌朝、軍務卿と作戦本部長以下50名が第8軍団将軍ダンと5万人の兵が集結していた。そこに皇帝陛下も現れた。


「先頭を歩き先導するのは軍務卿と50人だ。彼らも軍に所属しているのだ。魔物に襲われたからと言ってよもや第8軍団に助けを請うような事はするまい。」


ダンとベルグはこの時悟った。(皇帝陛下は全てご存知なのだ。ここにいる膿を出す為に敢えてこのような茶番を行っておられるのだ。)


小高い山頂に到着すると(なるほど。前回は右に行った訳だな。人が通った後があるのはこいつらが通った後だ。)軍務卿はそう理解した。


軍務卿は50人を呼び寄せ作戦会議をする。「お前達が地図を作っていない事など100も承知だ。そしてあの第8軍団は前回、右側を通ったのは明らかだ。」


そう言うと50人が頷く。「だとすればだ。残るは真ん中か左側だ。どちらが正解かは分からん。そこで二手に分かれる。真ん中を儂と半分の25人で偵察。左を息子と半分が行くんだ。」


「なるほど。」「敵、若しくは魔物と遭遇した場合はどうすれば良いでしょうか?」「確かに困るよな。戦った事ねえし。」


「そんな事は簡単だ。ここまで逃げ戻れば良い。そして儂達は息子側に行く。息子側で出れば儂達の方に来れば良いのだ。」


「さすがは軍務卿でございます!」「本部長の父上はよく頭が回られる。」「私も感服致しましたぞ!」


そして軍務卿はダンに「一応だが念の為に二手に分かれて見て来る。暫く卿らは待っておれ。」と告げ25人ずつに分かれて行った。


暫くすると2か所から「ワー!助けて!」「ウギャー!食われる!」「誰か!誰か助けて!」「このままじゃ全滅してしまう・・」と叫び声が聞こえる。


すぐに静かになり「全員帝都に戻るぞ。」ダンが静かに命じた。

お読みいただきありがとうございます。

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