第13話 クレーム侯爵の襲撃
よろしくお願いいたします。
ザルツベルグ帝国 帝都 3日目
「マーサか?久しぶりだな。」「はい。覚えておいででしたか。」「当り前だ。私の命の恩人だぞ。」
マーサさんのお陰で面倒から解放されそうだ。セバスにお金の支払いを頼んだ。「恐らく足りると思うが。」と大金貨1枚を渡すと足りたようだ。
これで無事に戻れると思ったのが間違いだった。「皇女様。先程の10人の背後が判明致しました。」「誰だ?」「クレーム侯爵です。」
「チッ!あのブタめ。」と呟き俺の方を見る。「ハルトがクレーム侯爵に狙われる理由は何だ?」「えっ?クレーム侯爵を知らないんですけど?」
すると衛兵に連行されるクレーム侯爵。「放せ!下賤どもが触るな!」と騒いでいる。よく見ると先程の競りで負けたおっちゃんだ。
「何故彼を殺そうとした?」「ふん。知れたことよ。あいつさえ死ねばあの2匹は儂の物だったのだからな。」
人を2匹と言うあたりで傲慢な人種だと分かる。「先程、最後の競りで負けた腹いせに殺そうとしたようです。」と衛兵が皇女に説明する。
クレーム侯爵がダッシュで俺の方に駆け寄ってきた。「テメー!よくもジャマしやがったな!必ず殺してやるぞ!」と叫ぶ。
「うん?テメーよく見りゃシロじゃねえか!奴隷の分際で偉そうに儂にたてつきおって!」とぎゃんぎゃん煩い。
「へえ。この国では貴族が白昼堂々と人殺しをして威張っても許されるんですね?」「奴隷も亜人も人では無い。貴族に逆らえば殺されても文句は言えぬ。せいぜい泣いてろ!」
「立派な国だなあ。早く出たくなった・・」と呟くと「待て待て!こんな場所で堂々と殺人を企てるバカは貴族じゃないぞ。」と皇女が言う。
「誰がバカだ!このクソ女!女のくせに偉そうに!夜の相手でもさせてやるから今夜来い!」この一言が侯爵の致命傷になる。
「ウギャー!人殺し!」と叫ぶクレーム侯爵。鬼のような表情でクレーム侯爵を切りつけた皇女。「お、おい・・治療しろ・・高貴な儂が死んだらどうするんだ・・」
「意外にしぶといな。」「あの手はなかなか死なねえもんだ。」「とっととくたばりゃ良いのに。」とマスターの3人がヒソヒソ言っている。
「そのまま処刑場に連れて行け。」と皇女が命じた。「はっ!」衛兵が引きずりながら連れていく。侯爵が何か叫んでいるが良く分からない。
俺達6人は皇女に連れられ衛兵の詰め所に連れられて行った。「ハルトが10人を一瞬で倒したのはどうやった?」と聞かれ飛苦無を見せた。
「こんな武器見た事無いぞ。」「そうでしょうね。私が作りましたから。」「何の為に?」「1度に大勢の魔物を倒しやすいからです。」「当たるのか?って当てていたな。」
「正直言えばハルトと1対1で戦って勝てる気がしない。なのに何故Cランカーなんだ?」「Cランカーが弱いと決まってる訳でも無いでしょう?私は何のランクでも良いのですよ。」
「それは何故だ?正当な評価をされたいと思わないか?」「そこに大きなメリットがあるなら頑張りますが私がどんなに頑張っても身近な者も守れるかどうかです。」
「それと今回の奴隷を大量購入は関係あるのか?」「直接は関係ないですよ。ただこの国に人権なんて無いから少しでも助けたいと思っただけです。」
「あんな馬鹿ばかりじゃないぞ!この国を良くしたいと思っている貴族だっているんだ。」「そうですか。頑張って欲しいです。もう泣かずに済むように。」
「なあハルト。私に仕えてくれないか?」「私のような下賤な者が皇女様の近くにいてはなりません。」「貴族にすれば良いのか?」
「そういう問題ではありませんし私が皇女様のお役に立てるとも思いません。」「どうしてだ?貴族が嫌いなのか?」「本当にお役に立つ自信が無いのです。」
「分かった。無理強いしても嫌われそうだ。ハルト、皇女と呼ぶな!マーガレットと呼んでくれ。」「分かりました。」
これでやっと解放して貰える。6人で宿に戻り少し休んでレストランに向かう。今日落札した奴隷の話で盛り上がった。
「どうやら10日後に奴隷はホライズンに来ますが総勢600人を超えますね。宿泊施設が間に合いますか?」とセバスが心配していた。
「ダメなら宿屋とかに頼もう。」「分かりました。進捗状況で判断致します。」
「アンタは皇女の誘いに乗らなかったのはどうしてだい?」
「それは俺も気になった。」「そうそう。何で?」
「ええ?逆に気になるんですが俺を追い出したいんです?俺はお世話になった人達に少しでも恩返しもしたいんですよ。貴族も好きになれないって言うのもありますけど・・」
「アンタはバカだねえ。普通は自分の事を1番に考えるだろう。」「まあ普通はそうだ。目の前に出世する材料があるんだから。」「少しもったいないと思ったんだよ。」
「あっ!そうだ。家畜の世話が出来そうな人を見つけたから家畜も欲しいなあ。」「それでしたら明日の朝、私が買い付けに行ってまいります。」
「セバスさんありがとう!」「お安い御用ですよ。」と笑った。
お読みいただきありがとうございます。




