第5話 ハルゼイ編5
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ザルツベルグ帝国 ハルゼイ
到着したのは夜8時くらいだった。松明を掲げ先を急いだお陰で何とか到着したが「何だ?こんな時間に?」と門番が偉そうだが我慢する。
「私達はロバート様の命令で来させて頂きました。内政官の方にお取次ぎ願いませんか?」
「ふん。内政官様はもうご就寝なされておる。明日の昼に来い。」
「ハルト様。こいつ殺して良いですか?」ランボウが乱暴な事を言う。
「おい!何を騒いでおるのだ!ここは儂の領地だ。騒ぐなら兵を出すぞ!」コイツいきなり現れて誰だよ?と思ってると「内政官様!」と先程の門番が言う。
「儂はこの領地を陛下より賜ったザゴ様じゃ!フハハ!」「ザコ様。我らロバート皇太子様の要請で参った次第。お通し願いますか?」
「キサマ!儂はザゴだ!名を間違うとは不敬罪じゃ!捕らえよ!」
「ロバート皇太子様の名代ハルトが命ずる!反逆者で謀反人のザコ一味をひっ捕らえよ!」あっという間にこちらが勝つ。
「門番どもよ!キサマらも謀反に加担するのか?」全員が首を振る。「では反逆者を牢に繋げ。」慌てて牢に入れていく。
ハンベエを呼び「遠巻きで良いから牢を見張ってくれ。恐らく逃がすだろうから。その時は全員牢にいれてやろう。」
「承知致しました。任せて下さい。早ければ今夜にでも動きそうですね。」悪い顔で笑った。
困った事に宿の手配すらしていない。「仕方ない。女性を優先で泊めて貰おう。男性は野宿しよう。」「ええ!?町中で野宿ですか?」
「俺に良い考えがある。娼館で一晩泊まれば良いんだ。行きましょうハルト様。」ランボウの提案はヒンシュクを買っただけだった。
結局、空家や大店で分宿する事が出来た。「やはり動きがありましたよ。」と嬉しそうに報告するハンベエ。
「ちょうど良い労働力が確保出来たな。」ザコ一味は朝から堀を作る事になる。設計士達は図面を見ながら指示を出していく。
建設スキル持ちが現場で作業員に指示を出している。この町の守備兵、衛兵、門番はザコに飼い馴らされていた。
彼ら全員が掘り作業になりフォックスとモンローにビシビシ扱かれ「手を抜くんじゃない!」「ダラダラ働くんじゃない!」と怒られていた。
ナン王国の密偵がこの事態を本国に知らせようとしても無駄だ。心眼で探し先に捕らえていく。「俺は何もしてねえ!」「バレて無いと思ったのか?」
俺が土魔法で参加していくと「キサマら主より働きが悪いぞ!」「ハルト様を見習え!」女王様コンビが生き生きとしていた。
全部で312人が参加してくれると助かる。しかしその312人の家族から苦情が来る。
「うちの息子が何をしたって言うんだ!」「だいたいお前は何者だよ!」「そうだ!いきなり来て偉そうに!」「さっさと夫を開放して!」
言いたい事を全部言わせて「早ければ1週間後に皇太子様がお見えになります。ザコ内政官はナン王国の密偵です。そして皆さんの息子や夫は謀反の手下です。皇太子様が来られたら全員死罪を免れません。それでよろしいでしょうか?」
「そ、そんな事あり得ん・・」「何かの間違いだ・・」「証拠があるのか!」
「今言われたそこのあなた!夫が給料以外の金を受けたって居るのを知ってましたね!そしてあなたは内政官に土地の便宜をはかって貰いましたね!」
紙をめくりながら言うが何も書いていない。心眼で見て言ってるが全員動揺する。
「良いですか?助かる方法は1つだけです。町を上げ今の仕事を手伝って下さい。そうしなければ皆さんも反逆者ですよ。逃げれば夫や息子だけ犠牲にして逃げたと言われますからね。」
全員が真っ青になり頷くしかなかった。その夜、何人かは夜逃げを試みるが捕らえられる。捕まった人達を見て(言う事を聞くしかねえ。)と全員諦めた。
翌朝は1200人以上の人達が手伝ってくれていた。そこに5000人の土木者も来たので更に効率が上がった。
専門職はそれぞれ高櫓、砦、門、橋を作りそれ以外は堀を作ってくれた。俺は宮殿で借りた短槍に200mの鎖を付けランボウに投げ槍の練習をさせる。
「ランボウ。昼寝て夜、牢屋の前で練習しろ。逃げるヤツがいれば良い標的になるだろう?」
「おお!ありがたい!生きた標的ですな!ガハハハ。」
土魔法で牢を作り篝火をガンガン焚いて逃げる余地は無いがランボウなら寝る可能性もあるのでデュークにも頼んだ。
『希望の光』が夜、見回りしますと買って出てくれたのも助かった。翌日から8人が牢番をする事になった。
町の人達も最初は敵意剥き出しだったがマリアやユウ達が無料で怪我や病気を治し毎日美味しい炊き出しを食べ始めるとすこしずつ好意的に変わり始める。
そして真相を知ると「やっぱあの内政官は黒かったか。」「ああ。怪しいと思ってたんだ。」「あそこの息子も衛兵なのに金回りが良いと思ったらやっぱりね!」
そして俺にも「すまんが家の壁を直してくれんか?」「うちは雨漏りがして困っとるんじゃ。助けてくれんか?」と気さくに声が掛かるようになり始めた。
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