第14話 闘技場 前編
よろしくお願いいたします。
ザルツベルグ帝国 帝都 4日目
早朝、レストランに向かうとマーサさんとセバスさんしか居なかった。「バウアーとマイヤーならまだ寝てるよ。昨日あれから娼館に行って遊んだらしい。」と教えてくれた。
「今日の予定は?」とマーサさんが聞いてくる。「私は家畜の買い付けを致します。」とセバスさん。「俺達は奴隷紋の消し方を聞くのと食料を確保する為、街に行きます。」
「それは奴隷を解放するって事かい?」
「そうですね。もちろん危険が無いと判断出来て、自分の力である程度生きていけるとなれば解放してあげたいです。」
「へえ。ハルトは変わった事をするのね。」と後ろから声を掛けて来たのはマーガレット皇女だ。
「おはようございますマーガレット様。」「おはよう。様も必要ないわ。マーガレットって呼んで。」
(そんな事したら後ろで睨んでいるお付きの方々に殺されるじゃないか。)「殿下。このような下々の者に気軽に声を掛けるのはお止め下さい。」「そうですわ。帰りましょう殿下。」
「その下々と蔑んでいる者に負けたらどうすんの?」と言って笑うと「なっ!あり得ません!」「そうだ!こんな小僧に俺達が負ける訳無い!」
「ならば闘技場で戦ったらどう?戦場だったら貴族だからって言い訳も出来ないわよね?」「良いでしょう。小僧!逃げるなよ!」
こうして嵐が勝手に来て去って行った。昼食後の1時に闘技場に来いと言われた。「マーサさん・・俺何かしましたか?」
「こうなったら仕方ない。完膚無きまで叩きのめしておやり!」と嬉しそうに笑った。バウアーさんとマイヤーさんには置手紙を書きそれぞれ午前の間に用事を済ませる事にした。
俺とノワールは昨日の付与師レナさんを訪ねた。「ふーん。奴隷を解放ね。『解除』で終わりだわ。それよりどうしたのそんな顔して?」と聞かれノワールが説明した。
「マーサさんも叩きのめせって言ってくれたならそうすれば良いのよ。せっかく魔法も使えるようになったんだから!そうだ!闘技場なら私も見に行くわね!」とウキウキしていた。
(何かとんでもない事になりそうだ。)そう思いながらレナさんの所を出た。街に戻り食料や家畜の飼料、羊皮紙、ペン、教科書になりそうな本や絵本を探した。
木炭、蝋燭、ガラス、硝石も有ったので買った。ビンやグラスも大量に買い込む。ノワールのイヤリングやアクセサリーを買い、「子供が来るなら服や下着も買いましょう!」と言うので買い込んだ。
それに伴い寝具、糸、縫い針なども買い「そろそろお昼を食べましょう!」とノワールが誘う。パン屋さんに入るとコーヒーの良い匂いがした。
サンドイッチを注文してコーヒー豆も買う。豆を挽く方法と簡単な道具を購入して「これで愛する旦那様に喜んで貰える!」とはしゃぐノワール。
「そろそろ行くか?」とノワールを促し闘技場の場所を聞きながら辿り着く。まだ開始30分前だが他の4人も来ていた。
「生意気な皇女の取り巻きにケンカを売られたんだってな?」と嬉しそうなマイヤーさん。「何でそんな嬉しそうに言うんです?」「いやあお前ってそう言う体質なんだなと思ってよ。」と笑った。
「うんうん。俺も今そう思ってたよ。でも安心しろ。ここは宮廷魔術師達が総力を挙げて作った建物らしい。殺しても死なない作りらしいからバッサリ殺せ!」と物騒な事を言うバウアーさん。
そんな会話をしていると呼ばれた。「旦那様。頑張って下さい。必ず勝って下さいね。勝ったら今夜はみだらなオンナのノワールがたっぷりとご奉仕しますわ。」と小声で囁いた。
(違う元気が出そうだ。)いい意味で緊張感がほぐれた。ノワール達は観客席に向かい俺は案内係に誘導され会場の扉を開いた。
すると20人のプライドの高そうな貴族の子弟といった面々がお待ちかねだった。「安心しろ。俺が相手をしてやるから光栄に思え。」と先程嫉妬深そうな若者が告げた。
俺が漆黒の大剣を取り出すと「デカい剣だな。」「あれが振れるのか?」「フラフラしなけりゃ良いがな。でないと皇女様が恥をかくぞ。」と観客席が好き放題言っている。
観客席を見渡すと皇族が前に陣取っていた。皇帝やその家族も来てるようだ。少し離れた所に護衛の人達。また少し離れた所にノワール達やレナさんも来て手を振っていた。
(観客多く無いか?)と思うくらい大勢が見に来ていた。「よそ見するとは余裕すぎだろ!」と対戦相手が怒っている。
「開始!」と審判が告げる。「うぉーー!」と叫んで突っ込んで来た。『閃光撃破』のスキルであっという間に吹き飛んで終了した。
「ありがとうございました。」と審判と観客席に一礼して帰ろうとするが残りの19人がそれを許すはずもなく1対19という戦いになった。
「開始!」と審判が告げると今度は殺到して来ない。(ならば試してみるか。)ファイアーボールを出していく。俺の頭上にサッカーボールくらいの大きさが50出来る。
それが19人に向かって降り注ぐと全員が倒れた。(死なないってチートな建物だな。)と思っていると復活した20人が「魔法は卑怯だ!」と叫んだ。
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